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消えてゆくきみ

溶けてゆくきみ。光に溶かされてゆくきみ。綺麗な音の中に消えていって、もう絶対に逢えないんだろうなと思う。いない。いないから。
絵を習いたいです。かきたい。何者でも、描きたい。あの曲を聴く度にね、あの曇り空の日の海の白い起伏を思い出すんです。車窓から視界に閉じ込めた、あの電波塔と、きみのいる街が、何度でも何度でも表れる。ビルが立ち並んででこぼこした水色と灰色の境界線をいつまでも忘れられない。きみを捉えるときの感覚は、海を見ながら冷たい大きな風に攫われそうになるときと似ているんです。この前行った島からもかつてきみがいた街が見えました。灰色で、水族館の端っこに白い波が迫る様子があの向こう側に見えた。これは何も形なんかなくてこれに当てはまる言葉がなくて、もはやこれは精神世界のようなものだね。精神世界が水色と灰色と白色で再生されているから、いつまでも透き通っていられるような気がする。泳いでいる。生きているというより、泳いでいるんでしょう。都市の中を泳いでなんだか冷たくて気持ちいい水をかき分けて潜って密着して触れて、その水の中で自分と水が合わさるような。そうだ、ずっとそうだね。冷たくて気持ちいい水の中を泳いでいる気がするよ。そしてどんどん同じになっていく気がするよ。きみだってこんな水の中に消えていったでしょう。綺麗な透き通る光の射す水の中へ泳いでいったでしょう。たのしいんだね泳ぐことは。

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