『栄養を最大限に引き出し、なおかつ健康でおいしい料理をつくることの難しさ』
ようやく私のやりたいことについて、知識と経験、そして伝える技術ができてきたので、少しずつ発信していこうと思います。
『栄養を最大限に引き出し、
なおかつ健康でおいしい料理をつくることの難しさ』
私の過去10年のテーマは「健康」でした。
「中医学」「東洋医学」「漢方」「陰陽」「マクロビオティック」など、どちらかというとまだエビデンスが確立されていない分野にのめりこんでいました。
時には神道などの精神的・スピリチュアルな分野も勉強していました。
その中でモヤモヤしていて、頭打ちでしたが、
5年前くらいから「栄養学」もプラスされ、より具体的な確立されている分野に興味を持つようになりました。
「生化学」「分子栄養学」
また「病理学」「解剖学」「細胞生物学」「代謝学」「脳科学」など、より細かく、人間の体の中でどんなことが行われているのかについて考えるようになりました。
この時から思っていたことは、美味しさだけではなく、食べた後の体の中で起こる変化にも注視した、つまり、料理を食べて食道から胃に入り、消化吸収を経て排泄に至るまで責任をもって提供できる料理を作りたいと思うようになりました。
世の中のほとんどの料理は、おそらく「美味しさ」を追究したものです。
もちろん、オーガニックにこだわったり、ビーガン料理など、
また添加物をつかわない、化学調味料を使わない、冷凍食品や加工品を使わないなど、ある程度こだわって提供しているレストランはあります。
ただ、ここで私が言いたいのは、果たして食べる人の身体にとって
表面的ではなく、体の中からキレイに健康になる料理なのか?
ということです。
例えば、揚げ物を例にとります。
基本的に揚げ物は、私は提供してしたくない調理法の一つです。
でもビジネス的に、美味しさ的に考えると、お店では揚げ物を提供すると、多くのお客さんに喜んでもらえる傾向はあると思います。
特にアルコールを提供している店にとっては揚げ物は必須ともいえる調理です。
それを言うと、「アルコールを提供している時点でどうなの?」という話もあるのですが、そこはバランスで、食べる人が何を求めて食べに来ているのかが重要です。
宴会などの、”盛り上がる” ”楽しむ”目的での食事であれば、アルコールや揚げ物を軸とした料理を提供する店もあっても良いですが、
健康面や将来的な食生活の改善などを考えると、まったくもってお勧めできるものではありません。
ラーメンなどもそうです。
どう考えても、健康に良いと思える要素は少ないです。
でもそれも考え方次第で、さまざまな業態のお店があり、多種多様な需要があるので、批判することでもないと思っています。
私も揚げ物とビールばかり食べるときもあれば、ラーメンを食べることもあります。
どのように考えるかが重要で、
提供する側も消費者も、しっかりと理解したうえで、自分の健康、他人の健康を意識するのが大事だと思います。
例えば、消費者目線で言えば、
ラーメンやスナック菓子など中毒性のある食事ばかりするような生活を毎日送るのではなく、
自分の身体を考えて、ジャンクフードは週1にして、なるべく自炊するなど。
その瞬間におこる欲望を優先するのではなく、長期的視野で考え食べ物を選出することが大事です。
そして提供する側、お店の人は、
ラーメンだったら、MSGや添加物、脂たっぷりの炭水化物だらけの中毒性になることを目的とした料理を提供するのではなく、
もっとシンプルに、素材を生かして美味しさを引き出したラーメンを作ってほしいと思います。
ビジネスとして、お金を稼ぐ、税金をしっかり払う、スタッフの生活を保障する、という気持ちはわかりますが、
それによって、お客さんの健康を明らかに害するような料理を提供するのは、正直私はどうかと思います。
ですが、そんな料理を求めている消費者も多いというのも問題があります。
だから、提供者と消費者の両者がしっかりと見極められるようになってほしいのですが、その議論もなかなか難しく、年齢層によっても変わってきます。
代謝や解毒能力が高い20代なら、ジャンクフードばかり食べていても、
まだまだ元気で仕事も生活もできたりします。
でもそれが40代になっても同じようなことをしていたら、確実に慢性疾患、生活習慣病を引き起こしやすくなります。
さて、初めの揚げ物の例にもどると、
20代のストレスが溜まっている社会人に提供するための、やりきれない思いを発散する場所、明日も頑張ろうと思うために、
居酒屋で唐揚げとビールを飲む。というのであれば、百歩ゆずって少し理解しますが、
あきらかにアルコールは体に悪いですし、揚げ物もアルデヒドや過酸化物質など、老化を促進する要素がたっぷりです。
*ちなみに「適度なアルコールは良い」というのは間違いで、全く飲まない方が健康だという研究結果は出ています。
消費者も、食べて飲んでいるその時は良い気持ちですが、明日になったら、結局、前日の食事が原因で、疲れが取れず仕事するはめになるのが目に見えています。
そんなことがわかっているのに、
なぜ、あきらかに体に良くない料理を提供するのか理解できないというのが
私の意見ですが、
批判を恐れずに言うと、消費者も提供者も「その時」しか見えていないと思います。
また、ただ食欲を満たすだけだったり、あまりにも”美味しさ”や”体験”だけを求めに食事をしている人が多いような気もします。しょうがないような気もしますが、残念です。
ようするに目の前の利益だけしか見ていなくて、将来的に起こるリスクをちゃんと理解していない。
本当に社会のため、人のために行っているとは思えません。
でも、全部が全部悪いと言っているわけでもないです。
まあ、あとは健康を意識するなら、レストランで高いお金を出すよりも、自分で選んで作った方が安全だしコストもかからないのも事実です。
それにもしかしたら、これらも全部私のエゴで、外食産業をそこまで健康志向に変える必要もないのかもしれません。
個々の環境や生活の問題もあるので、これ以上は言いませんが、
話は戻って、例えば揚げ物なら、
・真っ黒になって酸化されまくった油を使わない。
・油を十分にきる(スタッフ指導)
・安いという理由で油を使わない。
・レモンや漬け酢など、揚げ物には酸味のものを必ず加える
・生キャベツやサラダも添える
・なるべく揚げ時間を短くするような工夫をする
などできることはあるでしょう。
ラーメンも同じですが、作り方によっては、ある程度健康的な部分もあると思っています。
しっかりと骨と野菜からだしを取れば、栄養も含まれたラーメンスープになります。
もちろん脂の摂りすぎは免れませんが、食べ方に関しても、早食いするのではなく、できるだけよく噛んで食べるなどすれば、消化の面で、ある程度の解決にはなります。
個人的に毎回思うのですが、麺の量が多くて伸びる前に早く食べなければと思い、早食いになってしまうのも一つのよろしくない早食いの原因だと思います。なので、
・そもそも最初の麺の量を少なくして、必要なら替え玉する。
・野菜を多く入れる
などして、ラーメンひとつとっても、工夫次第で栄養面や消化の速度などを変えることができるでしょう。
まだまだあります。
コース料理でも、食べる順番などを意識しているか?
例えば、いきなり炭水化物が出てきたら、「なんだこの店?」と思ってしまいます。(あまり無いと思いますが)
人間の消化の過程で、一番最後に食べるべきは炭水化物です。
最初は、胃腸の強さや、どんな体づくりをしたいかにもよりますが、
サラダやタンパク質、もっと言えば、酢の物が1番目が理想です。
このようなことも、胃酸の分泌量や血糖値のコントロールという面で大事です。
また食後にフルーツはNG、しかし他の食べ物の消化を促進させるための目的でとるのであれば少量OKなど。
フルーツは胃に何時間で消化吸収される?
炭水化物やタンパク質はどれくらいで吸収される?
食べ物による胃腸通過の違いは?
組み合わせによってどう変わるのか?
そんなことも知っていると、料理の順番や組み合わせなど、より深く、より健康的な食事を提供することが可能です。
もっと言うのであれば、それぞれ料理によってどんな栄養素が体に入り、どのような効果をもたらすのか?
例えば、〇〇の栄養素は十二指腸で吸収され、ミネラルの△△は空腸で吸収される。
食材に脂溶性ビタミンが多く含まれている場合、効率よく摂るために脂質の含まれた食材も少し入れたり油を少し足すなどすると吸収効率が高まる。
など、考えられると理想だと思います。
また私は、ここ最近では、それに加えて「美味しさ」も考えるようになりました。
というのも「健康」だけに特化して料理を考えていると、どうしても、一流のレストランで食べるような料理と若干相容れない部分も出てきます。
例えば、私の料理は基本的に白砂糖を使わないですが、料理において白砂糖を使うと、明らかに美味しく感じます。
これをステビアやエリスリトールなどのカロリーゼロで、血糖値も上げにくい天然甘味料で代用しても、
白砂糖を入れた時の、中毒性ともいえる圧倒的な美味しさは作り出せません。
そんなことも考え、どうすれば、食材の栄養を逃さず、最大限に生かし、
なおかつ圧倒的に美味しい料理を作るのか?
それでいて、見た目も美しく、食べた後の胃腸での消化吸収にも優しく、体にも健康効果を及ぼす料理はどうすればいいか?
こんなことを常々考えています。
一昔前は、私自身作る料理に多くの制限をかけていました。
乳製品を使わない、グルテンフリー、加工食品なし、添加物フリー、MSGフリー、精製された小麦、白砂糖を使わない、黒砂糖もはちみつも使わない
(個人的なアレルギー面からも)Soyフリー、ナッツを入れない、
大型魚を使わない、肉は野生肉、調味料も添加されているものがあれば使わないで純粋な食材由来のみのものだけ使う。
揚げ物は無し、使う油は厳選したもの。基本油は高温加熱しない。
それでいて、栄養バランスも考えられた料理を作るようにしていました。
ただ今は、栄養や消化吸収、健康面を含めた上での、一流のレストラン以上の味も追及していきたいので、
これまでの厳しい制限はしないで、いくつか料理によっては使ってもOKという風にしています。
*でも本心はなるべく使いたくはないです。
以上、これが私の「料理理論」です。
将来的には、
個人個人にあった料理をその場で的確に見分けられ、
一人ひとりカスタマイズされた料理を作れるようになる。
というのが今のところの目標です。
それが私の中での『食医』と言われる、
医者のように相手の状態を見たうえで、西洋医学と東洋医学の両面から判断でき、その人の症状・状態にあった料理を提供でき、
なおかつ、即効性もあり、将来的に継続して効果も得られるような料理を作る人です。
そのために日々学んでいます。
今後は、そのようなことを念頭に置きながら、
どんな考えで食材や調味料を選んでいるのか?
どのような考察のもと、このような料理を作るのか?
についても書いていきたいと思っています。
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