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「勉強しなさい」を言わないのは、本当によい方法か?

先日、友人から、「勉強しなさい」と子供に言うか、と聞かれました。なぜか、と理由を聞くと…

東大・京大、その他の有名大学に入った人たちの多くは、親に「勉強しなさい」と言われていないと調査結果がでているから。例えば、
東大生は子供の頃どうだった? 約6割が「勉強しなさいとまったく言われなかった」

ということでした。だから、自分の子供に、全く勉強について口を出さないで4週間見守ったら、全くしない、ということで🤣、本当にこれでよいのか、悩んだそうです。

もちろん、うちは、外国語である日本語も学んでいますし、受験もするので、「勉強しなさい、とは言いませんが、やったほうがいいことをやるように促しますし、一緒にします」と答えました。

そもそもですが、この統計、サンプルがおかしいのです。

最近の統計では、東大入学人数が、毎年ほぼ3千人18歳の人口がおよそ1,167千人。浪人もいるでしょうから、およそ0.2%以下の18歳が合格するというわけです。その6割ですから、およそ0.15%の人が、勉強しろと言われなかったと答えた人です。もちろん、優秀な人で、東大にいかない人もいるわけですから、それより多いかもしれませんが。大した違いはないでしょう。

まず、東大、京大に合格する人の殆どは、自主的に勉強する子供になってたことは間違いないでしょう。ですので、親が口を出す必要は全くない子供になってた確率は高くなりますが、そんな1%に見たない人間を参考にするのは、どうなんでしょうか?自分の子供がそれほど特別とは、思えない私には、大きな疑問を感じずにはいられません。

次に言われたのが、「勉強しろと言われない子の方が勉強時間が長い」ということですが、『効率』は、どうなんでしょうか?

効率が悪かったら長くなりますし、その勉強時間って、単に机に向かっている時間とも捉えられます…。残業ダラダラする人に限って、効率が悪い人が多い。それと同じで、長けりゃいいと言うものではありません。

以前の記事でも書きましたが、遺伝で5割、環境3割、で学業の成就は決まるそうです。自分の子供が、遺伝的に学業に向いているかどうか、というのは、人にもよりますが、10歳になる頃にはわかるでしょう。学校の成績というよりは、会話の内容、強く興味を持つもの、読む本の内容などで、ある程度は分かると思います。

学業に向いていない子供は、その子供の成長度、自律度にもよるので、一概には言えませんが、目安として、

小学校2年位までに、学習習慣をつける
小学校5年位までに、学習する方法を考える力をつける(手段も与える)

というのもその能力を活かすためには大事だと思います。

では、学業に遺伝的に向いている子どもたちが、本当に小さい頃から、「勉強しなさい」「宿題しなさい」等々、と言われていないのは、おそらく、その言われていないと言った人たちのさらに0.x%ほどではないでしょうか?それを証明するのは、記憶は書き換えられていくので、ほぼ不可能ですが…

ですから、「なぜ、有名大学に言った人たちが、勉強しろと言われていないと言っている人が多いか?」というと、おそらくは、

下記の3つの主な理由が考えられます。

1.言われ方が違う

「勉強しなさい」という言葉には、具体性がありません。年齢や、成長度によっては、何をどのようにどれだけやればよいかわからない、考えられないとなり、さらに、「~しなさい」という言葉の強制力がやる気を萎えさせる場合が多々あります。具体性のない強制は、子供の物事をやり始める、または、やり遂げる気力を失わせます。

ですので、たいていの親御さんは、まだ自主的に宿題などをする習慣ができていない場合、小学校3年くらいまでは、確実に宿題の手伝いをしているので、「一緒にやる」が基本かと思います。

「宿題をしよう」「音読をしよう」「(教材があれば)教材をしよう」

と、自主的にやるようになるまでは、少なくても『一緒にやる』声かけをしているはずです。日本では長期休暇中に宿題がありますから、そういう場合は、

「**の宿題は、どこまでやっているの?」
「読書感想文の本を読み終わった?」「どんなお話だった?」「一緒に読もうか?」

年齢、成長度に応じて、一緒にやる声掛けは必要なくなるわけで、そうなると、

「国語の宿題終わった?」「感想文は書き始めた?」「もうすぐ夏休み終わるね」

など、具体的な状況を聞いたり、行動を促したりしているはずです。


2.記憶違い

忘却はよりよき前進を生む (ニーチェ)

といいます。つまり、今の成功の結果は、親から言われてやった結果ではなく、自分から勉強した結果だから、「勉強しろと言われていない」と言えるのです。自分が努力した結果を、親に取られたくないですよね?

子供を育てた経験があってこそ、親に感謝できるもので、それまでは、あたかも、自分一人でなんでもやってこれたような気がするもので、親にやってもらったことは、当然のことで、忘れるものです。

『自分でできた』を幾度となく自分でやってきたんだ、と思えることで、自信も自尊心もつき、やる気が自分の中から芽生えて行くわけですがら、親がしてくれた事を忘れて、また、気づかないでいるほうが、自律心が育つので、実は、健全なのです。親としては、悲しいところかもしれませんが。😅

ですので、直近の事を考えれば、親なんか頼らなかった、となるものです。

親の記憶も直近のものとなるはずです。子供は、すでに自分から勉強できる環境にもいたでしょう。その環境は、親の助けがあったからこそ入れたものです。その環境に入れた、いわゆる、親が、「勉強したほうがいい」と促していることと同じことです。

有名な数学者のガウスのような、本当に稀にいるギフテッド(生まれつき天才)でもない限り、学業優秀な人たちは、有名大学を目指す、となると、やはり、将来何になりたいか、興味あるものから、引き出しを増やす、勉強の習慣化をされ、勉強の大切さ、など親、または、自分の環境にいる人達から、刺激を受けているはずです。勉強する目的、明るい未来(?😉)などを与えられたり、見つけたりしているのです。

ですので、自主的に勉強する時期になるまでは、親や、親の代わりの人たちに、勉強することを促されているはずです。遺伝的に学業優秀になる可能性がある人も、習慣や、環境でその遺伝を活かすも殺すも決まるのは、間違いありません。


3.環境のおかげ

大学受験を真剣に考える年齢になったころには、自分で勉強する環境に入っていたから、ということです。

その環境を整える手伝いは、殆どの場合親がしているはずです。しかも、その親自身が、そういう環境を作ろうと思ってやっていたのではなく、結果そうなった、ということも多々あります。

親が、恣意的に勉強する環境を作っている場合、親は勉強の大切さを感じているものの、子供の興味、意欲を無視して押し売りすることは、以外にあるものです。この場合、勉強しろ、またはそれに似たことを言われることが、嫌なことをやらせられるという感覚になり、意欲を失わせることもあります。親の期待が子供には、重すぎる場合もありえます。

無意識的にそういう環境を作っている場合、子供に、その期待の押し売りをしていることは少ないものです。ですので、恣意的に環境を作ってもらった子供でなければ、環境の大切さに気が付かない場合は多々あります。

高学歴、または、意識的にも、無意識的にも勉強の大切さを感じている親は、勉強する環境を自然と整えているものです。というのも、大抵は、自分が持っていたもの(経験や、環境)は、自分の子供にもあげたい、と思う人が多いからです。(ただし、親の期待の押し売りは、もちろんどの状況でも人によってあるもので、それによって、意欲を削ぐ場合はありますが。)

2017年の調査もでていますが、

平成29 年度「学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」

これを、よく読み、バックグラウンドを把握すれば、例外はありますでしょうが、やはり、環境が大事なのは明白です。経済力があれば、学業に優位に働くことですが、つまり、そういう環境になっている親が教育の重要さを認識しているから、そして、子供に自分くらいには、と期待しているから、「勉強する環境を積極的に与えている」ということではないかと考えて、間違いないように思えます。

国内外での様々な調査結果、自分自身の経験から、環境的に大事なポイントは、

親子の会話の幅を広める
・子供の能力・興味に寄り添う(深める)
・非認知能力(根気)の向上
・机に座る習慣

で、具体的には、下記の8つと私は感じます。

» 1.親や子供の読書数

家に本が多ければ多いほど、子供は本に触れられる機会が多くなるので、語彙を増やし勉強していける環境があります。もちろん、蔵書数が多いということは、経済的に有利な立場の家族であることは多々ありますが、蔵書数がない場合でも、子供が幼いころは、図書館の利用を、家族でしていて、小学校に入ったころからは、学校の図書館を利用、オンラインで無料で入手できた本などをすすめることでカバーできます。

一緒に本を読む。同じ本を別々に読む。別々の本を読む。などして、その感想を言い合う、等々も大事です。

» 2.親が話す内容

親が話す内容が、十代(反抗期)までは、1番子供を刺激します。親が使う語彙も大いに子供に影響します。時事について話す、仕事について話す、最近自分が読んだ本、体験したことについて話す、子供が理解できる一歩上の表現・語彙で話して興味をひきつけ、大人の表現・語彙で話、説明する、ということで、表現力・語彙力が深まり、内容の理解も深まります。

» 3.子供の興味を知り、広げられる人がいる。

子供の興味を知り、そこを深めるにあたり、必要な知識を与えて上げる、体験して上げる、というのも大事です。スポーツが好きなら、一緒にプロのゲームを見て、誰がなぜそうしたか、其の人がどんな練習をしているか、なぜ、その筋肉を鍛えるか、食事がどう影響するか、栄養素、人体など、広げていくことは、どうにでも可能です。それに詳しい人がいれば、その人の話を聞かせてあげる、質問させてあげる等の機会を設けてあげられれば、最高ですが、そこは、大きくなってから広げていける土台として親ができる範囲で賄うのもありです。

» 4.子供との対等な会話

自分や、子供が一日に体験したことを、聞いたり、話したり、話あったり、することは、自己表現をすることができるようになるのに必須です。

その上で、「~だったら、どうなる?どうする?」と想定させてみたり、「~だったから、そうなったのかもね。」と物事を見る角度を変えて話してみたり、「今度~するとき、どうしたらいい?」と先を考えるようにしてみたりすること。自分の話だったら、子供の意見を聞いて、「そういう見方もあるね。」と同意してみたり、「自分(子供自身)だったら、どうする?」と聞いてみたり、色々会話を膨らましてみたりすることで、自己表現することを恐れなくなります。

時折、本人の意見をまとめてあげて、よりわかりやすい表現に導いて上げることもよいと思います。表現力が増えるからです。

映画やテレビ番組、本を読んだ後の、感想の言い合い、理解の確認なども大事です。基本、子供の考え、感覚を否定しないで、見る方向を変えてみたり、楽しく話す、がポイントです。

» 5.机に座る習慣

活発な子供は、机に座っている、ということが非常に難しいです。ADHDなどの障害がない限り、ですが、3歳位からは、デバイスを使わせず、3分座って本を読み聞かせ、お絵かき、などして、受動的なアクティビティ(聞く、見る)から、能動的アクティビティ(書く、読む)を入れて伸ばして行くと良いと思います。

さらに、5歳くらいでは、自分でアクティビティを決めて、自分が決めたことを5分できるようになり、親が促したことを3分をできるように、8分間、子供のすることに集中そばについている、というのが理想です。理想は理想。長くできる子供には長く、長くできない子には、加減してやっていくことは大事です。

親が促してやることは、子供がもうちょっとやってもいいな、と思うところでやめるのがポイントです。決して、嫌になるまでやらせない。親が、もうちょっとと思うところは、基本、子供が嫌になるポイントです。😁

» 6.できない時期を乗り切る:非認知能力の向上

「できない時期」というのが、人間にはいつでもあります。そういうときは、「今はできなくてもいい」「いつかできるようになる」と思えるように、自分を信じられるようにして上げるのは大事です。根気のある子は継続できるからです。

速攻の成功体験ではなく、「できない⇨できた」の時間を書けた成功体験を、勉強に限らず、スポーツでも、アートでも、年齢に応じて、徐々に長く、記憶があるうちにつなげていくのが大事です。

» 7.勉強する手段を整えておく。

宿題で十分なので、あれば、宿題で。それ以上をやってもらいたいのであれば、本、ドリルや、問題集などを揃えて置くことは大事です。

イギリスでは、宿題がないですし、受験をしないのであれば、基本、学校のことは学校で理解してきてもらいますが、算数で不安があるところは、ちびむすドリルを使い、英語は、私の文法知識及び最新イギリス動向調査(国営放送のBBCの英語教育ページ)、と、主人の能力を利用して一緒に確認します。

イギリスで、受験をする場合、受験のDIYと言われる方法の場合は、問題集を買ったり、オンライン教材を日々やらせたり、塾、家庭教師を使って宿題、解説をやってもらうことは普通です。基本、1時間を机に座って問題を解く勉強させる形式と読書1時間をあわせて、一日最大2時間と言われていますが、その子供の集中力がなくなる一歩手前でやめさせるのは、やはり、大事です。ですので、細切れでやる子もいれば、一気に1時間またはそれ以上やり続ける子供もいます。

加減には、親のDIYがやはりいる場合がほとんどですが、家庭教師や塾を使うのは、親子関係の平和を保つため、ということが殆どです。どこの世界でも、自分の子供に対する忍耐力は、期待があるほど低くなりますね🤣。アウトソースしたほうが良い場合は、アウトソースで。家族によって、効率と感情のバランスは違います。

» 8.フレキシブルな目標と計画(特に受験する場合):非認知能力開発

やると決めたときは、希望も欲望、野望高く、目標高く決めがちですよね。でも、目標高すぎで、反動で全部諦める、ということがよくあります。自分に嫌になるし、それを達成できない気分になるからです。全部なかったことにしてしまいたくなるのです。

年始の決め事、私の人生でどれだけ達成できたか、どれだけ最後まで達成するように頑張ったか…。振り返ると、ほぼ半世紀生きて、最後まで頑張ったといえるのは、1つしかありません😂。

つまり、私自身が、自分の目標達成しなくても、それなりの大人になれるんだ、生きた証拠です。ですので、目標達成がそれほど大事では無い、と言い切れます。むしろ、目標に向けて何をしたか、が大事なのではないかと思うのです。

夢のある者には希望がある。
希望のある者には目標がある。
目標のある者には計画がある。
計画のある者には行動がある。
行動のある者には実績がある。
実績のある者には反省がある。
反省のある者には進歩がある。
進歩のある者には夢がある。
ー吉田貞雄

目標あっても、計画が無謀だと、目標を捨てることになり、諦めることになるのですから、一度立てた目標を諦めさせないこと、を大事にしていくと、この善の循環に入るわけです。

大人でも、目標あっても、計画が野望(無謀)で、折れることがあるので、行動した後、計画を少しずつ見直し、修正する必要が出てきます。それを続けると、進歩となりえるわけです。当然失敗することはありますが、失敗から学べることもあります。目標に向かって何をして、そこから何を学べたか、が大事で、目標達成そのものは、副産物なわけです。

特に、子供の場合、時間に関係なく、『やり続けて達成できた』、という体験が大事です。そこで、何かをやり遂げる意欲の根本である非認知能力が開発されていくので、できない自分の認識とそれから継続することで得る小さな成功体験、そこから、大きな成功を夢見ることができるようにしていくのは大事です。

最終目標は、親が勝手に作って立てておいて期待するのは、良いことです。親の期待が低いと、やはり、子供はそれ以上達成しよう、と思わない場合も多々あります。ですので、期待は高くても良いのです。

が、それを子供に押し付けるのは、実はやる気を萎えさせ、非認知能力をしおれさせる原因と思います。ですので、「親が期待する最終目標は、子供に言わない」のが大事です。

子供は、一人の人間として、自分で自分の短期も長期も目標を決めておくのです。親は口出ししません。

ただ、目標が低すぎる場合、上げるように促すことはできます。「できた」達成感を存分に味あわせたあと、

「ここまでできたんだもん、次はあそこを目指したら?」
「これができるなら、これもできるんじゃない?」

という具合です。ですが、すぐにやらせることはありません。「今はやんなくていいよ。次でいいよ。」と「次にやりたくさせるが、焦らして、すぐにさせない」、のがコツですが、これも、其の子供と親との加減、が入ります。

本当にできる内容は、すぐにさせてもよいのですが、次をちらつかせて、待機させる、じらせる事で、やる気を引き出すのは、実は、私が自分に使う技です。(やりきった!という達成感をしばらくは味わいたいので、味わうときもあります。)

またやらせてみて、出来なさそうだった場合、すぐに気分転換させるのも、よいと思います。

一日の目標も、達成できない日が増えてきたら、分析して減らす、内容を変えることを促すことも大事です。

一週間で考えれば、必ず2日は、プランを入れない、というのもよいと思います。何か予定が変わったら、キャッチアップする日を1日。1日は、完全に休憩、または、休むとずっと休みたくなるタイプには、かんたんなものをやる日にするなど、強弱つけて、「続ける」「あきらめない」根性を育てるお手伝いは、やはり大事だと思われます。

つらつらと、最近の出来事で、思うところを書いてみましたので、論理的ではないところもあるかと思います。ご容赦ください!

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