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【レビュー】『コーヒートーク』で雰囲気に酔いしれる

前回の記事でコロナの濃厚接触者になったと書きました。あの時は久しぶりのまとまった休みで、ゲームしまくるぞ〜と気合い入れてたのですが、なんとその数日後に症状が出始めてとうとう陽性者に。体がしんどくて起き上がって遊ぶことが難しくなりました。今回いっせいトライアルで配信された本作は、本を読むようにベッドの中で落ち着いてできるので、とてもいい暇つぶしとなりました。というわけで、今回のレビューはそんな療養生活のお供になってくれた『コーヒートーク』をお送りします。

 ストーリー: ★★★★☆
やりこみ要素: ★★★★☆
   簡単さ: ★★★★☆
    音楽: ★★★★★
グラフィック: ★★★★☆
   操作性: ★★★☆☆
    総合: ★★★★☆

先日のインディーワールドにて続編が発表されたのもあり、いっせいトライアルの対象になったのかな。元々体験版も配信されており、とてもとっつきやすい作品だと思います。やり込んでも10時間以内には終えることができます。

ストーリー: ★★★★☆

主人公のあなたは2020年のシアトルにある深夜にしか開かないカフェ『Coffee Talk』のマスター。この街では様々な種族が共存しているため、カフェを訪れるお客様、そして彼らのドラマも多種多様です。お客様が必要としている飲み物を提供しながら、彼らの話に耳を傾け、今日も『Coffee Talk』の物語が幕を開けます。

おおまかなストーリーはあらすじ通りなのですが、他にもあるであろうコーヒーを作るゲームと大きく差をつけたのはずばりキャラクターでしょう。舞台設定は2020年のシアトルとリアルなのですが、キャラクターの種族は未プレイの方が想像される以上の種類が登場します。例えばエルフ、オーク、サキュバス、吸血鬼、海棲人……などなどジャンルもごちゃ混ぜです。他のゲームでこれだけの種族が登場すると、派閥があって対立してて争いが起きて〜とゴタゴタが起きそうですが、本作は何しろ人々の憩いの場『カフェ』が舞台なので大きな争いごとは起きず(事件は起きるけど)、ゆったりとした時間が流れます。お客様との会話で種族が違うからこその悩みや、習慣なども聞くことができ、段々とこの世界の情勢がわかってくるのもカフェのマスターらしくて楽しかったです。

1つ驚いたのはストーリーのシリアス具合。カフェでお客様と会話、と聞くとほのぼのしたゲームなのかなぁと思ってしまいがちですが、会話の内容には種族差別、親子関係の問題、性的な話題など子供が理解するには難しいようなことも含まれていました。それも全部まとめて大人のゲームだなぁという印象です。

海外産のゲームですが、ローカライズもしっかりされているので会話内容も難なく理解できるのも良かったです。

やりこみ要素: ★★★★☆

プレイする前は読み物のようにサクッと一回プレイすれば終わりだろうなと思っていたのですが、実際蓋を開けてみると多くはなくともある程度のやり込み要素がありました。

◯レシピ収集
本作ではお客様のご希望に合わせて飲み物を提供するのですが、そのご希望も「眠くならないもの」「コーヒとしょうがを使ったもの」「STMJ」と様々です。いやいや、STMJって何よ。と思わず検索して調べることもありました。ゲーム中は飲み物のレシピを確認することができますが、最初に開放されているレシピはごくわずかで、残りは自分で組み合わせを試して埋めていかなくてはいけません。組み合わせは3種類の材料によって決定するのですが、例えば『コーヒー、シナモン、ハチミツ』と『コーヒー、ハチミツ、シナモン』は別物扱いとなります。正しい組み合わせを選ぶと名前がついてレシピに組み込まれるので、根気強く探す必要があります。

◯ストーリーの分岐、周回
なんと本作のストーリーには分岐と周回要素があります。適切なタイミングでお客様の求めるものを出せなかった場合、その人の今後が少しだけ変わってしまうのです。ようは良い結果に繋がるか、悪い結果に繋がるかです。そして周回要素ですが、周回してもエンディングが大きく変わることはありませんが、ちょっとメタい特殊な会話を見ることができます。詳しくはご自身でお確かめください。これを初めて見た時「このゲーム思った以上に深いなぁ!」と感心してしまいました。

2周目の主人公への反応を見るのも面白い

◯その他実績
このゲームには様々な実績があって、上記のやり込みもそれに含まれています。どれも時間もかからず、すぐに試せるものなのでぜひ全部埋めてみてください。

実績は一周だけでも8割は埋まるので簡単め

簡単さ: ★★★★☆    

メインはストーリーを読んで言われた通りの飲み物をだすだけので、ただクリアするだけでしたら簡単に終えることができます。ただし、正しいタイミングで正しい飲み物をちゃんと出せるか、という深読みが必要な場面も。

このゲームで特別難しい!と感じたのはラテアートです。本作では紅茶以外のミルクを使った商品にはだいたいラテアートができるのですが、これが一番の難敵。まずマニュアルがない。道具を渡されて「さぁ、ラテアートをしてみようか!」と放り出されます。いや、無理でしょう!!教えてくれよ!!さらにこれは攻略サイトに記載されていたのですが、どうやらSwitch版プレステ版は操作性に違いがあるらしく、Switch版の方が難しいと言うのです。確かに攻略サイト通りに作ってるのに上手く描画出来ませんでした。ラテアートの出来が本編に一切関係なかったのが救いでしたが、もうちょっと素人がラテアートを楽しめるような工夫があっても良かったんじゃないかなと思います。

攻略サイトを参考にしながら描いたアンモナイト
左下に寄ってしまった

音楽: ★★★★★

舞台がカフェというのもあってゲーム中は終始心地よいカフェミュージックがかかっています。作業用BGMにぴったりです。さらに飲み物を作る際のコーヒーを淹れたり、しょうがを切ったりする音もリアルですごく良かったです。料理の音ってなんだか落ち着きますよね。

グラフィック: ★★★★☆   

よく見たらドット絵なんですよね。大きく描画されているとぱっと見分かりませんでしたが、細かいところまで全てドットで描かれていて綺麗でした。特に夜景。夜景とドットの相性は最強ですね。

操作性: ★★★☆☆    

操作性を低めにしたのはラテアートの難しさが大きいです。他に挙げるとしたら、UI周りでしょうか。

このゲームでは会話の自動再生や早送りができます。早送りの方は2周目で特に重宝する機能で、まだ見たことのない会話シーンになると自動で早送りを止めてくれて便利です。一方自動再生はその名の通り会話を吹き出しごとにボタンを押さなくても自動で進めてくれる機能です。ちょっと鼻をかみたいなぁというときもこの機能をオンにしておけば楽々です。が、少し不満点がありまして、このゲームにはキャラクターのプロフィールを確認できるスマホがありまして、このスマホはいつでも見ることができます。それはもちろん会話中もなのですが、スマホを開くと画面の一部分がスマホ画面で隠れる仕様になります。その状態で会話の自動再生をしていると、なんとスマホの後ろ側で会話ウィンドウが進んでしまうことがあるのです。会話はログで確認することもできるので見逃すことにはなりませんが、スマホを触る際は自動再生を切ってからした方がよさそうでした。

このスマホの裏側にキャラクターや
会話ウィンドウが表示されることもしばしば

総合: ★★★★☆

とにかく癒やされました!シアトルのカフェのマスターになる、というだけでもかっこよすぎて悦に浸ってしまうのに、ストーリーにも深みがあるという嬉しい不意打ちでした。一周がサクッと終わりますし、周回のための機能もあるので短期間でやり込めるところも素晴らしい。今回のストーリーで何人ものキャラクターの物語を見届けましたが、続編でも一部のキャラクターは再登場するみたいです。さらに、このゲームの最大の謎である主人公についても続編でさらに言及があるのか気になるところです。

今回いっせいトライアルで気になっていた本作をする機会を得られてよかったです。インディーゲームは旬(マルチで盛り上がったり)がほぼないこともあり、後回しにしやすいジャンルなので、トライアルがなければまだまだしなかったと思います。さらにコロナ療養期間が重なったのも不幸中の幸いで、ちょうどポケモンが発売されましたが、超大作を進めるのはちょっと疲れるなと思っていたのです。

いろいろ機会に恵まれてその楽しさを知ることができた本作ですが、2はちゃんとコーヒートークのために時間を作って臨みたいなと思いました。


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