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空の雲フーの幸せレシピ 第7話

「エミリ、エミリ、起きなさい。風邪を引いてしまうよ」お父さんの声で、エミリは目を覚ましました。

エミリは火を身ながら眠っていたのです。眠い目をこすりながらエミリはお鍋に目をやりました。

「あ!スープはどうなった?!」


「エミリ、ひとりで火を使っちゃだめだと言ってあっただろう?危ないじゃないか」

お父さんは眉をひそめて言いました。

「ひとりじゃなかったの。雲のフーが一緒だったよ。それにララだっていたし。」

「雲のフー?一体なんのことだい?」

お父さんは不思議そうな顔をして聞きました。エミリは周りを急いで見回しました。

フーの姿はどこにもありません。


「フーは雲の男の子。美味しいスープ作るのを手伝ってくれたの!」

「へぇ、そうなのかい」お父さんはエミリが夢を見ていたのだと思って聞いていました。

でも、ストーブの上を見ると、具の入ったスープがグツグツに煮えています。

おたまでかき混ぜてみると、鶏の手羽肉、トマト、玉ねぎも見えます。
 
「これ、全部エミリが探して入れたの?」

お父さんは驚いて聞きました。

「そうよ。雲のフーが、材料を探すのを一緒に手伝ってくれたの。」

「うーん、よく分からないなあ。」

エミリは、もの分かりの悪いお父さんに少しがっかりしましたが、気を取り直して、おたまを「はい」と渡しました。

お父さんは娘の顔を不思議そうに見てから鍋の中のスープの味見をしてみました。

「うん、おいしい。いいおだしが取れているね。」

お父さんは、戸棚から陶器の入れ物に入った塩を取り出しました。
 
「これはローズマリーソルトを入れるのにちょうどいい。」

「そうでしょう?」とエミリは目を輝かせていいました。

そう言ってお父さんは、ローズマリー塩をスプーンで入れて、コショウもひと振り入れました。
 
そしてもう一度味見をすると、

「よし、これで完成!」と言いました。


その夜、二人はお母さんにスープを食べてもらいました。それを食べてしばらく休んでいたお母さんは、冷えた体がぽかぽか温かくなりました。これなら風邪も早く治りそうです。


エミリが寝たあと、お母さんは、お父さんと話していました。
 
お母さんは、小さなエミリをひとりきりにしてしまったことを、とても悔やんで言いました。

「私が寝ている間、エミリをひとりきりにしてしまったわ。火の側に行かないように見ていられなくて、本当にごめんなさい。」
 
お父さんは答えました。

「具合が悪くなってしまった時は仕方ないさ。それよりも連絡をすぐにくれてよかったよ。それで、早めに買い出しを切り上げて早く帰って来られたんだから。とにかく、みんな無事で本当によかった。」


じつは、お父さんは、お母さんから連絡を受けた時に、ひとりになるエミリを心配しました。そして、すぐにこう祈ったのです。

「イエスさま、どうか、妻の具合が早くよくなるようにしてください。そして、天使を送ってエミリが安全でいられるように、お守りください。すべてが御心のとおりになりますように。」


その後、お父さんは、エミリの寝室の中にそっと入り、娘の顔を愛おしそうに見つめました。

「エミリが言っていた雲のフーというのは、よく分からないけれど、無事に守られたことは間違いない。祈りが聞かれたんだ。イエスさま、ありがとうございます」

お父さんは、その夜、台所でしばらく次の日に食べる料理の仕込みをしていました。

そして、まだたっぷり余っているスープに目をおとしました。

そばには、他の料理を作った時に余った、卵の白身があります。「この卵白、捨ててしまうのはもったいないなぁ」

次の瞬間、お父さんはいい事を思いつきました。

 つづく

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