今日を独り言で終える
昨晩は、下北沢で気心の知れた友人たちとひたすらに会話をした。特におしゃれな店で飲み食いをするわけでもなく、冷たいコンクリートで出来た建物の前にポツンと佇むベンチを予約して、ひたすらに会話をした。各々の暮らしの中で起きる事件や繰り返される平凡な時間について話した。どれだけ辛くても明日は来るし、仕事へは行く。そんな生活の中で暮らしを少しずつ見つけて、自分を保っているのかもしれない。家に着くと、クマはひどいものの体は頗る元気で本を一冊手に取った。星空の地図帳を手に取った。天体が好きだ。私がどれだけ怠けて暮らしを疎かにしようとも、大好きな人に振られようとも彼らは変わらずに自分の星を全うしてくれている。気付けば太陽は上りかけていて、朝を迎えた。大きなグラスに並々のアイスコーヒーを注いで、今日を始めた。個展の打ち合わせ前に一頻り仕事を済ませて、家を出た。新宿は嫌いだ。駅に着いた後、地上に出るまでかなりの時間を要する。あれよあれよと溢れる看板に誘われて、喫煙喫茶に向かう。ピラフを頼んだ。白いピラフに真っ赤な福神漬けが滲んでいた。カレーに福神漬けは私の固定概念だったのかもしれないな。そんなことを思いながら掻き込むピラフ。本日2杯目のアイスコーヒーで流し込む。軽くパソコンで作業をしていると、データが消えた。データなんてものはこうも簡単に消えてしまうのに、私の中に残る過去の過ちや、未来への欲望みたいなものは消えてくれない。なれない都営大江戸線を目指し、喫茶店を後にする。蔵前はいい。良い店を知っているとかではないけれど、道路がなんとなく広くて運転がしやすそうだ。6月の個展に向けて相互確認を行い、詳細を話し合った。個展の話をするたびに身体の底近くにある、野心が滾ってくる。その滾った身体のまま家に帰り、日向夏のソーダを飲んだ。夏を思い出した。夏が来る前に去年の夏を思い出しておかないと、こんなにも暑いのかとまた文句を言う羽目になる。夏の前に梅雨がくるのか。梅雨を楽しみにしている。
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