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キャセリーニ

あんなに長くいたのに知らないことばっかだったよキャセリーニ

歌を歌うのが嫌いだと言って頑なにカラオケデートは断っていたよね


この間君が大きな声でお風呂場でオオシャンゼリゼを歌っていたのを聞いてしまったよ

何とも複雑な気持ちでいてもたってもいられなくなったんだ

たった一節だけだったけれど、君が人前で歌う事を嫌う理由は分かったよ

僕はそんな君も愛せると思っていたのにさ




あんなに長くいたのに知らないことばっかだったよキャセリーニ


君はてっきりお酒が飲めないのかと思ってたよ


僕とは居酒屋に行ってくれたことなかったよね

私一口飲んだら真っ赤になって渋谷メルトダウンしちゃうの

なんてわけのわからないことを言ってたよね

共通の知人のSNSに写っていた君は大勢の男女の中心で盃を交わしていたよね


一口どころかグビグビと喉越しを楽しんでいたその姿にまた惚れそうになったよ




あんなに長くいたのに知らないことばっかだったよキャセリーニ


本当は煙草吸うんだろ?

別れる前の誕生日、蝋燭に火をつけるその仕草はそのものだった

すごくカッコよく見えて、何であの時タバコの匂いが嫌いだなんて言ったんだろう



あんなに長くいたのに知らないことばっかだったよキャセリーニ


本当はピンクより青がすきだったこと

スタバのコーヒーよりもタリーズが好きだったこと

スカートは僕のために履いてくれたこと

インドアな僕を気にかけてアウトドアな君を隠していたこと


それは優しさなのかいキャセリーニ

どうもその優しさが僕を傷付けているみたいだ



僕に足りなかった傾聴を君はその大きなピアスがついた耳で現してくれてた

僕に足りなかった男らしさを埋めるように歩幅と息まで合わせてくれた

僕は君の夢から一生覚めることができないみたいだよ

何だか怪しいけれど信じたくなる宗教みたいな君からの呪縛

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