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流れを見えるようにする。それが全て!

改善活動を常にやっていると、問題点の見え方が変わってくることを実感します。
よく言われるのがこのパターン。

「〇〇が問題だから、〇〇を改善して欲しい!」

というヤツです。

そういった話を聞くときや、現場を見る時、私はそういう担当者の話の概略だけを聞いて、後は自分で調べた事実を見るようにしています。
というのも担当者の話というのは、大体フィルターがかかっているからです(笑)。


『思い込み』ほど怖いものはない!

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問題は後工程で物が溜まるということでした。
で実際に調べてみたところ、最初はそこそこのペースで流れるのですが、しばらくすると徐々にパーツが溜まりだすのです。
作業者のスキルは、前行程とそんなに違いがあるわけではなく、どちらかといえば後行程の作業者の方が早いくらい。
なのに後行程の前に徐々にパーツが溜まっていくのです。

しかもパーツが溜まるので、後行程の作業者は焦ってしまって、ミスしてしまう回数が増えているようで、現場での評価も下がり気味という状況でした。
事実その担当者からも、作業者に問題があるような話が出ていました。

私はその後問題のラインをずっと見ていて、ある事に気が付いたのです。
10〜15分に一度、その作業者がラインを出て、別の場所に何かを取りに行っているようなのです。
話を聞いてみると、他のラインで使っている部品を取りに行っているとのこと。
その部品を使う量が他ラインの方が多いらしく、そこまで取りに行っていると言うのです。
そこですぐに、その部品を問題のライン内にも払い出してもらえるように依頼をしました。

対策をした後は、かなり溜まる量が減りました。
つまり、作業に必要が部品が手元になく、それを取りに行っていたことが問題だったわけで、作業者の能力云々という、担当者の思い込みは全く関係がなかったわけです。


溜まる原因を作っていたのは・・・

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溜まっていた数は減りましたが、まだ完全になくなったわけではありませんでした。
そこでもう少し原因を探っていたのですが、何度かその作業者の手が止まっているのを見つけたのです。
理由を確認してみると、前行程のミスを修正しているとのこと。
すぐさま私は、前行程のミスは前行程に戻して修正させるよう、指導しました。

前行程の作業者は、入ってまだ半年くらいの派遣社員だったので、ミスがあるのは仕方がありません。
でも、そのミスが出ていると、後行程から言われなければ気づくはずがありません。
だから、前行程のスキルアップのためにも、後行程で見つかったミス(行程内不良)は、必ず前行程に戻して修正させるようにするのが決まりです。

そういったところを見つけて、その部署のマネージャーと担当者を集めて、どうしてそういう仕組みが守れていないのかを、徹底的に現場の隣で(わざと)追及しました。
部品の配置といい、後行程でのミス修正といい、明らかに流れ無視の問題行動です。
結局、問題の行程で物が溜まる原因を作っていたのは、流れを無視した作業を推し進めた、管理者側の問題だったわけです。


ノウハウやツールに頼ると失敗する

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問題が派生している工程だけを見て、そこに問題があると『思い込む』と、今回のような失敗が起きることは少なくありません。
工程全体を見て、問題が発生している行程の流れがどうして止まっているのかを探っていくと、自然と解決策を見つけられます。

私がメインでやっている5Sですが、この5Sに失敗しているところは大体『清掃』とか『躾(しつけ)』を先にやっています。
TPS(Toyota Production System:トヨタ生産方式)を導入しようとして失敗している企業のほとんどが、『カンバン』や『アンドン』といったツールに目を奪われているのと同じです。

ノウハウやツールに目を奪われ、それに頼ってしまうと結局は失敗します。
大事なのはその本質であり、何を大切にしているのかを摑むことです。
今回挙げた事例でも、マネージャーや担当者は「よかれ」と思ってやっていました。
でもその「よかれ」の思い込みが、問題を起こしていたのです。

問題は個別に発生するものなので、その時、その時に対処療法的に対処しがちです。
でも問題の本質、根本原因は問題が起こっているところにはありません。
いろんな要素が絡み合って、問題を起こしている場合がほとんどです。
だから絡み合っている要素を分かり易くするために、流れを見えるようにすることが大事なのです。

昨日の記事でお見せした『ブランチ(下の画像)』も、流れをとどめているポイントはどこかという視点で書いたものです。

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そしてその流れがどこから来ているのか?
という点で、色分けをしているのです。

仕事のやり方や、方法論が変わっても、この流れを見え易くすることが、何よりも大事だという点は、変わらないでしょう。
私がこれまで学んできた『5S』も『IE』も、そして『全体最適』も流れをつかむことが全てだと言っても過言ではありません。
仕事の上で、何かが滞っていたり、溜まっていたりするのであれば、その流れを留めている原因を見つけるために、全体の見直しから始められることをお勧めします。

個別に見ていたのでは見えなかったものが、全体から見ると信じられないほどハッキリと見えるようになりますから(笑)。

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