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イギリス 読み書きそろばん、宿題・テスト

読み書きそろばんとは、昔から言うことですが、小学校時代に学業に自身を持てるためには、イギリスでも大事とされています。

読み

イギリスでは、1998年にフォニックス(Phonix:アルファベットを音で覚える)を取り入れてから、子供たちの読みのレベルが、その前の方式からすると、格段に上がっています。以前は10歳くらいで自分で読めていたものが、7歳くらいで読めるようになることが多いです。

外国人の親にとっても、このPhoenixというのは、難しいのですが、イギリス育ちの親にも初めてのコンセプト且つ用語がたくさんあるので、親としてのサポートにも、基本ネイティブ、非ネイティブ関係なくなります。(当然、家庭で使う語彙や、読み聞かせする本のレベルで差はでますが)テクニカルタームも出てきて、子供に教えてもらうことがほとんどです。

Year1くらいまでは、スペルの正しさは不要で、音を元に読めるか、書けるか、が重要視されます。存在しない単語も、フォニックスで読める、発音できることが大事となります。

ですので、Year1では、担任によるフォニックスのテストが全国であり、その成果も公表しています。

人は、生まれたときから言語を音で学びますので、この方式は子供に非常に効果的で、アルファベットの導入も容易になります。

読みの宿題は毎日出ますが、強制力はありません。

書き

読みのレベルが上がれば、当然書きのレベルも上がります。が、ステップを踏んでいます。

Year2までに筆記体(日本で習った筆記体は、ビクトリア時代のもので、イギリスには、現代の筆記体があり、Cursive (Joined-up) writingと言われます。)で、単語を繋げて書けることを目指します。

まずは、音から正しいアルファベットを選んでいるか。が、Year1までは大事となりますが、この筆記体で書くことも大事な要素となります。

理由は、

1.スペリングを正しくするのに大きな影響力がある
2.脳は、単語を全体として理解するので、繋げて書くほうが、書くスピードも早くなり、考えるスピードに追いつきやすい。

の二点のようです。

上記写真の内容ですが、書いている内容は正しくはありません。ケンブリッジ大学でこれを発見したわけではないようですが、英語単語でも、読みがスムーズになるとですが、単語の最初と最後のアルファベットが正しいものが使われていて、ほかが適当な並びでも、何を言わんとしているのか、わかるというものです。ただ、あいだのアルファベットは、順番が違くてもよいが、全く出てこない発音のアルファベットが入っていると話は別です。

これは、脳が単語を全体として捉えているからで、アルファベット一つひとつを読んでいるからではないから、ということです。

書くときもつまり同じで、一個一個アルファベットを離して書くと、スピードが遅くなる上に、書く内容より、スペルの正しさに意識が行くようになるから、書きの上達が遅れるという研究結果のようです。

因みに、大文字はブロック体です。

学校にもよりますが、Receptionでは、アルファベットをブロック体で読み書きしますが、Year1からは、この記事のタイトル写真のような、Pre-cursive(繋げて書かないけど、繋げられるように角と尻尾をつけた感じの書き方)を学び、Year2で繋げて書く事が、必須になるという流れで進めるようです。

学校のプリントも筆記体を使い、読み書きのスピードとレベルを上げることに力を注いでいます。

書きの宿題はほとんど出ないところが、多いです。学校によっては、スペルの練習が毎日出ることもあります。

そろばん(四則計算)

ここで、そろばんとは、四則計算のことです。そろばんはさすがに使っていません。が、そろばんの人気は、日本が落ち込んでいる中、世界では上がってきているようです。

ロックダウンでオンライン教室を始めたところが多く、それは、世界にありがたく受け取られています。特にアメリカの子供達は、時差的に、そろばんの先生の午前中になり、日本の子供たちは放課後から教えているので、時間を効率的に使えます。

イギリスでは、KS2、Year3から特に四則計算に時間と心を注ぐようです

Year2までは、
Number bondといって、

3は、1と2,2と1を
4は、1と3,2と2,3と1を
5は、1と4,2と3、3と2,4と1を
6は…

と数字の組み合わせで感覚を掴ませる手法や、

Skip countingといってある一定数のカウントアップ・ダウンさせます

2,4,6,8、10…
20,18,16,14,12…
5,10,15,20,25…
30,25,20,15,10…

基本、2,5,10から始めて、その子のレベルに応じて、九九のために、他の数字もする感じです。

足し算は、Year1で1桁同士、Year2で2桁、Year3で3桁、Year4で4桁、と毎年増やしていきます。これで、繰り返し繰り返し、やることで、数のセンスもつけさせます。

例えば、

最初は、
りんご2個と3個でいくつ?と具体的なものを見せながらし、理解できたら、
黒い三角3つと青い三角4つでいくつか、と絵で行い、最後に、
抽象概念の数字だけで『4+3=』という式で答えられるようになるという手法です。

具象(物)→図→抽象(数字、数式)

数字、数式でつまずけば、図に戻し、更につまずけば、物を使って考えさせる、に戻し、また、図へ、と進む。と、子供に合わせてじっくりと教えているようです。

桁も、1の位は1個の正方形、10の位は10個それを立てに繋げた図、100の位は、10x10の平面図、1000の位は、10x10x10の立体図で表すという手法を使っています。

九九はYear3から本格的に暗記です。12✕12まで暗記させます。

Year4には、2019年くらいから始まったのですが、国が定めた九九のテストをCBTで受けます。が、個々人の結果は知らされず、学校としてどれだけで来てるか、という結果だけが来るそうです。ポイントは、学校の先生たちに、九九を子どもたちが忘れないほどきちんと基本を叩き込むことを忘れないように、リマインドすることらしいです。🤭 

分数のコンセプトも、ピザやケーキを使って、間違いはYear1から、半分、4分の1を教え、割り算へのコンセプトの理解も深める方法を取っているようです。

基本、コンセプトの導入は早く、忘れては思い出し、のほうが、長期記憶に残りやすいのでしょうか、そして繰り返し毎年やり、概念を具象化から、抽象化して計算をできるようにし、数字の感覚をつかめるようにしています。

こういう方法の場合、ある意味コロナのような非常事態に強いような気がします。今年は教えないところがあっても来年カバーすることにしても、さして影響はない気がするからです。

その他、図形、時間、単位、統計、等ありますが、この四則計算が基本となるので、ここに一番力を入れています。が、公立では、宿題は、毎日出るところもありますが、週一回がほとんどですが、強制力が無い場合が多いです。

宿題、テスト

どの宿題も、親が口を出したり、消しゴムで直させたりすることは推奨されません。つまり、丸付けも、先生、Teaching Assistantがします。子供が、どこでつまずいているのか、先生が知ることで、指導も個別にできるからです。

ただ、丸付けにも時間が取られるので、オンラインや、アプリで宿題を出すことも上の学年になると増えてきます。

オンライン、アプリは先生も、使用状況、間違う傾向などが見れるようになっているものが使われていますが、九九などのオンラインリソースは、単に練習すれば良く、間違いもその場でわかればよいのは、その場限りで、結果や実行の有無が残らないのものもあります。

学年が上がってくると、ミニテストが行われる回数も増え、正式に理解状況を把握するため、というのが建前で、実際は成績をつけるのに参考とするために試験をすることも出てきます。

試験で成績をつけるとなると、子どもたちが緊張して、普段できているのに、試験で駄目になる場合があるため、親にも子にも、そういうことは言わないようです。

結果は、相当問題がない限り、親にも、子にも伝えられることがない場合もあります。間違いから学ぶと言うよりは、間違いから、先生が、何をどうフォロー入れるべきかを知る、という方に重きをおいているからのようですし、結果にとらわれないで、何をどこまで理解しているか、を認め褒めるためのようです。

基本、学校で学業を完結させる、のが小学校と言う事です。


中学校になると、話は別で、宿題はほぼ毎日宿題が出るようになります。強制力もあります。やってない、持ってくるのを忘れたとなると、居残りさせられることもあるようです。

国のガイドラインとして、

Years 7 - 8 : 45 to 90 minutes per day
Year 9. : 1 to 2 hours per day
Years 10 - 11 : 1.5 to 2.5 hours per day

となっていて、各教科の先生たちでいつどの教科の宿題を、どのボリュームで出すか、は計画されているようです。

やはり、教えてもらうが中心の生徒から、自ら学ぶようになる学生にむけての過渡期は、課題あっての自習を増やしていくものなんですね。
(親は宿題に巻き込まれることはほぼないはずです。)

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