35歳からの独り暮らし(8)
カフェでの勤務は時給制だったものの、勤務時間や時間帯責任者という役割を与えられ、社会保険も入れてもらえた。
ただ社員枠には空きが無く、身分としてはパートスタッフのまま。
実家暮らしだったから生活には困らなかったけれど、この時に年齢は30代が彼方に見えてくる頃で、また悩むバイオリズムに入っていた。
だが、その時に悩んでいたのは、今思えば前向きなことだった。
アルバイトのままなら、もっと自分が興味のある職を探すのもアリなのかも、とか、もっと時給の良い仕事があるのかも、とか。
そんな悩みが浮かんだとしても、コーヒーを淹れなきゃいけないし、サンドイッチを作らないといけないし。
そんな日々を過ごしていた、とある休みの日。
母親の付き添いでスーパーへ向かっている途中、衣料品店の某しまむらへ寄りたいと母親が言ったので、車で待ってるのも退屈だからと、私も某しまむらの店内へ入った。
母親が服を見ている間、私も服や靴など好きだったので、フラフラと靴を眺めていた。
ディスプレーが乱れていたので、何気なく靴を並べ直していたら、後ろから声をかけられた。
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