見出し画像

セールス#2 受注につながる質問の法則「晩ごはん何がいい?」が最悪なワケ

ーー 日本は労働生産性が低いらしいので、あるべき姿を考えてみる ーー

セールス歴10年。延べ1,000件以上の営業現場を見てきた、元フィールドセールスのhikoです。


1,000件?いや、もっとかもしれない。

前職ではSaaS系の会社でセールスをしていたのだが、チームリーダー時代には毎日10件以上の商談をリアルタイムでモニターしていた。


そんな生活をしていると「契約が取れない」=「会話が下手」な人に共通している点が見えてくる。それを改善していくことが職務の一つだったわけだが、それは大変な作業だった。


ということで本記事では「教えることの難しさ」はさておき、意外と見落としがちな「会話と質問の原則」について書きたい。

原則とは偉そうに・・・と我ながら思うものの、会話の根っこについて書かれた書籍や情報が少なく、ハウツーやテクニックに目が行きやすいのが世の常かなと思う。


本記事に書いてあることが出来れば上位20%の営業マンになれることを保証する。営業じゃない方なら、頭ひとつ抜けた「聞き上手」になれる。

そう言ってしまえるほど、ほとんどの人の会話が雑で、質問がいい加減なのである。


どんな職種であれ、上位20%・・・5人に1人の人材になれば待遇もさぞ良くなるだろうし、人生の選択肢も増えるはず。

ぜひ最後までお付き合いいただき、新たな習慣として実践していただけると嬉しい。


【対象読者】

「会話力を上げたい!」と励む営業マン・・・最後まで読んでね!

「わたしは出来る!」と自負している方・・・確認がてらどうぞ!

「営業が育たない!」と悩む管理職・・・わたしもわかりません!

「営業じゃないけど会話が上手くなりたい!」・・そんな方もぜひ!





会話を知らないわたしたち


さっそくスーパーセールスマンのような口ぶりで書くのだが、営業にもかかわらず「会話」というものを正しく理解していない人が多い。わたし自身もその一人だった。

考えてみると、わたしたちは会話について体系的に習ったことがない。


「話し方」みたいなハウツー本はたくさんある。わたしも色々と読んだことがあるが、基本的なルールや原則について説く書籍は少ない。

わたしは「アンチ・テクニック」を自称している。本記事では会話の根っこの部分からお伝えしたい。



会話の原則


会話とは

相手の話を受けて返す

これだけだ。


しかし、多くの人がこれを十分にできない。

というか、必要性がない。


会話中の脳内


わたしたちは日常的に、人の話を聞きながら「自分が何を伝えるか」を優先的に考える。


例えば

「今日こんなことがあってさ〜」

と、家族やパートナーが話しかけてきたとする。


そのときに

「この話の真意はなんだろう?」

と深く考えることはない。


多くの場合

「あ、それで言えばこの話があるな」

と、次に自分が話すことを考える。



この「日常会話の思考回路」を商談でも使ってしまう人が、体感で8割くらいいる。



日常会話と商談の違い


商談では

相手の話を受け切ってから、発すべき言葉を考える

徹底してこれを繰り返す。


もちろん、相手の話を聞いているうちに「伝えたいこと」が浮かぶことはある。

しかし、それは都度忘れるべきだ


普段から癖になっている「思い込みを軸にした会話」から脱却し、相手の思考回路がイメージできるまで聞けるようになること。

それが多くの営業が最初に取り組むべき課題なのである。

【思い込みを軸にした商談の特徴】

①聞くべきことを聞いていない

「ヒアリングが浅い」「顧客の言葉を拾えていない」などのフィードバックが多いタイプ。想像力が乏しく、決めつけをしがちな人が当てはまる。

②顧客がついてこない
「相手の理解(または気持ち)が追いついていない」といったフィードバックが多いタイプ。頭の回転が早く、物事を効率的に考えがちな人が陥る。


ちなみに、わたしは②のタイプで

「hikoはさ、言い方悪いけど『お客さんはバカなんだ』って思って話したら、もっと売れるよ。」

と同僚からアドバイスをもらったのだが、これが深く刺さった。おかげで、その翌月・翌々月と自己最高売上を更新することができた。


また、多くの営業が慣れてくると自分の想像で話を組み立てるようになる。

その辺からスランプが始まり、伸び悩みの原因になる。


「自分が気持ちよく話してる」と思ったら黄色信号⚠️


ぜひ、ノートにメモを✍️



スムーズに話すために必要なこと


人によっては

「先を考えないとスムーズに話せない」

という人もいるだろう


「次に話すことを考えながら会話しなさい」

そんな指導をされることもあると思う。


しかし、それは危険なアドバイスだ。。


言葉が出てこず、スムーズなラリーにならないのは

「会話や商談に苦手意識がある」
「考える間を作るのが下手」

など、別の場所に問題がある。


【商談中って何を考えてる?前職のトップセールスに聞いてみた】

「会話の方向性を意識しながら」
「全力で顧客の言葉を拾い」
発言の意図を確認しながら次の質問を考える

って感じです。「あれ?なんでそのワード出てきたんだろう?」とか、純粋に疑問に思ったことを聞きます。事前にポイントは想定しておきますが、商談が始まったら相手の言葉を逃さないようにしています。

自分が話す内容を考えるのは、自分のターンになってから!


彼の商談を見ていると

「それって、つまり〇〇ってことですか?」

など、上手にオウム返しを使って考える間を取りながら、次の会話につなげている印象がある。


ちなみに、彼はけして頭の回転が早いタイプではないが、トップセールス→リーダー職とステップアップし、会社の中心的な人物となっている。

「なんで、この言葉、拾わなかったんすかー!」

チームメンバーに対し、そんなツッコミをしている声をよく聞いた。


ぜひ、参考になれば。


✏️__________


以上が、会話パートである。


当たり前なことばかりだが、これを徹底して高いレベルで維持できる人は極めて少ない。


改めて、、、商談では

「相手の話を受け切る」→「質問を考える」

この順で丁寧に会話をすること。


いかに自分が人の話を聞いていないか。

見込みで話し出しているか。


セルフチェックしていただけると🙏



質問の原則


次に「質問」である。

商談は質問の連続であり、優秀な営業マンほど徹底して質問を続け、良きタイミングで提案に移る。


では「良い質問」とは何か。


わたしは料理が好きなので

主婦の悩みでお馴染み「晩ごはん、何がいい?

この質問を例に考えてみたい。



「晩ごはん何がいい?」が最悪なワケ


我が家は共働きなので、わたしが料理担当、妻がそれ以外の家事を主に担当している。

わたしは料理が好きなので苦ではないのだが、「何を作るかを考える」のはけっこう大変。


だから、よく聞いてしまう。

「晩ごはん、何がいい?」

今朝も聞いてやったぜ!


しかしこの聞き方、質問としては「0点」らしい。

「なんでもいいよ」
「えーわかんない」

まぁ、そうなるわな


では、どうするか。


考えられるのは

「魚と肉どっちがいい?」

みたいなクローズドクエスチョンだが、あまりよろしくない。

無闇なクローズドQは「投げやりになっていいですよ」と言っているようなもので、それ以降、本音に辿り着きにくくなる。



ここで考えたいのは、なぜ「食べたいもの」という割と簡単な質問にさえ答えが出てこないか、ということ




⏳・・・(シンキングタイム)・・・⏳



はい。中には「旦那がテキトーだから」みたいな意見もありそうだが(笑)

「テキトーな人」
「そこまで考えていない人」

彼らが意見を持たない理由、それは「未来のこと」だからである。


「晩ごはん」という未来のこと想像するのは地味にカロリーのかかることなのだ。

したがって、未来を考える材料を「ポンっ」と出せば、あとは勝手に想像してくれる。


よって、正解は

昨日、なに食べたっけ?

これである。



質問では過去を聞け


「なんだっけ?ハンバーグだったっけ?」

ここで、相手の脳内に「ハンバーグ」が現れる。


「そっかー。じゃあ、お魚の方がいいかな?」

クローズドQをするのは、このタイミング。「魚」に限定して不自然ではない。


「そうだねー。今日は魚がいいね」
「昨日は洋だから、今日は和食かな?」

同じ要領で質問を繰り返す。




ということで、質問の原則は「過去から遡ること」だ。

過去から未来に向かって質問を繋げる。


質問が上滑っている(芯を喰わない)と言われる人は、質問に脈絡がない。脈絡は自分から作らないと生まれない。「過去から未来」の脈絡が最もシンプルで自然なのである。


仮に、それでも

「なんでもいいよ」

しか言わないパートナーがいたら・・・


役所に、離婚届を取りに行こう。



インサイトを掘り起こせ


質問を「過去から未来へつなげる」ことの最大のメリットは

その後の料理(提案)がショボくても満足度が高くなること

これに尽きる。


これを「隠された欲求」=「インサイト」を突く、なんて言い方もするが、良質な質問の連続でのみインサイトは暴かれる。

対して「インサイトっぽいワード」を引き出すことに意味はなく、陥りがちな過ちである。「誘導尋問」でワードを引き出すことに意味はなく、引き出されるプロセスが重要。

これもよくある誤解やね😎


例えば「イエス取り」「第三者話法」など様々な引き出し方があるが、それらは先述の「クローズドQ」同様、適切な質問の積み重ねの上でのみ効力を発揮するものだ。

したがって、まずは脈絡のある質問を100発100中で投げれるようになること。

その上で、ゴール(契約)に向かって文脈を繋げていけるようになること。

これに尽きる。


【エビデンス:質問力と受注率の相関】

前職では「Miitel」を用いて様々な商談データを解析したが、中でも受注率との相関が高いのは「Talk_Listen比率」で、顧客が話す
割合が多い営業ほど受注率が高い傾向がある。


インサイトを掘り起こすには、相手にひたすら話してもらう必要がある。

必然的に、顧客のトーク比率が高まる。


ということでデータを見ることはとても重要であり

ミーテルは大変オススメである。



おわりに


以上が、わたしの経験をもとにした「会話」と「質問」の原則だ。

最後まで偉そうに書いてきたが、全部実践できていたかといえば怪しい。


大事なのは、実践し続けること。

そうすれば、いずれ習慣になる。


特に、経験が浅い人はいろいろなことを言われるだろうし、営業スタイルがぐちゃぐちゃになることもあると思う。

しかし、こと「1on1のソリューション営業」においては、これだけで上位20%の成績は出せる。


「なんでこの話になったとき、これ聞かなかったの?」
「あっ!・・・そうですね・・・(シュン)」

こんな営業マンをたくさん見てきた。


相手に興味を持とう。相手の考えていることに関心を寄せよう。

お客さんの話をよ〜く聞き、一緒にベストプラクティスを考えよう。


どうか慌てないで。ハウツーに走らないで。


「売る」必要なんて、ない。マジでない。

勝手に売れる。


そんな営業マンになろう!


あとがき

改めて、前職時代のセールスメンバーは優秀な人が多かったなーと自慢をしたい。

スタートアップではT2D3(トリプル成長を2年、ダブル成長を3年続けること)が一つの目標となるが、昨年T2を達成し、今期がD1のタイミングである。

プロダクトも素晴らしかったけれど、様々なバックボーンを持ったメンバーが集まったセールスチームは会社の柱だった。

きっと今年も達成するだろうし、 さらに社会に必要とされるサービスに成長していくだろう。彼らから教えてもらったことや、一緒に発見したことをシェアしないのは、書き手としてダメなんじゃね?

ということで始めたセールスコラム。乞うご期待。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?