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目標に対する自己評価をどのように伝えるのか

個人的には「目標による管理」(MBO)に基づく人事評価制度は大嫌いである。しかし、そうは言っても、2021年現在、それが制度として規定されている企業が大半を占めているだろう。

目標に対する自己評価を伝える必要に迫られたときには、下記の3つに分けて、順番に伝えるのがよい。

1. Process

目標を達成するために、何を考え、どのように行動したのかというプロセス。目標を立てた当初のアクションプランだけではなく、期中に気づいたことや、それに対応して実行したことを列挙していく。結果的に実を結ぶことのなかった工夫・努力についても含めてよい。ここにありったけの自己アピールを込める。

このとき、その根拠となる記録を添えておく。個人の頭の中にしか存在しないプロセスは、他人から確認・言及のしようがないためである。

2. Result

しかし、現実は非情である。いくら頑張っても結果が実を結ばないこともある。冷静に目標と照らし合わせた結果を伝える。

3. Next Plan

その結果を受け、次に向けてどのように考えているのかということを伝える。
このとき、別に「いい子ちゃん」を演じる必要はない。自分の胸に手を当て、自然と感じていることを伝えればよい。たとえば「この目標に挑戦するのは今ではないと思う」「この領域は自分には向いていないと感じている」なども正直に伝える。

まとめ:目標による管理をPDCAサイクルで捉える

目標による管理は、一種のPDCAサイクルだと捉えるとわかりやすい。

つまり、目標を立てることが「Plan」に相当し、上記の3つはそれぞれ「Do」「Check」「Action」に相当する。しかし、そのままの名称だとうまく意図が伝わらないことがあるため、この記事では名称を変更して伝えた。

単に「Result」のみを伝えるコミュニケーションをとっているだけでは、それは成果主義・ノルマ主義に過ぎない。目標へ向かう過程や考えを伝えるためのコミュニケーションのツールとして使うことが重要である。


・・・と、まとめてみたものの、最初に言ったように、私は「目標による管理」に基づく評価制度が嫌いだ。余談になるが、以下にその理由をまとめる。

余談:「目標による管理」に基づく評価制度が嫌いな理由

目標の達成度を評価基準とした場合、それは「期初に決めた目標」が期末においても妥当であるということが前提になる。

つまり、期中に状況が変化した場合においても、制度としてはあくまでも期初に立てた目標への達成度をもとに評価されることになる。もっと他に重要なミッションが出現したとしても、だ。状況の変化を無視し、「過去に決めたこと」に従うほうがラクな評価制度なのだ。

もちろん、期中に「目標設定を修正する」という方法もあるだろう。しかし、そんな面倒なことを毎回わざわざ行う必要性があるのだろうか。

現実世界での目標設定は、仕事を生み出すシステムというよりは、むしろすでに決まっている仕事を記録・管理するためのシステムに近い。

そんなやり方で、刻一刻と状況が変化していく世界において、果たしてスピード感をもって対処できるのだろうか。

このため、個人的には、目標への達成度そのものはあまり重視していない。私は、どちらかと言うと、上記の「Process」と「Next Plan」だったり、その人が取り組んだからこそ生まれるような付加価値を重視している。

また、普段は週次という短い期間の目標を立ててチーム運営をしている。


Photo by Scott Graham on Unsplash

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