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読書感想文におすすめな本 紹介

1. はじめに

 読書感想文は「自分の生活に引き付けて描けるか」が重要だ。
 まず、長々と本のあらすじを述べる必要はない。「あらすじ」で文量を稼いでいる読書感想文は、間違いなく低評価となる。最初の意味段落では、「読んだ本のタイトル」「簡潔なあらすじ(3〜5行程度)」「本を読むに至った経緯(あれば)」を書けばよい。

 2つ目の意味段落では、「作品の表現・構成について」「自分に与えた影響」うを書く。「登場人物の努力に感動した。僕も努力した。成功した。」のような曖昧な記述は避ける。「自分はこれまでどのような過ごし方をしてきたのか」「読書を経てどのような心情変化が起きたのか」「具体的にどのように生活を変えたのか」という情報が必要である。結局のところ、読書感想文というのは、読書というきっかけを通じて自分のあり様を語る作文なのだ。

 以上を踏まえて、「読書感想文でおすすめの本」とは「自分の生活に引き付けやすいジャンル」ーーつまり、「ノンフィクション」「青春もの」「エッセイ」「新書」「スポーツもの」等だと考えることができる。逆に、「ミステリ」「恋愛」「ファンタジー」「ホラー」「詩」「ライトノベル」等は読書感想文向きのジャンルではない。
 *おもしろいかどうかは別です。

2. 読書感想文におすすめの本

1. 金城一紀『GO』

 青春小説の傑作。人種差別と恋愛。差別について掘り下げることもできるし、「アイデンティティ」という作品を貫くテーマについて言及することもできる。小説としてもたいへんおもしろい。

2. サン=テグジュペリ『星の王子さま』

 超有名作品。あらすじを追うというより、「王子さま」が知る「大切なこと」をいかに自分に当てはめて考えるかが重要。「責任」「本当に大事なことはーー」「すべての星が笑うんだ」等のくだりにハッとする人も多いはず。個人的には池澤夏樹氏の訳が好き。

3. 森絵都『カラフル』

 青春もの?思春期もの?読みやすい・書きやすい・身近に感じやすいの三拍子揃った作品。中学生にもおすすめ。家族や人生、「生きる」がテーマなので、自分に引き付けて書きやすい。ちょっとドロドロした部分もあるが、それもまたよし。

4. 恩田陸『夜のピクニック』

 恋愛もの、とみせかけてそうでもない。家族もの?上記の『カラフル』と比べると、高校生の方が感情移入しやすいかもしれない。「歩く」という行為のなかでポリポロリと普段は言えない本音が漏れていく描写など、共感する人も多いのではなかろうか。

5. 南木佳士『ダイヤモンドダスト』

 医療小説。作者が本当に医師をやっていたので、リアリティがある。短編小説で読みやすいが、特におすすめなのはタイトルでもある「ダイヤモンドダスト」。「失ったものは二度と戻らない」というテーマに注目しながら読んでみてほしい。医療・看護系を目指している人は特に共感できるのではないだろうか。

6. 敷村良子『がんばっていきまっしょい』

 部活動・スポコンもの。ボート部に打ち込む女子高生を描く。ドラマ版も話題になった。部活動・スポコン・青春ものだと、ほかに『DIVE!!』『一瞬の風になれ』等と迷ったが、長いので今回はこちらにした。長さが気にならないなら、上記2作品もおすすめだ。

7. 額賀澪『タスキメシ』

 部活動と料理というおもしろい組み合わせ。家族ものの側面もあるので、運動経験者・未経験者問わず楽しく読める。「駅伝」というテーマも身近で、なおかつ話としてもおもしろい。いちばん書きやすいかもしれない。今のところ三部作となっているが、読書感想文としては1作目がおすすめ。

 

8. 片山恭一『世界の中心で愛を叫ぶ』

 知っている人も多いはず。この本、実は恋愛ものではない。というのも、主人公とヒロインの甘づっぱい恋の物語は前半の、かなり早い段階でカタがついてしまうのだ。作品の核にあたるのは、むしろその後。「愛する者の死に残された人間はどう向き合うか」が真のテーマである。そう考えると、本来の「面白み」が見えてくるし、「恋愛なんて興味ないぜ」という高校生たちも興味深く読めるだろう。
 が、難しい。死生観について描かれるので、かなり哲学している。「読書感想文」の課題として消化するのはかなりたいへんかもしれない。シリアスなテーマにチャレンジしたい向け。
 余談ではあるが、映画がものすごくヒットした。ただ、私としてはドラマ版を強く強くおすすめしたい。

3. おわりに

 以上、8作品を挙げた。書きやすいだけでなく、どれもおもしろい。名作たちである。
 ちなみに、ネットで優秀作品を探しコピペするのは一発でバレるのでやめよう(というか犯罪である)。ほかにも、「あとがき」のみ読んで作文を書くという「あとがき書き」という裏技もあるが……あまりおすすめしない。上記作品のうち、1,6,8は映像化されており、とてもおもしろいので、そちらもおすすめだ(『DIVE!!』、『一瞬の風になれ』も映像化されているが、個人的にはあまり……)。


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