見出し画像

いまだから「業務のマニュアル化」を進めてみませんか #V字回復に備えよ

こんにちは。株式会社トレタの関根です。

この世界的に重大な局面のあと、社会活動が前向きになってきた際に、外食産業は社会活動でさらになくてはならない存在になる、と私達は思っています。

そこでトレタではいま、状況が収束した後、いわゆる「アフターコロナ」に備えて、今だからこそできることをいくつか考えています。

今回はその中から「業務のマニュアル化を進めてみませんか」というご提案をさせていただきます。

マニュアルはスタッフの能力や独創性を引き出すツールです

飲食店のみなさんの中には、「マニュアルの導入によって接客が画一的になる」「スタッフの独創性が失われる」などといった理由により、マニュアル導入に否定的な方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、今こそその認識をアップデートしましょう。現代においてマニュアルとは、活用次第でスタッフの能力や独創性を最大限に引き出せるツールです。ぜひ、この機会に接客や個性を生かすマニュアルの導入を検討してみてください。

たとえば新人が入店するたびに、労務系のルールやテーブルセッティングの仕方、オーダーの取り方、食器の下げ方などを先輩スタッフや店長さまが丁寧に教えなければなりません。また、はじめて行う作業や久しぶりの作業では、誰しも「考える」「迷う」ことがありますよね。

画像2

そういった作業に対して「やり方がここに書いてある」というマニュアルを用意しておくと、以後はそのマニュアルがスタッフに正しく工程を教えてくれますし、迷ったり考えたりする時間を減らすことができます。

そもそもですが、教えなければならないことは膨大です。単に作業手順を覚えてもらうだけでは十分ではなく、たとえばお客様に対する挨拶一つとっても、「いらっしゃいませ」をどのくらいの声量で、どんなトーンで言うべきかはお店によって千差万別です。食器を下げるときにどんなお声がけをするのかも、おそらく人によって違うでしょう。

これらを新人一人ひとりに都度教えていくのは本当に大変です。しかも教える人が変わると、教える内容が変わってしまったり… これだと、新人さんも戸惑いますよね。A先輩が教えてくれたとおりにやったら、B店長から「違う」と言われることもあるでしょう。

これは、教わる側も大変ですが、教える側にとっても大きな負担です。現場でお客様対応をしながら、同時にスタッフに対してきめ細かく、一貫性を持ってそのお店ならではのやり方を伝えるのは、決して簡単なことではありません。

例えばそういった接客について、動画マニュアルを用意してみてはどうでしょうか。そのお店の基本的な業務手順から、お客様に対してのご挨拶・お声がけに至るまでを、店長さんが実演しているような動画です。店長さんは収録のときに一度実演するだけ。新人さんは全員が同じ動画を見るわけですから、トレーニング内容のばらつきを抑え、スタッフの皆さんの仕事の質を一定以上の水準に維持することが容易になります。

画像3

このように1つ1つの「やり方」や「ルール」「コツ」を1つずつマニュアル化しておくことは、つまり店長さんの「分身」を作っているようなものです。動画になった店長さんの分身は、絶対に風邪を引くこともないし、過労で倒れることもありません。採用が急に増加しても、全てのメンバーを等しく丁寧にトレーニングすることができます。

そう、実は、マニュアルは時間を生み出すことはもちろん、今までではできなかったことを実現し、より質の高い店舗運営を実現するためのツールなのです。いままで「教える/教わる」に使っていた時間を、調理やお客様との会話など、付加価値の高い業務に使ってみませんか、というのが今回の記事の趣旨です。

マニュアル作成の概要

本記事では、マニュアル作成にあたって大きく以下4つをご案内します。

1:何をマニュアル化するか決める
2:マニュアルの作り方
3:作っていく上でのコツ
4:マニュアルの共有方法

1:何をマニュアル化するか決める

まずはじめにマニュアル化するものを決める必要があります。多種多様な業務の中から、まずマニュアル化することをおすすめするものは、全てのスタッフに共通する「最低限やらねばならないこと」や「守るべきお店のルール」です。

中でも特に着手しやすいものは「勤怠連絡」や「シフトの決め方」など、手順を明確に定めやすい業務でしょう。その他、以下のような項目は比較的マニュアル化しやすいと思われます。

【働き方】
・勤怠の連絡方法
・シフトの決め方のルール
・給料の支払い方法、締め日/支払日
・制服の貸与、クリーニングの仕方
【お店の運用】
・挨拶
・配膳(テーブルセッティング)
・おしぼりの置き方、渡し方
・お会計、領収書の対応方法、レジ締め
・洗い物
・各所の掃除の仕方
・予約/キャンセルの受け方

なお、「マニュアル化の難易度が高い業務」もあります。

たとえばリピーターさんに対する接客です。リピーターさんとひとことで言っても、2回目の方から10年通ってくれている方まで、常連度は様々です。これを単純に「リピーターさんには『いつもありがとうございます』とご挨拶しましょう」とマニュアル化してはいけません。それこそ、接客の画一化に繋がりかねません。

画像4

ではどのようにしたらよいのか。たとえば「来店3回目と4回目のお客さまに対しては、お店にいる間に3回以上、お名前をお呼びするように努力しましょう」と定めてみたらどうでしょうか。来店時に1回、お会計時に1回はお名前をお呼びできますが、あと一回足りません。

そこで、そのスタッフさんはお客さまがお食事中になにか会話する機会を作ろうと工夫するようになります。このように、マニュアルとは単にスタッフの皆さんの行動を均質に揃えるだけでなく、工夫次第でスタッフの皆さんの創意工夫や新たな行動を生み出すきっかけにもなりうるのです。

2:マニュアルの作り方

これから作るマニュアルは、スマホやパソコンで閲覧可能なオンラインツールで作成することをオススメします。

オンラインのツールを使うことには、以下のようなメリットがあります。

▼更新が簡単
▼更新時に紙で配り直す必要がない
▼作ったマニュアルを容易に共有できる

飲食店に限りませんが、マニュアルは一度作ったら終わりではなく、どんどん改良・進化させていくものです。アップデートを続けることで、ノウハウがマニュアル内に蓄積し、そのお店の「強み」になっていくのです。

オンラインツールであれば、変更箇所をアップデートするだけで印刷も不要ですし、更新作業もかんたんです。この更新作業は店長さまだけでなく、ベテランのアルバイトさんにも協力してもらうのがポイントです。いままで知られていなかった現場目線でのノウハウが、マニュアルに蓄積されていくかもしれません。

画像5

また、マニュアルを作っている段階で「既存業務が簡素化できることに気づく」場合もあります。作業工程を1つずつ書いていくわけですから、その途中で「もっと簡素にできるのでは?」ということに気づく感じです。

後述する「コツ」でも触れていますが、マニュアルをつくるにあたり、「作業を工程順に箇条書き」で記載していきます。これまで行っていた作業を棚卸しすることになるため、箇条書きであらためて書いてみた作業のうちの1つが「実はあまり重要ではなかった」「2つの工程を同時に行える」等に気づく場合があるのです。ひとつひとつの業務に向き合うことで自然と業務の棚卸しができる場合がある、ということです。

その際はぜひ業務を簡素化した後の内容でマニュアルを作り、さまざまな業務の簡素化を図っていきましょう。

具体的なマニュアル作成ツール

オンラインのマニュアル作成には、様々なものがあり、シンプルな無料のものから、専用の有料のものまでが存在します。

例えばシンプルで無料のですと、Googleドキュメントで作成する方法があります(Googleドキュメントには無料プランがあります)。スマホやタブレット用のアプリもあり、マニュアルを作って公開すれば、色々な人のスマホやパソコンで手軽に見ることができます。

また、有料のサービスですがスマホでかんたんにマニュアルを作成できるツールもあります。例えば「Teachme Biz」です。トレタのオンラインマニュアルでもこちらを使っています。

マニュアルのサンプルもありますので、参考にしてみてください。

【サンプル】肉の発注方法
https://teachme.jp/8/manuals/1838921/

【サンプル】空調マニュアル
https://teachme.jp/8/manuals/7415817/

マニュアルを作っていくうえでのコツ

マニュアルを作るうえでは、見る側が工程に従って作業が行えるように書くことが重要なポイントです。

また、あれもこれもといろいろ盛り込んでしまいがちですが、工程が複雑になりそうな場合は、工程を分割しても良さそうです。まずは以下の4つのポイントに沿って作ってみましょう

以下の4つのポイントに沿って作ってみましょう

①ひとつの業務をなるべく細分化したマニュアルにする
タイトルと行う業務を明確に書く
ここでのポイントは、「個人ごとに解釈が異なってしまうような書き方を避ける」ことです。たとえば「お箸をきれいに並べる」では、個人によって「きれいさ」の基準が異なります。ですから「等間隔で」「テーブルの縁と平行に」など、できるだけ定量的に定義していきましょう。
作業を工程順に箇条書きにする
やるべき作業がやるべき順番に並んでいることが大切です
必要に応じて画像(写真)を入れる
テーブルセッティングの仕方など、文字だけでは伝えにくい場合は、必要に応じて画像(写真)を添えるとわかりやすくなります。場合によっては動画も有効です

また、手順だけでなく備品や在庫の保管場所を載せておくというやり方もあります。

作成したマニュアルの共有

作成したマニュアルは、全てのスタッフがいつでも見られるようにしておきましょう。例えばスタッフ間のLINEグループなどのグループチャットがあればそこで共有したり、「ノート機能」に貼り付けておくのも1つの方法です。マニュアルページのQRコードをバックヤードに貼り付けておくのも良いかもしれません。

おわりに

「マニュアルを作ること」は時間もかかりますし、容易なことではありません。が、「アフターコロナ」に備えて、いまのうちに1つ1つの業務を棚卸しして、必要なものはマニュアル化して「誰でもいつでもわかる、確認できる」をしておきましょう。

店長さまや先輩スタッフの方々の負荷を減らし、お料理やお客様との会話など、おもてなしに使える時間を増やせていけると良いのでは、と思っております。

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?