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Twitterで見る知財クラスターの違和感

大層なタイトルを付けましたが、重い話ではありません。気軽に読んでください。

Twitterにおける知財クラスターでは知財部員や大事務所勤務の弁理士が多いようで、知財部があるような大企業や大事務所を経験したことがない私としては皆さんのツイートを見ても(良い悪いではなく純粋に)世界が違うなと感じる場合も少なくないです。

ここで、会員の分布状況によると事務所の70.9%は弁理士がその事務所に1人だけいる1人事務所です。

これを見てもわかるように、大企業や大事務所だけが知財業界じゃないぞと大きな声で言いたい。
1人事務所が無視されたことがある、というわけではないんですけどね。

さて、本題に。
以前Twitterで、知財業界で生きていく上で弁理士資格を取るべきかという議論がありましたけど、必ずしも弁理士資格を取る必要は無い、という意見があって私は驚きました。
まぁ会社勤務だとそうかもねとは思いますが、特許事務所勤務の場合でも弁理士資格を取らない選択肢があるとは。

特許事務所とひと括りで言っても、大事務所と1人事務所は全く事情が異なるんだなーと改めて感じました。

1人事務所の場合、そこに勤務している特許技術者は弁理士になっていないと、所長が交通事故にでも遭ってしまうと失業の危険に直面します。

また、そのような不慮の事故が無くても、大抵の場合は特許技術者より所長が年上です。
特許技術者が定年退職する前に、所長が高齢につき業務をやめてしまったらその特許技術者はどうすればいいの?という状況です。

東京や大阪のように特許事務所がたくさんある地域はいいですよ。特許技術者でも事務所をよりどりみどりですから。
一方、私が未資格で特許事務所に転職したとき、特許技術者を募集している特許事務所は広島に1つだけでした。
そんなところで突然放り出された特許技術者は詰みます。

もうね、そういう特許事務所に勤務している特許技術者としては一刻も早く弁理士になるしかないんです。選択肢はありません。

私は弁理士2人の事務所に勤務していましたが、2人の弁理士が特許と商標で役割分担していて私は特許をやっている所長に付いていたので、失業の危険性の面では特許専門の1人事務所に勤務しているのと変わりなかったです。

また、その事務所では特許技術者は打ち合わせに出れないし、クライアントとメールや電話でやり取りもできなかったので、どうしても弁理士になる必要がありました。なお、この方針には私は納得していました。

大事務所では弁理士が何人もいるわけですから、所属弁理士が事故等で少々欠けても特許技術者の雇用は守られます。特許技術者より年下の弁理士もたくさんいるので、特許技術者は定年退職するまで働くことができるのでしょう。

弁理士になるかならないか選択肢がある環境はそれはそれで羨ましいのですが、私は結果的に弁理士になれたので弁理士になるしかない環境は今となってはよかったのかなと思います。

だからどうした、というわけではありませんが、知財業界は大企業と大事務所のみで構成されているわけではなく、こんな事情を抱えている人も多いですよ、ってだけです。

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