見出し画像

【レビュー】立場が変われば違う正義がある『ファイアーエムブレムif暗夜王国』

一気に終わらせてしまいました。本当に面白い。このあとDLCの『インビジブルキングダム』もプレイ予定なのですが、一旦区切りをつける意味も込めてレビューをまとめます。DLCにつきましてはネタバレ配慮なしの感想としてまた別記事で書きたいなと思っています。

3DSソフトなのでスクショは少なめで、あっても画面の直撮りで画質が粗いです。

 ストーリー:★★★★★
やりこみ要素:★☆☆☆☆
   簡単さ:★★☆☆☆
    音楽:★★★★★
グラフィック:★★★★☆
   操作性:★★★☆☆
    総合:★★★★☆

本作は2016年に発売されたファイアーエムブレムシリーズの14作目です。次作の『Echoes』がリメイク作品なので、新作という意味では最新作『風花雪月』の1つ前の作品にあたります。

白夜王国ver.と合わせて、同シリーズ初の2バージョンでの発売でしたが、同じような売り方のポケモンとは異なり、ストーリーや難易度に明らかな違いがあり、白夜王国は自由度の高い初心者向け、暗夜王国は経験値やお金、仲間の制限があるやや上級者向けのような感じです。

ストーリー:★★★★★

暗夜王国で4人の兄妹達と共に育った主人公は、とある出来事がきっかけで自分が敵国、白夜王国の王族であることを知る。そんな最中に白夜王国の女王である実母ミコトが、暗夜王国の国王であり養父のガロン王の卑劣な罠により命を落とす。暗夜王国と白夜王国でギリギリ保たれていた均衡が崩れ、戦いが始まる時、主人公が味方したのは一緒に育った兄妹達のいる暗夜王国だった。暗夜王国を内側から作り変え、世界に平和をもたらすため、主人公は真の兄妹達に刃を向けることになったのだった。

始めた当初は白夜王国ver.の反対側から見たお話、程度で構えていたのですが、想像以上に違っていました。主人公がどちらに付くかで戦況がこんなにも大きく変わるんだなと改めて本作主人公の存在の大きさを感じました。

また、白夜王国ver.で共に戦った仲間を手にかける(といっても実際に殺すことは極めて稀)必要もあり、罪悪感が拭えないところもありました。こういうところで、後に発売される『風花雪月』の地獄の片鱗を感じようとは。

やりこみ要素:★☆☆☆☆

ファイアーエムブレムif自体にはやりこみ要素はあります。いい組み合わせのキャラで結婚させて優秀な子供を作るとか、武器を強化し続けて最強武器を作るとか、拠点の建物のレベルをMAXにするとか、キャラクターの育成を完成させるとか………。しかしいずれも経験値やお金が制限されている本作では満足に行うことはできません。みんなをまんべんなく育てようなどと思っていると限られた経験値が分散してしまい『質より量』状態になってしまいます。おそらく戦闘で使用するキャラを絞って育成するのが正解だと思いますが初見でそれに気づくには少し時間がかかるかも。いかに効率良く、定番パーティを作っていくかがこのゲームの醍醐味の1つだと思います。

簡単さ:★★☆☆☆

上の項目でも書いたように、経験値やお金が限られているため、王族以外のキャラクターの育成がなかなかスムーズに進みません。さらに、白夜王国ver.ではたしか最初から4人の兄妹達と戦闘に参加できたはずなのですが、本作では兄妹達は徐々に加入してきます。そのため序盤はパーティ人数が限られる上に最後まで戦闘に参加させるかわからないキャラクターに経験値が入っていきます。本当に育成が難しい。そのせいもあって支援レベルを上げる機会も少なく、私は本作では主人公しか結婚することができませんでした。たぶん防陣(二人一組にすることで防御特化になるが他キャラと攻撃連携ができなくなる)を組ませれば早く支援レベルを上げられると思うのですが、攻撃を優先したかったので…。

あとは単純に敵も白夜王国ver.より強いと感じました。誰も死なずに勝利したことが一度もありませんでしたし、なんなら主人公が真っ先に退場するパターンもありました。(単純に下手なのかも)クラシックモード(死んだ仲間はそれ以降戦闘に参加できない)だったら早々に詰んでたかもしれません。でもその分クリアした時の安心感は白夜王国ver.以上のものがありました。なんとか………いけたっ………!!

音楽:★★★★★

私はこの作品の主題歌が大好きで、それを聞くために白夜王国ver.をプレイしました。作中では主題歌のアレンジ曲がたくさん流れるので、思わず手を止めて聴いてしまいました。ラスボス戦ではそれはもう壮大なアレンジが流れていて、歌詞が入っているところもあるのですが、そのあたりでいちいち鳥肌が立つほど好きです。スマブラ最新作にもアレンジされた主題歌(タイトルにifって入ってると思います)が入ってるので持っている方はそっちもぜひ聴いてみてください…!そしておそらくなんですが、戦闘曲で風花雪月と同じものもあって、ファイアーエムブレムシリーズで恒例の曲なのかなぁと、このあたりは白夜王国ver.だけではなく、風花雪月もプレイしたからこそわかった要素でした。特典のしっかりしたサントラも売っているようです。

グラフィック:★★★★☆

大きく3種類の表示画面があります。

・主人公視点のイベントムービー

一人称視点なので主人公の顔は映らず、手足だけ映ります。立体視機能を使うことで、より主人公へ感情移入をすることができます。物語冒頭の実母が自分の膝で亡くなる瞬間や、家族が温かくこちらに手を伸ばすシーンは特にリアリティを感じました。

・主人公のアバターが含まれるイベントムービーや戦闘シーン

こちらは上記のムービーとは異なり、自分が作った主人公のアバターが映り込むパターン。等身は5等身ぐらいで、かっこいいキャラクターもやや可愛めに映ります。表情変化も少しですがわかります。

戦闘シーンでのアクションもとてもスムーズで、弓矢キャラの飛んだり回転したりしながらの攻撃や、槍キャラの攻撃前に槍をクルクルと回すところ、主人公が刀を鮮やかに扱ったりスキルが発動して竜化して戦うところなど、とにかく戦闘シーンは見ていて気持ちいいです。

・拠点や戦闘の盤面上のドット絵パターン

ゲームボーイ時代のRPGのような小さいドット絵です。

立ち絵の後ろにうっすら映っているのがドットver.

盤面ではドット絵でキャラクターは表示されますが、敵との戦闘になったらそこが拡大されて1つ上の項目のグラフィックに変化します。ファイアーエムブレムシリーズではもはやおなじみのシステムだとは思いますが、シミュレーションゲーム初心者の私が白夜王国ver.をプレイした時に最も驚いたところです。これがあるからキャラクターに『駒』感をあまり感じないのかなと思いました。

操作性:★★★☆☆

特に可もなく不可もなくといった感じです。敵との戦闘シーンが全てはさまれますが(設定次第ではスキップもできるのかも)、スキップだけでなく早送りや一時停止もできるのでめんどくさいなと思うことはありません。私の場合は戦闘シーンを見るのが好きだったので、極力全て見ていましたが、仲間が死ぬことが確定した戦闘はスキップしていました、つらくて(笑)

仲間を動かすときに、選択→移動先を選ぶ→攻撃や持ち物等のコマンドを選ぶ、と操作するのですが、サクサクと押せてしまう反面、移動先を誤って仲間と重ねてしまい意図せず防陣にしてしまったり、 やっぱりこのキャラは後にして別のキャラから動かそうと、他のキャラを選択したつもりが、まだ前のキャラの操作中だったりと、こなれて操作してミスが頻発してしまうこともありました。これは私のせっかちさ故だとは思います…。

総合:★★★★☆

白夜王国ver.をすでにプレイしていたので、実質2周目の気分で最初は始めたのですが、全然そんなことはありませんでした。ストーリーも局面も全然違うし、主人公の性別を変えたことで結婚システムをまた新鮮に楽しむこともできました。

本作は元々やるつもりで積みゲーに入れていたのですが、今回DLCの配信終了を受けて急遽プレイすることとなりました。そのため白夜王国ver.とは3年ぐらい時期が空いてしまったところがあります。

前回も面白くて一気に駆け抜けた形跡があった。

今ただただ思うのは続けてプレイしたかったなぁということ。暗夜王国でこうしている間、向こうでは何をしていたんだっけ?と白夜王国で過ごした日々をほとんど覚えていなかったのが悔やまれました。白夜王国を選択したときは、かなりアットホームで微笑ましい雰囲気だったと記憶しているのですが、主人公が敵国を自ら選んだ本作では白夜王国陣営が結構殺伐としている印象がありました。そのあたりも覚えていればもっと比較していろいろ感じられる部分もあったんじゃないかなと思いました。DLCは追加コンテンツとはいえ、第三の選択肢として同様のボリュームがあるそうなので、今回を教訓とし、あまり間を空けずにしたいなと思いました。

また、同じく視点を変えての周回プレイが推奨されている『風花雪月』への期待値もかなり上がりました。あちらもまた主人公である先生がいる時といない時で、所属した領土の動きが大きく異なってくるため、そういうところは本作と似ているのかなと思いました。

タイトルに書いた『立場が変われば違う正義がある』は本作のキャラクターのセリフから拝借しました。ゲームには主人公と悪者がつきものですが、じゃぁもしも(if)主人公が悪者サイドについたらどんな感じ?というのをファイアーエムブレムifや風花雪月では体験できると思います。これらの作品における悪者はいわゆる『侵略者』なんですが、侵略する方にもそれなりの正義があり、それを貫くことがトータル的に侵略されてる側からしたら悪に見えてしまうんだということを思い知らされたような気がします。

自分が思う正義もあるけど、相手にも相手の正義があっての行動なのかも、と思い計れることは生きてる上で必要な気持ちなのかも…………とかなんとか深く考えてしまいました。勉強になります。


ー関連記事ー
風花雪月をプレイした時のもの


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?