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【 返報性 】4つの返報性の原理とSMにおける考え方

はじめに

今回は自己開示の記事の際に出てきた「返報性」について説明を加えていきたいと思い記事を書きます。

一般的な返報性の原理について説明をした後に、SMにおける返報性の考え方についてM男目線で考えを書きたいと思いますので、最後までお読みいただけますと幸いです。




第1章 4つの返報性と活用法

1.返報性の原理とは?

返報性とは、他人から何かをしてもらった(された)時にお返しをしたいと考える心理作用のことです。
「好意の返報性」「敵意の返報性」「譲歩の返報性」「自己開示の返報性」という4つがあります。


1971年、心理学者のデニス・リーガンさんは以下のような実験を行い、返報性の原理について論発論文を表しました。


1.仕掛け人が飲み物を買いに行き、戻ってきた時に被験者に対して福引券の購入を持ち掛ける。
2.「自分の飲み物のみ購入」「自分と相手の飲み物を購入」のパターンを分けて購入率を比べる。
3.福引券の購入率は相手の飲み物を購入した方が2倍高い。


この実験により飲み物を購入するという好意に対して福引を購入するという行動を取りやすくなり、人には「返報性」が働くことが証明されました。


2.4つの返報性について

(1)好意の返報性

自分が好意的な言動を相手にした場合に、相手も好意的な言動をする心理作用のことです。


笑顔で挨拶をしたら、同じように笑顔で挨拶を返してもらえたり、親切なことをしたら、別のことで親切を返してもらえるといったことです。


また、バレンタインとホワイトデーに関しても、この好意の返報性が活用されたイベントです。
バレンタインでチョコレートを受け取った側はそのお返しとしてホワイトデーに贈り物を返す。


義理チョコ、本命チョコ、友チョコなど様々な種類がありますが、お互い感謝して渡したり、受け取ったりすることができれば、良いイベントですよね。



(2)敵意の返報性

自分が敵意的な言動を相手にした場合に、相手も敵意的な言動をする心理作用のことです。


例えば、相手に対して悪態をついたら、言われた人も同じように悪口を言いたくなったり、道端でにらみつけられたら、いい気分がせず何か言い返したくなったりします。


現代では直接的に言葉をぶつけ合うだけでなくSNS上でお返しをするという場合もあります。
相手に対して敵意を示した場合、SNS上でそれを書き込まれ、話が大きくなってしまうので、いずれにしても敵意の返報性は使いたくないものです。



(3)譲歩の返報性

自分の意向や考え、言動を相手に譲った場合に、相手も譲歩したくなる心理作用のことです。


例えば、新生活で家具や家電をまとめ買いする場面を想定します。
大量にまとめ買いをするので、店員さんが「特別ですよ」と言って、割引をしてくれました。
その時にこのトースターも一緒にどうですか?と言われたら、割引もしてくれたのでという理由で買ってしまいませんか?このような効果が譲歩の返報性です。


また、この譲歩の返報性を活用した心理効果に「ドアインザファイス」というものがあります。
3万円で販売したい商品があった場合に「5万円の商品です」と伝えます。
その後、「しかたないですね。3万円で販売します」と言われたら、お得な感じがしませんか?


このようにはじめに高い金額を提示して、その後に値引きをしてお得感を出しつつ、こちらの要求を受け入れてもらいやすくする方法のことをドアインザフェイスという手法です。
営業マンが訪問販売時に「断られることを前提に、ドアから顔を覗かせる」という意味でこの名前が付いたと言われています。



(4)自己開示の返報性

自分が自己開示をすれば相手も同じ程度の自己開示をしたくなる心理作用のことです。


自己開示をすることで相手と相互理解が深まったり、ストレス解消となって免疫力が高まったりという効果があります。


自己開示ができない理由や実際に行うための具体的方法については過去の記事に詳細を書いてありますので、そちらをご参照願います。



3.返報性を活用する際の3つの注意点

返報性の原理は相手にとって良いことをするため、基本的には問題ないのですが、使い方を間違えると逆効果になってしまうケースもあります。
ここで使う際の注意点を4つご説明します。


(1)前提として最低限のコミュニケーションができていること

まず、返報性を使う際は最低限のコミュニケーションが取れていることが必要になります。

職場などであまり話したことがない人にいきなり誕生日プレゼントを渡したら、少し気味が悪いと思われる可能性があります。
また、コミュニケーションが不十分な人に対して自己開示といって自分の話をどんどんしてしまうのも逆効果になってしまいます。


(2)相手に負担を感じさせないこと

相手が負担を感じてしまう好意は逆効果になってしまいます。

例えば、女性がバレンタインにかなり高級なプレゼントを渡してしまった場合、男性側はそれ以上のものを準備なければならないとプレッシャーに感じてしまうケースがあります。
自分が相手から話を聞きたいからと言って、話したくない内容を返報性を利用して無理に聞き出そうとすると負担が大きくなって、逆に心を閉ざしてしまいます。
特に、相手の気持ちに余裕がない時は注意が必要です。


(3)同じ内容を同じ相手に何度も使わないこと

ドアインザフェイスなど譲歩の返報性に多いですが、同じ内容の返報性を何度も使うことに注意が必要になるケースがあります。

例えば、ある取引先に定期的に訪問して販売するようなケースを想定した場合、毎回高い金額を提示して、値下げした金額でものを売ろうとすると、結局後の金額で買わせるんだろうと、狙いが相手に伝わってしまいます。
大切な取引について返報性を活用するなど営業をする際には緩急をつけることも大切となります。


4.コラム

ドラえもんの漫画より

「情けは人の為ならず」ということわざをご存じでしょうか?
意味としては「情けをかけることは相手のためになるだけでなく、巡り巡って自分のためになる」ということを意味しています

ドラえもんの「ことわざゲーム」という回で、こんな話があります。
ゲームの中で出てきたことわざを実際に体験しながら覚えるという道具を使用するのびたくん。

情けは人の為ならずということわざを見て「情けをかけることは相手の為にならない」と勘違いをしたのびたは道端で転んでしまった女の子を助けずに通り過ぎようとします。

しかし、心優しいのびたは結局女の子のところに戻って、助けて悪いことをしたと落ち込みながら帰宅します。

そこで帰宅後に本当の意味を知って、ほっこりするという物語です。
(終わりは記憶があいまいですが、ご両親がお礼の品を持って野比家に訪れたというオチだったと思います。)


情けは人の為ならずということわざはまさにこの返報性の原理を表した言葉だと思います。
見返りを求めるために返報性を使うのではなく、本当に相手のことを思ってやった行いが結果として自分に返ってくるということが大切だと思いますので、純粋な気持ちで返報性を活用したいものです。



第2章 SMにおける返報性の原理


1.恋愛における男女の違い

SMプレイをする前には通常の男女と違いこそあれど、お互いにコミュニケーションを取り、距離を近づける必要があります。

まず、一般的に言われる男女の違いについて好意の返報性を活用したアピール方法について記載しておきます。


(1)男性の恋愛における特徴(女性が男性へアピールする場合の参考)

 1)男性は一目惚れしやすく、ピークまでが早い
 2)ストライクゾーンが広く、きっかけ1つで好きになる
 3)脈ありサインに気づきにくく、明確なアピールが必要


(2)女性の恋愛における特徴(男性が女性へアピールする場合の参考)

 1)たくさんの好意ある行動によって徐々に好きになる
 2)外見に加え内面も重視する傾向にある
 3)一度対象外になると巻き返すのが難しい


2.M男が知っておくべき心得

基本的にSMではS ⇒ Mという方向でS女性様がM男を責め、M男がはじめに受け取ることになります。
そのため、やっていただいたことに対してお返しをするのはM男側になると考えられます。

そこでM男がS女性様から責められる(責められた)際に行うとお互いが気持ちよくプレイできる事柄について整理します。


(1)しっかりと反応すること

S女性様はM男を観察して、苦痛を感じるポイントを探っています。
M男が無反応だとそのポイントをつかむことができませんし、なにより面白くありません。

しっかりと感じている場合は表情や声で表現をしましょう。
ただし、演技することは逆効果です。
観察しているS女性様は察しが良いですし、演技している場合は感じるポイントを見つけることもできず、一気に気持ちが覚めてしまいます。


(2)命令に応えられるように努力すること

S女性様が時には無理難題の指示を出すこともあるでしょう。
そんなときでも期待に応えられるように努力することがお返しになります。

S女性様が期待することは惨めに必死になっている様子を見ることが楽しいものです。
また、努力する過程を見せることがS女性様への忠誠心を示すことにつながります。


(3)S女性側の負担を減らすこと

プレイの中ではS女性様が引っ張ることが多いと思われますが、プレイ以外の部分では会話を頑張ることを覚えたり、S女性様の指示にテンポよく行動することも大切です。

S女性様は様々なことを想定してM男を動かしていますが「仰向けになれ」「もうちょい下がって」などの指示にてきぱき動けないことが小さなストレスになります。

指示を出してもらっている立場を考えて、てきぱき動くようにしましょう。


(4)自ら心からの感謝をすること

S女性様に命令されていることに対して、心から感謝するようにしましょう。
S女性様が「あいさつは?」「お礼は」などと言われてから感謝を示すことがありますが、M男はただ命令に従っているだけではお返しをすることができていません。
自ら考えて、S女性様の言動に対して感謝ができるようにしましょう。


(5)心を開き、自らを解放すること

M男は変なプライドを持っていることがありますが、S女性様を信頼して心を開きましょう。
上記の全てにつながりますが、M男から心を開くことでS女性様も思い切って責めることができるようになります。
自己開示の返報性はSMプレイでも同じです。


※S女性様に対して貢ぐこと

番外編で乗せておきます。これは基本的に私は必要以上に行うことはないと考えています。
もちろん行ったプレイに対する対価として、お互いに協議して事前に決めた金額を支払うことは当然ですが、それ以上にS女性様の要求に従って貢ぐ必要なないです。

ただ、プレイとして貢ぐことが好きという人については別です。
自らお金を気持ちを支払う場合はどんどん貢いでください。


3.S女性側が気を付けるべきこと

S女性様についても気を付けるべきことがあります。
ただ責めるだけ責めてフォローをしないと、M男の心が不安定になる場合があります。

そのため、お仕置きや躾の後は褒めたり、時にはスキンシップを図ったりすることでアフターケアを怠らないことが必要となります。

S女性様がM男に対して行うお返しは誉め言葉やスキンシップになります。



おわりに

いかがでしたでしょうか。今回は4つの返報性の原理について解説をしました。営業などの仕事の場面、恋愛などの人間関係など様々な場面で活用ができる内容となっています。

また、SMにおける返報性の捉え方についても解説しておりますので、参考になりましたら幸いです。

次回以降も役に立つ記事を書きたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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