見出し画像

知覧

『知覧』

親は探しとおした。

たった一晩
相手になってくれる人を。

大きく言えない
一晩
私の息子の相手をしてもらえないか?
母親は
年頃の娘がいると
話を聞けば
すぐさま
駆け付けた。

私は24歳
相手は18歳だった。
話を聞けば
相手は私だけではないという。

お国の為です

そう言いながら
酒を飲む。

女も知らんのに
死にに出すことは出来ん。
そういって
母親は方々に出歩いた

その意味が
非常にわかった。

飛び立つとき。

あの娘さん
腹が大きなったらしいけんど
うちの息子の
種かも知れん。

陰ながら見守る親は多かっただろう

終戦記念日

行きだけの
燃料しか積まなかった
我が子

一抹の望みにかけるも
帰っては来なかった。

あの娘さん
あの子の子は私んとこの
息子の種に決まっとる。

皆が見守る
子宝。

かわええのう。

暗黙ながら
目頭が熱くなる。

#短編小説
#創作大賞2024
#オールカテゴリ部門
#fmkopenopen
#知覧
#戦争

サポート!自分を発信していくために活動費用として、役立てたいと思おます! よろしくお願いします。