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[オランダ生活] ディズニーから学ぶ言葉の使い方と言語

どうもやっと初夏らしい気候になり、サッカーが盛り上がっているオランダからさやです。

少し前の記事に旦那さんと喧嘩したと書いたのですが、掘り下げれば原因は文化とそれに伴う言葉の違い。
オランダ語はContext言語、日本語はその真逆にあるnon-context言語です。これはよく言われる「日本人は言葉を言わなくても伝わる」っていう“察するチカラ”につながります。

私は超副業で日本人向けにここ近年はオンラインで英語の先生をしています。(現在生徒さん1名、かなーりゆるくやっている)
宿題ほぼなし、言葉は生活の一部、負担になってはやる気を削ぐのは身に沁みてよくわかっているので、気楽にやっているのですが
(言語は細く長くやるといいと思っている。生活とか仕事に必要となれば話は違う)


教材でいつもお勧めするのはディズニーの映画です。というのも基本は子供向けなので長くないし、ハッピーエンドだし、汚い言葉は基本使わないし、文法や単語に致命的なミスなどもないし、キャラクターがはっきりしているので「なりたい人が使う英語(もしくは別の言語)」に気楽に触れることができます。

私もカナダに留学してる時は英語で同じ映画を見続け(リトルマーメイドが好きすぎて凄い見てた&最後の方は聞き流し)、そこからはアナ雪を英語で観まくり、途中からどちらの映画もオランダ語で観るように。

最近は娘も映画を静かに観れるので英語やオランダ語でよく観るのですが、
心にズッキュンはまったのがEncanto。
邦題はアナベルと魔法だらけの家、かしら。

まず英語で観て、日本語で観て(内容完全把握して)、オランダ語、英語と観ます。

もちろんどの言語で見てもストーリーは同じなわけですが、面白いのは言葉の使い方。
例えばEncantoはコロンビアの話なので基本みんなラテン気質で歌ったり踊ったり陽気な人たちですが、観る言語によって同じキャラクターが喋るセリフのニュアンスが変わってくるのです。

家族みんなに魔法の力があって自分だけがその“ギフト”を与えられなかったミラベルが、大好きな家族を見つめながらもどうして自分だけ、疎外されてる気持ち、ほんとは悲しいと思って歌う歌。

歌だし、ディズニーはキャラクターの口の動きが英語で喋ってる時のように動くので他言語になった時、無理のなく口の動きに馴染むように作られているため、意訳になることが多いので、絶対こうだとは言い切れませんが、歌は言葉とその文化、言い回しも反映してるなと感じています。

Don't be upset or mad at all
Don't feel regret or sad at all
Hey, I'm still a part of the family Madrigal
And I'm fine, I am totally fine
I will stand on the side as you shine
I'm not fine, I'm not fine

英語版の歌詞

しっかりしなくちゃ
哀しくなんかないよ
だって私は今もマドリガル
大丈夫 見守ってるよ
陰からその輝きを

だけど私は

日本語版の歌詞

英語の歌詞だと、私は大丈夫と言いながらも「全然大丈夫じゃない!全然そうじゃない!」と気持ちを爆発させています

でも日本語だと 大丈夫と言うところは同じでも 「でも私は... (できない)」と言うだけで気持ちを直接的には伝えていません。爆発させていない。

Niet bitter zijn, nee ben je mal
Geen stil verwijt, geen tranendal
Hey, ik ben en blijf een echte Madrigal
En das fijn dat is hartstikke fijn
Aan de zijlijnen staan doet geen pijn
Doet wel pijn, voelt niet fijn

オランダ語の歌詞

オランダ語ももちろん 大丈夫と「みんなの脇役なのは全然(心が)痛くない」と言いながら
「ううん、痛いってば、辛いってば!」と胸の内を痛みとして爆発させています


厳しいミラベルのおばあちゃんはミラベルが頑張っていることを全然見てくれません。
そしてミラベルは英語では open your eyes, open your eyes, open your eyes とおばあちゃんに「目を開けて (覚まして、私を見て)」と訴えます

直訳だとそのまま目を開けて、意訳だと私を見てと歌っています。
日本語ではメロディに乗せるため 「この願い」 と3回歌っていますが、その直前に

もう耐えられない 気付いて
この願い この願い この願い

「気づいて」とおばあちゃんに訴えかけています。健気ですね。耐えられないから気づいてほしいと願っているのです。

一方オランダ語は
Kijk me 's aan, kijk me 's aan, kijk me 's aan

と英語よりもさらに直接的に
「私を見て!」と言っています。文字通り“私を見て”と。“目を開けて”なんていう揶揄的なものでもありません。ド直球!

ここでこの3つの言語の伝えぶりが違うなと。
日本語版のミラベルが1番謙虚です、と言うか日本人らしい。

言葉は文化も反映しているものですから、ただ直訳すればいいと言うものではないのです。
私が日本人らしくそのまま日本語をオランダ語にしてもオランダ人の心には響かないということです。逆にオランダ語をそのまま日本語にしたら、直接的すぎて(この場合はミラベルの)謙虚さは伝わりません。

目を開けて(英語;オリジナル)
私を見て(オランダ語)
気づいて(日本語)

これだけニュアンスが変わってくるのです。
つくづく言語は面白いなと思う反面、難しいなぁと思います。
ディズニーに翻訳家さんってやっぱり凄いなぁと感心するばかりです

吹き替えで見るとその言語で観る人に1番響く言葉を物語とキャラクターの性格なども考慮して選んでいるのですから
そして結果世界中のみんなが同じ感想を持てるようになっている....深い。

ちなみにオランダ語吹き替えでオランダ語字幕をつけてで観ると、話し言葉と書き言葉が違うのも面白いです
おそらく話し言葉が1番自然。字幕は英語からの直訳的な表現になっています。

こんなポイントも言語を学ぶ際にディズニーをお勧めしたい理由なのです

なので面白いのは、もちろん私は私なんですが、日本語版、英語版、オランダ語版だと自分の中で若干キャラが違うと言うか、言葉のチョイスが変わる。よく留学生などが言う自分が二重人格みたいと言うのはここからもくるかな....と思った次第です。
今日はいつもとちょっと違った記事でございました

それでは、また!Doei!

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