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ダービーの敗者

その現実を受け止めなければいけないのだと思う。

歴史とプライドを懸けた「横浜ダービー」であるからには、勝者には祝福を、敗者には屈辱を与えなければならない。

確かに、相手チームがリスペクトに値するかと言えば疑問である。しかし、(少なくとも選手の側の)気持ちが入っていたのはどちらだったのか?

「ホーム3連戦」の初戦以来、サポーターは常に''8.26''を意識してきた。N14付近のコンコースにも、試合前後の弾幕にも、我々がダービーに懸ける想いが表れていた。ダービー当日だって、入場はコールリーダーとのグータッチから始まり、ウォーミングアップ中の手拍子から創る雰囲気には、本当にホームゲームであるかのように錯覚するくらいの素晴らしいものがあった。その中で、早い時間に先制したのである。確かに、ロペスがネットを揺らしたのが、反対側のゴール裏からも見えた。

しかし、追い付かれて以降、選手は勝ちを奪おうとしていたのか?本気で最後まで走り切ろうとしていたのか?セカンドボールへの反応、カウンターへの対応は相手よりも優れていたのか?

サッカーとは不思議なもので、戦術の完成度、個人の能力、スタジアムの雰囲気といった普遍的な要素以外の部分からの力が加わり、結果を左右することがある。言ってみれば「サッカーの神様の微笑み」である。

8.26の敗戦が、戦術的か不幸的かを分析するつもりは無い。それは首脳陣の仕事だから。

しかしながら、選手たちが「サポーターの想い」を汲み取り、理解し、行動に移せていたのかは、我々が容易に受け取り、感じ、レスポンスを付けることのできる部分である。このダービーに懸ける想いを、その足を動かす原動力に変えられた選手はどれほどいたのか。4失点目の直後から席を立つサポーターの姿、試合後ブーイングと批判の止まないゴール裏の姿が、今のチームに対するサポーターの答えだろう。


試合後、C喜田がゴール裏にやって来た。自発的に、言葉を伝えに来た。「この雰囲気を創ったサポーターのせいにするつもりは一切無い、ブーイングも受け止める、今日の敗戦は間違いなく俺らのせい、その悔しさとお前らの想いを選手に伝える、だから来週結果を出すしかない。」大体こんなことを言っていた。

恐らく8.26三ツ沢に集ったサポーターは、''9.2''も三協フロンテアに集うだろう。優勝争いの論争を遥かに超えた今回の敗戦だが、それでも来週には再び前を向かなければいけない。神戸や名古屋の順位など関係ない、いつも我々は我々の「アタッキングフットボール」を貫き、シャーレに向かって走り続けるしかない。

俺らはスタジアムに集い、手を叩いて声を出して、必死に跳んでマリノスの為に、全力でサポートするしかできないんだ。だから、その想いを、頼むから結果で示してくれ。信じるしかない、前を向くしかない。9.2の21時、そして12.3の16時、笑っていられますように。

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