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ゆっくり夢日記「三郎」2014年5月25日

朗読動画

https://youtu.be/9MwrrymsrYo

記録

2014.05.25
三郎のお家に呼ばれる。森の奥に池があってその池の奥に三郎のお家がある。船とすら言えないような木が浮かんでいて大量の水草が絡んでいる。これに乗って移動する。三郎が泳いで押してくれる。「ねぇ、橋を作ったらいいんじゃない?」と聞くと「橋を作ったら気軽に招かれざる客が来てしまうでしょう?」と言われる。まぁそうだよね、と思うけど流石にこの移動手段はめんどくさいなと思う。コートがビショビショで重そうだ。ちょっと着替えて来るので…と言われたので池の淵で待つ。池の対岸にはチラホラ人がいるが此方にくる方法がわからないようだ。私を見つけて憎悪の目で睨む女が一人いる。怖い。三郎が着替え終わったので、「三郎さん、こちらに来たい人が沢山いますよ、ほらあの女の人とか君のこと好きみたいだし」と言ったら、あの女に移動手段を言ってないよね?バレたら困るんだ、昔優しくしたら惚れられて困ってる、もしかしたら君逆恨みされるかもしれない気をつけろ、と長々話される。面倒ごとは嫌だな?と思う。取り敢えず人が散るまでお家で時間を潰す、日が暮れて人がいなくなったので、帰る。やっぱり木に乗る。三郎が泳ぐ。なぁ、やっぱりこの移動手段はめんどうじゃないか?と蒸し返してみたら、これはこれで気に入っているからいいと言われる。なら仕方ないなぁ。岸に着く。なんやすまんかったね今日はありがとう楽しかったよと挨拶すると怖い顔で誰にも見つからないように森を抜けないといけない、着いてこいと言われる。従って歩いているとさっきの女が包丁をもってウロウロしている。怖い。なんとか森を抜ける。熱りが覚めるまで二度と訪ねたくないと思う。

詩「三郎」

2014.05.25

鬱蒼とした森を歩き続けると急に視界が開けた。
そこには大きな湖があった。波一つ立てず静かに光を反射している。
その湖の中心には小さな島があり森と同じくらい木が茂っていて、暗く沈んで見えた。
湖の煌めきとその島の影の濃さが対比的だった。

本当にここなのかな?と思いながら、石に腰かけ湖を眺める。
風が気持ちいい、良い五月晴れだ。
茂みがガサガサと揺れ、男が顔を出した。
「お待たせしました。」
といい男は帽子を軽く持ち上げる。頭を掻くと葉っぱが二、三枚、零れ落ちた。暑いですねぇと彼はいう。それはこの季節なのにコートを着てるからでは?と言いたくなったが、喋り過ぎるのはこの晴天に合わないと思って黙っておいた。男の名は三郎という。

今日は三郎の家に招待されたのだ。
ひとしきり葉っぱを払うと
「さあ行きましょうか。」
と三郎は言った。彼について行くと、湖のほとりに大量の水草が絡んだ小さな木片が浮いていた。
「乗ってください、僕が押しますので。」
私が板に乗ると三郎は湖に入り島まで泳いで押してくれた。
小島に着くころには三郎は疲労困憊といった感じで、肩で息をしながら木陰にへたり込んだ。
「ねぇ、橋を作ったらいいんじゃない?」と聞くと
「橋を作ったら気軽に招かれざる客が来てしまうでしょう?」と言われた。
確かになぁと納得したが、流石にこの移動手段はめんどくさいんじゃないかと思った。
コートがビショビショで重そうだ。
「ちょっと着替えて来るので…」といい三郎は姿を消した。
木陰から湖の外を眺めていると
対岸にチラホラ人がいるのが見えた。
彼らは此方に来たいようだが来る方法がわからないようだ。
その中に私を見つけて憎悪の目で睨む女が一人いる。
「こっちですー!」
という声がしたのでそちらに行くと、着替え終わった三郎が何事もなかったかのように涼しげな顔で迎えてくれた。まるで汗なんて流したことないですよという顔をしている。やはり暑かったのか、今度はシャツ一枚をさらりと着こなしていた。
対岸の人々が気になったので、
「三郎さん、こちらに来たい人が沢山いますよ、ほらあの女の人とか君のこと好きなんじゃない?」と指さしながら言うと
三郎は目を見開きヒュッっと大きく肺に空気を吸い込み
「あの女に移動手段を言ってないよね?バレたら困るんだ、昔優しくしたら惚れられて困ってる、もしかしたら君逆恨みされるかもしれない気をつけろ」と口早にいった。
その圧に押されて、ごめんと言うと、「いい、いい、君が悪い訳じゃない…」と呟きその場をうろうろ回った。
面倒ごとの予感がして気が滅入った。
「本当は日が暮れる前に送りたかったのですが…仕方ないですね、夜まで家に居てください。いいですね?」
と三郎は言い、彼の家に続く道へ歩きだした。
森は外側のほんの一層だけで中心に行くに連れて彼が作った庭が広がっていた。見たこともないグロテスクな花も咲いていたが不思議と調和がとれていた。彼の家は、木を使った素朴な家具で統一されていてセンスの良さが垣間見えるのだがどこか印象に残らない家だった。彼とどんな話をしたか覚えていない。暫く話した後は好きに過ごしてくださいと言われたので、本を読んだりハンモックで昼寝したりした。
「起きてください。」と言われ目が覚めた。
辺りはすっかり真っ暗になっていてホーホーと梟の声が聞こえた。
「向こう岸まで送ります。」

木片に乗せられ、三郎が泳ぐ。夜の水は冷たそうだ。
「ねぇ、やっぱりこの移動手段はめんどうじゃないかな?」と蒸し返してみると、
「これはこれで気に入っているんです。」と返された。
なら仕方ないなぁと思う。昼間と違って三郎は気持ちよさそうに泳いでいた。満月がぽっかり空に浮かんでいて綺麗だ。
岸に着くと私を抱き上げ丁寧に陸におろしてくれた。
「なんかごめんね、今日はありがとう楽しかったよ」と挨拶すると三郎は怖い顔で「誰にも見つからないように森を抜けないといけない、着いてきて」と言われた。昼間の圧力とは違う、何かに怯えて緊張しているように見える。
従って暫く歩いていると「止まれ」と小声で言われた。
ずっと先のけもの道に誰かいる。雲が流れて月明かりが辺りを照らすと
さっきの女が包丁をもってウロウロしているのが見えた。
見つからないように隠れながらなんとか森を抜ける。
熱りが覚めるまで訪ねたくないと思う。


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