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人事・採用担当者向け 応募選考時の前科調査方法

昨今のコロナ禍により求職市場は大きく変わりました。2年前の売り手市場から一転し「働きたくても仕事がなかなかない」という状況下にあります。東京都区部でも有効求人倍率は一見回復しているものの、一都六県エリアで合計した有効求人倍率は1倍を下回るか超えるか程度です。以前は比較的苦戦することが多かったパートや正社員の採用でも、求職者が増加したことで人には困らないという企業も多いかと存じます。しかし求職者の中には残念なことに、過去に罪を犯しておきながら前科を隠して応募してきたり、履歴書に記載しない不適切な方もいます。正社員、パート問わずそのような人物を採用してしまうと、企業経営上のリスクに繋がる可能性が非常に大きいため、可能な限り回避する方が無難です。今回は我々総務・人事がどのようにして前科者を見抜くかを掲載します。

Google検索

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言わずと知れた検索エンジンでの調査になります。最も省力的かつ手間がかからないため、この方法で最低限のフィルターを通している企業も多いことと思います。

この方法で調べる場合のコツとして、「応募者名」を"(ダブルクオーテーション)で囲んで検索することです。理由は「完全一致する物のみを検索するため」です。私が良く使うワードとしては下記のように「"求職者名" "前科"OR"逮捕容疑"OR"調べでは"OR"調べによると"OR"容疑者"OR"被告"OR"Twitter"OR"Instagram"OR"Facebook"」などのワードを繋げ、報道記事や応募者のSNSのみを抽出するようにしています。

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しかしこの方法には問題が2つあります。

1. 求職者が弁護士などを使い過去の報道記事を転載したブログサイトなどの記事を削除させている可能性がある
2. 2000年以前に事件を起こしている場合はほぼ検索結果に表れない

1は言うまでもなく、自身の前科が検索結果に表示されることが就職活動上の不利益につながると知っている者が当然います。そのような場合Google検索で記事を見つけ出すことができません。
2は古い時代のインターネット上の記事が消えつつある。もしくは検索エンジンでもヒットしないことで人事担当者が探し当てられない可能性があることです。

Google検索は直近で事件を起こしている求職者を見分けて判別する方法としては非常に有効ですが、10~20年前に事件を犯している者までフィルタリングすることができない可能性があります。

日経テレコンを使用したフィルタリング

東証一部企業や警備会社、一部人材派遣・紹介会社で使われている手法です。この方法のメリット・デメリットですが、

・メリット
ー日本経済新聞掲載記事以外にも、朝日・毎日・読売・サンケイなどの全国紙のほか、地方紙に掲載された情報まで遡ることができる
ー弁護士を用いてGoogle検索結果を削除していた場合でも当時の記事までは削除されていない可能性が非常に高く、また「応募者名」で検索するだけで当時の記事を探すことができる(新聞の収録内容 - 日経テレコン

・デメリット
ー有料契約になるため、大勢の応募が見込まれる人材派遣・紹介会社以外では費用対効果に疑問がある
ー契約プランによって探せる新聞記事に限りがある

ことです。ですので中小企業でこのサービスの利用を検討する場合は県立図書館などで使う方が無料かつコストを抑えられます。

また類似のサービスでは、「ヨミダス歴史館(読売新聞社提供)」や「文藏(朝日新聞社提供)」のものもあります。こちらも同様に応募者名で検索することで昭和~平成~令和に至るまでの掲載記事を調べることができます。

G-search

新規取引企業の情報検索にも用いられるG-searchでも応募者の前歴を調べることができます。新聞・雑誌記事横断検索、人物情報横断検索の2種類を使うことで、当該応募者が過去に新聞掲載されるような事件や行為をしていないかを調べることができます。私自身このサービスを使ったことがないため、検索対象の紙面詳細については下記を参照してください。主要全国紙の他にNHKや地方紙まで網羅しています。

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番外:炎上回避の為の調査

私が経験した例では、応募者がツイッターにて実名アカウントを公開していて、そこで淫らな写真を掲載していたということがありました。応募者の名前をインスタグラム、Facebook、Twitterなどの主要SNSで検索し、もしもアカウントが出てくるようであればどのような投稿が多いかという点も考慮したほうが良いでしょう。いわゆる炎上も企業にとっては大きなリスクです。

昨今の雇用情勢の中で求職者の絶対数は増えつつあり、2000年代前半とまでは行かないものの以前ほど人材採用に困ることはなくなりつつあります。しかし中には残念ながら、過去に罪を犯しておきながらその過去を伏せて応募してきて、何食わぬ顔で企業に入社してこようとする者もいます。我々人事・総務担当者がこうした不誠実な応募者をしっかりと選考段階でフィルタリングし、明確に入社を拒否することがひいては企業経営を守るための自衛に繋がります。

またこれらの方法は別に企業だけでなく個人でも、図書館に行くとかスマホで調べるとかで前科情報を洗い出すことができます。上記サービスはすべて国会図書館で提供しているサービスですからぜひご参考になればと思います。

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