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新米の季節 家でお米を炊かない人に伝えたいこと


1.お米の消費

細かい資料をあげて説明しなくとも、日本人の米消費が落ち込み、コロナ禍での米価下落などが問題となったことなど記憶に新しいと思います。お米の先物市場についても近年議論がありました。現状は外食・中食を中心に消費が戻ってきていますが、家庭内消費はまだ先行き不安。他方で、腹持ちの良さとやや値上がり傾向にあるとはいえ、価格の値ごろさ(自炊すれば、お茶碗一杯(精米65g、炊飯後150g)25円程度です。パック米と比較すると自炊のお得感が分かるかと。)から、20代男性がよくお米を食べている傾向があります。

また、下記のアンケートからも分かるとおり、日本人は本当にお米が好き。しかし、1日当たりの摂取量は世界ランキング50位。確かに少ないけれど、年に55キロとすると平均で1日2.2杯くらい、お米を炊くのがめんどくさかったり、炭水化物を節制したり、1日1食はパンか麺を食べたかったりして、、そんなものかなという気もしますね。。

令和4年は55キロほどにまで増加しました。

https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/syokuryo/220302/attach/pdf/220302-33.pdf  (令和4年3月 米をめぐる関係資料 農林水産省
https://www.komenet.jp/pdf/shouhi-doukou_23082527.pdf  (米の消費動向調査結果 米穀安定供給確保支援機構

2.それでももっと食べたい理由

(1)自給率との関係

お米の国内自給率はほぼ100%、ということで、お米からのカロリー摂取の比率くらいをあげると、カロリーベースの自給率はぐぐっとあがることになります。小麦の自給率は15%程度なので、国産小麦を作って自給率を上げるのは大変ですが、みんながお米をよく食べると簡単に自給率があがるのが分かると思います。朝食を抜いている人にお米を食べてもらう、米粉で小麦製品を置き換えるなどで消費量をあげる効果が検証されています。

畜産と油脂の比率の増加。黄色い部分は国産肉も輸入飼料からできていることを示しています。

(2)節約になる?

うちの母が「最近3食入りのやきそばが値上げされて買う気にならない」というので、お米炊きなよというと、「お米ってどれくらい安いの?」ときいてきました。どうもピンとこないらしい。。

総務省統計局の小売物価統計調査による全国での小売りの小麦粉1袋の価格推移(上がってます)

単に精米と小麦粉のグラム単価を比較してもしかたないので、一食あたりの標準量である精米65グラム、パスタ乾麺100グラム、パン六枚切り二枚、焼きそば袋麺一袋を安売りでなく何となく買う値段とします。

お米はいまの小売物価価格2813円から逆算して28円、パスタはママー・スパゲティで55円くらい、ダブルソフトで63円くらい、マルちゃん焼きそば70円くらい、トップバリュのゆでうどんが40円くらい、揖保乃糸は90円くらい。小売価格は幅があるので細かい比較は怪しいけれど、やはりお米の安さは比較的揺るがなそうです。

さらに小麦食に付随する油脂成分(パスタならソース、パンならバターなど)も高いので、トータルで米食が節約しやすいかなという感じでしょうか。

こういうのがいいんだよ定食

(3)高タンパク食の方がよい?

私がダイエット成功していないので説得力を以って主張できないことが残念なのですが、炭水化物をタンパク質で置き換える意義には限界があり、普通の運動量の人が筋肉量を維持するためなら一食当たり手のひらにのる程度の動物性たんぱくを食べればよく、過剰摂取は内臓に負担があると同時に、脂質によってカロリーオーバーしがちです。お米は塩分や脂質を伴わずに満腹感を得られるので、たんぱく質と脂質を減らしたカロリーをお米に一部割り当てて動けば、自給率を上げながら幸せに痩せられる、はずです。

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586557.pdf  (日本人の食事摂取基準2020年 たんぱく質)

これについては、炭水化物を節制しまくる前に、遺伝子検査を受けるのも手だと思います。私は脂質がNGで、炭水化物による肥満傾向は少なめでしたので、食生活の参考にしています(お酒とおいしいものでチャラにはなってます・・)。

3.お米食べるための課題たち

(1)購入と保管 冷蔵と常温のあいだ

お米に限らずなのですが、1R、130リットルくらいの冷蔵庫だと食品の備蓄を美観を損なわずにするのに工夫が必要です。設計者の意識もそこにはないと思いますが、工夫があってもよいのにと思います。少し広い部屋に引越しても、いつか結婚するまでと小さな冷蔵庫のまま過ごし続ける人もよくみますが、冷蔵庫を少し大きくするのおすすめです。

しかし、冷蔵庫を多少大きくしても、5キロの米はなかなか冷蔵庫にはおさまりません。また、消費動向調査をみると、家庭で消費されるお米の大半はスーパーで購入されており、5キロは重いが2キロは割高のジレンマに悩む人は多いのではないでしょうか。ネットや米穀店から精米したてのお米を配送してもらうと重くはないけれど、5キロ袋開封後の常温保存に、炊飯器も置くとなると場所はとります。あとはこの暑さ。折角のお米、冷蔵したいです。流通のための1袋の大きさと、保管場所、消費サイクルとのミスマッチが、家庭消費の伸び悩みの一因ではとも思うのですが、どうでしょう。消費動向調査では、1世帯の月末在庫平均は6キロほどなんですが、実態が気になります。

そもそも、日本製の冷蔵庫には、わさびチューブの定位置はあるが、お米の定位置がありません。計量器つきの容器や保存袋は便利だし、漏斗があればペットボトルも活用できますが、お米は常温より冷蔵に適していて、みながお米を食べるのに基本仕様に入らないのは不思議な気がしますおまけにこの暑さ。パナソニックは、土井先生と提携して、お米や糠漬け、味噌、根菜や縦置きに適した野菜の定位置を定めた「丁寧な冷蔵庫」を発売したら革命が起きるのではないですかね・・。もちろん、学生向けの安価なモデルにこそ、お米を入れる場所を作って欲しいと思います。

(2)継続可能な炊飯 洗い米と柾式

ずぼらなら、無洗米の早炊でもよいですが、コスパを考えるとお米を研ぐ手間は厭わなくてもよいかと思います。まとめ炊飯+冷凍のためには、1合炊きではなく3-5合のサイズの調理器具(鍋パできる土鍋でも可)が必要です。また、まとめて炊かなくても予めといで洗い米として保存し、時短することも可能です。なお、炊飯器なしで時短でお米をおいしく炊く方法としておすすめなのが、柾式炊飯術です。

強火で一気に蓋をせずお米を鍋で焚き、沸騰してから8分で炊き上がり(ラストなべ底からおこげの音がしてきたら蓋して弱火)、蒸らし不要の奥義です。お試しあれ。新米のときは水加減を少し減らしてください。

また、炊き込みご飯、まぜごはん等にして冷凍しておけば、ごはんを温めるだけで簡易的な食事ができ、卵や他の具を足して焼けば即席チャーハンになります。梅干し入れて炊くのも最近教わってやってみて、とてもおいしかったです(炊き込みごはんのときは、柾式は適さないと思います)。

至高のメニュー

(3)米に溺れる日を

ダイエットしていても思い切りラーメンを食べる日があるように、炊き立ての新米に鰹節と海苔、TKG、手巻き寿司、おむすび、季節の炊き込みご飯、思い切りいくらを食べる日、ちまきの日、おかゆの日、と他のおかずではなくごはんが一番のごちそうの日があってもよいのかなと思います。ハレの日は、おかずもごちそうで、お米への余力が乏しくて心苦しかったりしますが、ごはんメインのハレの日なら支度も簡単で、もっと気軽に楽しめる気がします。休日の朝、パンケーキではなく、とっておきのお米を食すなども最高です。お腹いっぱいになったとて、こってりラーメンの罪に比べれば軽いものです。

炊飯土鍋、粥用のほうろく鍋、お櫃、ちらしずしやすし飯を入れる桶、曲げわっぱとお米を楽しむ道具を買うのも楽しいもの。自分のために買うのはちょっと気が引けたりしますが、私はコツコツ、ひとつずつふるさと納税で増やしました。お櫃や曲げわっぱに入った冷やごはんの甘さ、ぜひ味わっていただきたいです。なお、お櫃はワインクーラーに転用したりしています。

いくらを漬けた日
お粥鍋
新米たのしみ。


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