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トロンボーンは聖なる楽器

先週、先々週と古典派の演目によるコンサートを聴きに行きました。
どちらもモーツァルトとベートーベンの交響曲でした。

モーツァルトは40番、そしてベートーベンは3番「英雄」と一方のオケは8番というプログラム。
共通するのは、どの曲にも編成にトロンボーンがないということです。

古典派の交響曲には、使用される金管楽器はトランペットとホルンだけ。
ベートーベンでさえ、5番の「運命」と6番「田園」、そして9番「合唱付き」の3曲だけなのです。

それも、いずれの曲も4楽章だけという限定です。
このことはクラシックファンの中でも、かなりのオーケストラ・フリークやコアなファンしかご存知ないようです。

トロンボーンが定番の編成として常時使用されるようになるのは、ロマン派以降のことです。

当時、まだバルブ機構が開発されておらす、金管楽器は自然倍音しか発音することができませんでした。
そのような制約のある金管楽器の中で、トロンボーンだけはスライド機構によって、すべての音階や半音を奏することができたのです。

にも関わらず、どうして作曲たちはトロンボーンを使わなかったのか?
それは、当時トロンボーンは教会音楽に使用されており、ミサ曲やオラトリオなど聖なる楽曲に使われる神の楽器として認識されており、交響曲など俗世の音楽には使ってはならないという通念があったからなのです。

その概念を打ち破り、ベートーベンが最初に交響曲に使用しました。
当時としては画期的なことだったようです。

以降、多くの作曲家がトロンボーンをごく普通に使用するようになります。
ワーグナーなど、トロンボーンが主題を朗々と歌い上げますね。
タンホイザー序曲のクライマックスやローエングリン前奏曲、ワルキューレの騎行等、トロンボーンの活躍なしでは考えられませんね。


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