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250年前の魚料理を再現してみました

こんにちは、エンジニアのtakaです。

システム開発部に所属しており、ふだんは魚ポチの開発を担当しています。私は食(魚に偏りかちですが...苦笑)に以前から興味があり、あるとき日本史専攻の友人との雑談をきっかけに、昔の料理を調べるようになりました。今回の連載では、私がこれまで再現してみた古の料理をご紹介しつつ、「世界の食をもっと楽しく」する何かを一緒に探していければと思います!


あんまり普段食べない料理を口にしたい。でも、ググって出てくるのはどこかで見たようなものばかり。そういったとき、「百珍」を見てみるのはいかがでしょうか。
百珍は、江戸時代に出版された料理本です。豆腐百珍や卵百珍など、いくつかのテーマにまとめられたもので知られています。
そんな百珍の一つとして、18世紀後半に刊行された「鯛百珍」という、その名のとおり江戸時代の鯛のレシピをまとめたものがあります。今回は、そのうちの一つを再現してみました。

参考:国立国会図書館デジタルコレクションより


上記のレシピを参考に「鯛の青淵汁」を作ります。「みを」というアプリくずし字データベースを使いつつこれを書き下すと、

鯛の身を少あぶりすり身にして酒にてのべ又宇多芋を能摺合て後たれ味噌にてとき合す仕様常のとろろ汁の如く加薬の類針栗せうが青苔の粉又ハ胡椒の粉右小皿に入てさすへし右乃仕方して少しもなまくさけなし

鯛百珍 著者:器土堂主人

とあります。現代語に直すと

鯛の青淵汁(青のりの入ったとろろ汁)の作り方。鯛の身を少しあぶりすり身にして酒で伸ばし、宇多芋(大和芋のことらしい)を擦り合わせた後にたれ味噌でとく。仕上がりはとろろ汁のようになる。薬味には針栗(針のように細く切った栗)生姜、青海苔の粉または胡椒の粉を小皿に入れて出す。仕上がりは少しも生臭くない。

とのこと。自分で作って食べましたが味はメチャうま!炙った鯛の香ばしさと脂がもっちりとした大和芋にからみ、青のりのかおりと一緒にスルスルと喉をとおります。白いご飯にもピッタリ。薬味に栗の千切りも用意しないといけなかったのですが、手に入らなかったのがたまに傷(どんな味になったんだろう...)。


こういうレシピをはじめ、百珍には「えっこういうふうに(魚を)食べるの!?」というのがいくつもあります。温故知新ではないですが、数百年前のレシピから現代に十分通じる新商品のアイデアが生まれるかもしれません(鯛百珍レシピをまとめている方もいるので下記からどうぞ。他ページにある時代背景については、深く考えさせられます)。


逆に、現代版の鯛百珍や、サーモン百珍、マグロ百珍、珍魚百珍など、江戸時代のものに代わる新たな百珍を作ってみても面白いと思っています(実際、相模屋食料さんは現代版豆腐百珍を完成させています)。次の500年につながるようなすごい料理が、フーディソンからも生まれるかもしれません。