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マックのマニュアル 21

 2回にわたって人事評価などの話をしたが、実は評価の進め方が最も難しい。評価を下すのは難しくないが、それを相手に理解納得させ、部下が自分の課題を理解し、次期評価までに改善するようにさせるのが難しい。私が、中四国関西地区の運営部長の時に編み出したのがコミュニケーションデーという仕組みだ。
 それ以前の私が統括SV時代には、店舗訪問し、問題点を発見して、即座に部下に改善を指示していたワンマンスタイルだ。統括SV時代は自信満々であった。しかし米国に駐在責任者として2年3か月いる間に、私の問題発見解決能力が著しく低下した。駐在責任者というと格好が良いが、店長兼見習いフランチャイジーだから、統括SVとして30店舗近い店舗の秒単位の行動力・管理能力と比べようがない。
 日本に帰国し、慣れない関西に赴任すると、自分の店舗現場での能力が著しく低下しているのに気が付かせられた。その反面、店舗を回って部下のSVが店舗のオペレーションをどのように考え、何をしようとしているかがよく見えるようになった。
統括SVとして自信満々に店舗を回り店舗オペレーションを改善するといってもたかが知れているのだ。それより部下のSVが店舗をどのように見て、どのように改善するかのほうが重要なのだ。
 また、当時の日本マクドナルドは、厳しい上下関係から、和気あいあいとしたチームワークを目指していた。それが前回お話したように、宴会、ゴルフの盛んな仲良しクラブとなってしまった。
 そこでコミュニケーションデーと銘打ち、部下の統括SVとともに、SVが担当店舗の店長への評価に立ち会うことにした。評価のポイントは以下に詳しく述べるが、QSCと人物金の管理、自己管理と目標管理、の7点評価だ。
評価は単にコメントするのではなく、QSCならば、SVが店舗訪問時につけた過去の店舗訪問記録、総合評価のフルフィールドサービス、ファーストアシスタントチェック、をもとに具体的に評価をする。
金の管理で言えば、マンスリーオペレーションレポート、損益計算書、監査記録(SV実施のものと、監査室実施のもの両方)、人で言えば、アルバイトへのトレーニング、アシスタントマネージャーへのMDPのサポート状況、ワークスケジュールの作り方など、具体的にわかりやすく評価させる。このコミュニケーションデーでわかるのは、店長だけでなく、SV、統括SVの評価ともなるのだ。 
 このように具体的な評価をさせると、店舗を漫然と訪問し、ぼーっとして時間を過ごすことができない。自身の行動予定を、指導相手の部下の状況と予定を見て綿密・具体的に予定を組む必要があることが肌身で感じる。

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