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「折り紙星座ランタン」で学ぶ春の星座

今回は「折り紙星座ランタン」を使って、春の星座について解説していこうと思います。折り紙×星座という新たな切り口で星座解説記事を書いてみました。初心者の方でもわかりやすいように書いたつもりですので、星座や折り紙に興味があるという方がおられましたら、購入いただけると嬉しいです。詳しくは下記の記事をご覧ください。

天球儀とは

この記事では「折り紙天球儀」を使って春の星座を紹介していきます。また、星座早見兼照明として使えるように、ランタンへの改造の仕方なども解説していきます。
「天球儀」というと、聞きなじみのない言葉かもしれませんが、地球儀の星空版だと考えてみてください。地球の緯度や経度と同じように、それぞれの星にも「赤緯」「赤経」が決まっています。そして地球儀の緯度が90度(=一番北や南)のところに軸があるように、天球儀の北緯90度のところには北極星があります。星たちはそこを中心に1日1回転しているのです。
ということで実際に折っていきましょう。

天球儀づくり

 型紙はコチラ↓↓

上の型紙を印刷してください。ふちを切り落として、折り紙の「風船」という折り方で折ると立方体上の天球儀ができます。折り方はYoutubeで「折り紙 風船」と検索すると、わかりやすい解説がたくさん出てくるかと思いますのでそちらをご利用ください。公式サイトでも紹介しています。https://sites.google.com/view/oruuchu/%E5%9E%8B%E7%B4%99%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6

完成したら、どこにどんな星座があるのか見てみてください。一番上の真ん中には北極星があって、下の面には見慣れない星座がいっぱいあるなあ、と感じていただけたら十分かと思います。それに加え、それぞれの季節の星座、と言われる星座がだいたい側面4つに季節ごとに分かれているのが見て取れるようになっています。
さらにここで、面白い使い方を紹介しておきます。100均等で購入できる小さなLEDを吹き口の部分から入れてみてください。こうすることで「星座ランタン」として使うことができます。これを星を見るときにもっていけば照明にもなり、星座も確認できるので一石二鳥というわけです。ただし、持っていくときはLEDにセロファンをかぶせるなどして、赤く光るようにしておくといいでしょう。星をよく見るためには暗闇に目を慣らすことが重要で、白い光だと刺激が強く、星をよく見ることができません。実際のところ、天体観測では赤く光るライトを使うのが鉄則になっています。
LEDは公式サイトで紹介していますので、詳しくはそちらをご覧下さい。


春の星座


春の大曲線


それではお待たせしました。春の星座を紹介していきます。まずは「おとめ座」「りょうけん座」「かみのけ座」等が描かれている面を探してください。春の星座たちがお出迎えしています。
ということで、まずは「おおぐま」座を探しましょう。ほかの面にもまたがっていて少し見つけにくいかもしれませんが、この面のちょうど右上にあります。星座線を見ると、頭やしっぽの位置がわかるかと思います。
そこから、しっぽ部分にあるフライパンのような形の七つの星の並び「北斗七星」を探しましょう。星座解説でだいたい最初に紹介される星の並びなので、ぱっと見つけられる方も多いかと思います。(わからなければ図で確認してください)ちなみに、この並びの左から2番目の星は「ミザール・アルコル」といい、実は二つの星が隣接している二重星となっています。昔この星を兵士の視力検査に用いており、見分けられるかどうかで戦場行きが決まっていたとか…。

 
そこからひしゃくの柄の部分の曲線を伸ばしていくと一等星が見つかります。名前は「アークツルス」、うしかい座の星です。「アルクトゥルス」「アルクツルス」等呼び方はいろいろありますが、今回はこれで統一させて下さい。この星は麦を刈る頃の日没直後頭の真上に輝き、色も麦に似ていることから「麦星」という名がつけられています。
また、アークツルスには「熊の番人」という意味がありつつも、星座絵では右隣りのりょうけん座を従えるように描かれています。りょうけん座は二匹の猟犬の星座で、2つ並んでいる星の左側は2等星の「コル・カロリ」です。
話は逸れましたが、引き続き先ほどの曲線をたどっていきましょう。うしかい座まで伸ばしてきた曲線をさらに辿ると、おとめ座の一等星「スピカ」を見つけることができます。黄道十二星座の一つなので、もしかしたら読者の中に、おとめ座生まれの方がいらっしゃるかもしれません。こちらのスピカは「真珠星」と言われていて、アークツルスよりも若いため、白く輝くのが特徴です。
それに加え、この周辺には「おとめ座銀河団」という銀河の集団があり、銀河がたくさん見られます。人類が最初に撮影を成功したブラックホールがあるⅯ87という銀河も、この周辺にあります。
そして、先ほどまで伸ばしてきた曲線をおとめ座の下にある「からす座」まで伸ばすとこの線は終了です。この曲線のことを「春の大曲線」と呼んでいます。
さて、曲線も終わったので今度はおとめ座の右上を見てみましょう。これまた黄道十二星座の一つ、しし座があります。面をまたいで星座の右側には「?」マークを裏返したような特徴的な形「ししの大鎌(おおがま)」があり、その最下部にあるのが一等星「レグルス」で、「小さな王」という意味があります。
そしてしし座の一番左側、しっぽに当たる部分にあるのが、獅子の尾「デネボラ」です。こちらは二等星なのですが、かなり名前が知られている星で、先ほど辿ってきた「アークツルス」「スピカ」と繋いで「春の大三角」といいます。「コル・カロリ」も含めて、春のダイヤモンド、と呼ぶこともあります。ちなみに、名前がよく知られている二等星がこんなにあるのは春ぐらいです。

春の動物たち

ここからは発展編ということで、春の夜空に輝く、動物の星座たちをいくつか紹介していきます。
まずはかに座。黄道十二星座の一つとして広く知られている星座で、面をまたいでしし座の右にあります。中心の胴体部分からハサミや足が出ているような星の並びが特徴です。
そんなかに座の中央には、M44「プレセぺ星団」という散開星団があります。「M」とはメシエカタログの略で、星雲や星団、銀河などが100個以上掲載されているリストです。シャルル・メシエという人が、彗星発見の時に紛らわしい天体のリストという形で作りました。また散開星団とは、比較的若い星たちの集団のことで、星が割と散らばっているのが特徴です。いわゆる赤ちゃんの集まり、保育園のようなものだと思ってください。そしてこの天体はマニアの間で、通称「カニみそ」と呼ばれています。理由はもうお分かりかと思いますが、カニの真ん中にあるからです。
空の暗い所に行かないと見えにくいかもしれませんが、おいしいものが食べたいなあと思ったときには星座ランタン片手に、この星座に思いをはせてみてください。
 
続いて紹介するのは「うみへび座」です。先ほどのかに座を狙っているような位置に横たわっていて、どちらが口か一目でわかるかと思います。ちなみにギリシャ神話上では、二匹は仲間ということになっています。興味のある方は調べてみてください。
そしてこの星座最大の特徴は、その「大きさ」です。この星座を探すときに驚いた方もいらっしゃるかもしれませんが、なんと一面に収まりきっていません。実は星座ごとに領土のようなものが決まっているのですが、その広さは88ある星座の中で第1位で、一番小さい星座の約19倍です。日本の都道府県ほどダントツで決まっているわけではないのですが、見た目のインパクトから「北海道的存在」といえるでしょう。
ちなみに右側から辿って、最初の90度曲がっている角を進んだ下のところに二等星「アルファルド」があり、明るさが時によって変化する「変光星」となっています。また、うみへび座の上には「ろくぶんぎ座」「コップ座」など3つの星座が乗っかっているので、興味のある方はそちらも調べてみてください。
 
最後に「やまねこ座」を紹介します。かに座の上あたりにあるかと思いますので探してみてください。
この星座の特徴はズバリ、とにかく見つけにくい、ということです。今回は星座線などがあったので割と見つけやすかったですが、実際の空ではかなり見つけにくく、実際のところ筆者も観察したことがありません。とある天文学者は、この星座を探すときにはやまねこのような鋭い眼を持っていないといけない、という言葉を残しているようです。
 
ということで今回は、春の動物の星座紹介を行いました。ほかにも「おおかみ」「こじし」といった、まだ紹介できていない星座もあるので、もし気になった星座があれば、神話や天体の見所などを調べてみてください。
最後に、このプロジェクトに対してご意見等ありましたらコメントください。

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