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4.星の王子さまが泣いている

前回の続きです。
はじめてましての方はよかったら、いちから読んでね↓

なぜ王子さまは涙したのか

今日は王子さまが泣いてしまうシーンのリテイクをしてみよう

前回の芝居は最初から最後まで同じ怒りのように聞こえる。飛行士に話をちゃんと聞いてもらえずに(気持ちが伝わらずに)いた事に対するいらだちぐらいしか伝わってこない…

でも、違う!王子さまは確かに怒ってはいる

「……ああ、もう! トゲなんて何の役にも立たないよ。きっと意地悪な花にはトゲができる、それだけなんだ!」

声劇・朗読用台本『星の王子さま』前編

こんな風に、大切な人の事をテキトーに言われて腹立たない訳がない。だから、怒っていいんだけど

王子は何に怒っている?

怒りの矛先が変わっていかなきゃダメだ
1.大切な人を否定された時
2.仲良くなれたと思っていた飛行士の発言が理解できなかった時

「……違う。適当に答えたんだよ。悪いけど、何も考えてない。そんなどうでも良い事よりも僕は今、大事なことをやっている最中なんだ!」

声劇・朗読用台本『星の王子さま』前編

この言葉をかけられた王子さまは1の時よりも怒っている。

だって、これこそが目に見えない大切なことだから。

目の前にいる王子さまの言っている事よりも、飛行機を直すことに夢中になって、今をないがしろにしている。人の気持ちに気づくことが出来なくなっている。誰かがいるから、しあわせになれるのに。側にいる人や愛する人を思いやる気持ちに鈍感になってしまっている…2はそんな飛行士に対する怒りをぶつけてくれているシーンなのだ。

怒った後に泣く時は、伝わらなかった時。大切なことを共有できないと泣くのは当然のこと

飛行士が変わる瞬間

そして、これは物語のキーポイントになる重要なシーンだ。(だから原作を大胆に省略している今回の台本でも丁寧に残されているのだろう)

なぜ重要なのかというと、主人公(飛行士)が目に見えない大切な事と向き合うきっかけになった瞬間だからだ。

飛行士については…

サン=テグジュペリに対しての理解を深めると変わると思う(本当は一次資料を読まなきゃだけど…フランス語だから…)

実際に飛行士だった著者が書いた、飛行機を誇りに思っている飛行士…しかも生死がかかっている飛行機の修理中…そんな時に子供に訳のわからない事を話かけられたら…そりゃテキトーに返すわな。それが普通だ。

こんな事言ってると「普通って何?」って王子さまに聞かれそうだけどね。

自分が普通だと思っている事に疑問を投げかけられるようになる、大切な小説の大切なシーン

今回の朗読課題

よし!気合入れて撮り直してみよう。

だらだら書いたけど、今回のリテイクポイントは
・王子様の怒りの対象をしっかり意識すること

ちょっと攻撃的すぎたかな…もっと諭すように怒っていいのかも。あと、悲しさも。あくまでも、好きだという気持ちがあふれてないと、王子さまっぽくないんだな。

毎週木曜日更新予定。

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