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【土用のうなぎで食中毒】

土用丑の日で売上げのピークを迎える 24日に大きな事件がおきました。横浜市港南区の京急百貨店のテナント「日本橋鰻伊勢定」で発売されたうな重を原因とする食中毒事件が発生しました。1761個販売した中で147人の方が発症、原因ははっきりしませんが90歳の女性が死亡しています。原因として特定されたのが黄色ブドウ球菌でした。
黄色ブドウ球菌は増えるとエンテロトキシンを産生します。この毒素は100℃で30分加熱しても壊れません。すなわち毒素が産生された食品は加熱したから大丈夫とはならないのです。毒素を含んだ食品を食べると、1時間から5時間で吐き気・嘔吐・腹痛・下痢の症状が出ます。重症化することはありませんが、数時間から2日で症状は改善します。とはいえ、提供した食品が原因でお客様に迷惑を掛けることは許されません。当然食中毒事件として処分の対象になります。
ではどうやって予防するか。
黄色ブドウ球菌は、健康な人でも30%くらいが鼻の周りや手指などに保菌しています。また化膿した傷の周りに沢山います。確実な手洗い、手指に傷がある場合は、絆創膏だけでなく、手袋をつけて直接食品に触れないこと。今回のうなぎ屋でも、鰻を焼く職人だけは素手を許していたのに他の従業員も手袋をしていなかったとのこと。どこにでもいる菌だけに、「つけない、増やさない、殺す」の食中毒予防三原則を守ることはもちろんのこと。
「加熱しても死なない菌、熱でも壊れない毒素を作る菌がいること」を作業する方にしつこい位、教育することが重要です。
イベント等で通常より製造数が増えるときは常温で放置する機会が増え、その分食中毒菌の増殖する危険性も増えます。どうやって制菌するのか予め計画しておく必要があります。お客様を守るため、会社を守るため、従業員を守るために必要なことです。
40年数前にマクドナルドでアルバイトしていた当時、素手で顔や髪の毛を触ったのをマネージャーに見つかると、直ぐに手を洗いなさいと指導されたのを思い出します。食品の安全を守る手段は半世紀たっても変わらないのです。
 
国立感染症研究所「黄色ブドウ球菌」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/511-aureus.html
京急百貨店、伊勢定のプレスリリース
https://isesada.co.jp/content/20240729_info-01.pdf
 
【プロフィール】
 
上田和久
 
kazz@studiowork.jp
 
スタジオワーク合同会社 代表
 
1959年熊本県生まれ、京都、福岡で暮らし、都城の単身生活を終え福岡に戻っています。
国際HACCP同盟認定リードインストラクター、JHTC認定リードインストラクター
上田和久 facebookは
https://www.facebook.com/kazz.ueda
 
経歴と仕事分野
 厨房設備施工会社、電機メーカーで冷蔵設備の設計施工営業を担当後、食品メーカーへ転職し、品質保証の仕事を経て、2016年コンサルタントとして独立。
 主に、HACCPの認証取得が目的ではない、あるいは安全安心な食品を提供することを目的にした企業に対して、HACCPに基づいた衛生管理の取り組みを支援している。
 具体的には、食品工場に対し、これまでの計画施工から現場運営まで経験を生かした新築・増改築についての助言を行う他、製造現場に対して、クレーム対応、異物混入の原因の究明と対策、再発防止の仕組み作りの提案を行っている。
 食品工場の抱える問題やこれからますます厳しくなる要求への対応、それらを一緒に解決していくことを使命とし、精力的に活動している。
 


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