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わが家の「家族像」

先日、外出自粛で一番最初にロスになったのが、地元のお寿司屋さんに行かなくなったことだ、とnoteに書いた。そのnoteをアップした後、キッチンでご飯をつくろうとしたら、LINEで連絡が入り、そのお寿司屋さんに食べに行こうという話になった。お店に電話をしたら、いつも通りやっているという。

ちょっと遅めの20:30に仕事帰りの旦那さんとお店の前で待ち合わせ、入店した。次男は彼女さんとご飯食べに行くとのことで、長男と3人で。

店内は、カウンターが10席くらい、4人掛けのテーブル席が4卓。大将含め3人の職人さんと、配膳をしてくれる女性店員さんがいつも2人くらい。良心的な価格で、地元の常連さんも多い。

いつもほぼ満杯の店内も、このご時世だからか、埋まっている席は半分ほど。カウンターの椅子やテーブル席の間隔も、いつもより開いている。

Uber Eatsはしょっちゅう頼んでいるのだが、外での食事は本当に久しぶりだ。特にお寿司の配達は、この地域はスシローしかなかった。「お寿司屋さんのお寿司が食べたい!」とずっと思っていた。じゃ、行けよ、という話なのだが、やってないんじゃないかと勝手に思っていたのだ。

最後に行ったのは1月末。実に3カ月半ぶりだ。久しぶりということも手伝って、調子に乗ってあれこれ頼み、お酒を飲むペースもあがった。飲みながらの話題は、コロナ禍に関すること。それ以外で家族みんなが関心のある話題といったら一つしかない。長男の大学のこと、その先の進路のことだ。毎回100%その話になる。

毎度毎度話すわりに、いつも酔っぱらってしまい最後には覚えてないので、また次も、父と母は同じことを話す(笑) それを長男は「また始まったよ」と苦笑しながら聞いている。先日もそんな感じだった。


もともとうちは家族で外食をする機会が多い。私が面倒くさがりというのもあるし、外食が唯一の共通の趣味、みたいなものだから。食べること、飲むことが好きなのももちろんあるが、食べログ評価の高いお店に行こう!とかそういうんではなく、単に飲み屋さんの雰囲気が昔から好きなのだ。『深夜食堂』みたいなのが特に大好きだ。

男の子2人なので、外食といえば焼肉屋さんにいくことが圧倒的に多かったのだが、地元に新しいお店がオープンしたらひとまず1度は足を運んだ。1日に何軒かはしごをすることもある。

とはいえ、そのお寿司屋さんだけは、いつも大体1人で、もしくは高校生の頃の長男と2人で行っていた。次男は、お刺身などの生モノが高校生になってもあまり食べられなかったし、いつもバイトか友達と遊んでいて家にいなかったから。


1人で行き始めたのはたしか10年くらい前。
店内のお客さんは男性1人か、カップルや夫婦が多く、最初は女1人では入りにくかった。入ろうと思ってお店の前まで行ったものの、やっぱりやめようということが何度かあった。

でもまあ、こっちもいい年のおばさんだ。気にせず入ってしまえばなんてことない。そして通っているうちに、顔を覚えてもらえたので、まったく躊躇せず入れるようになった。なにより、良心的な値段の割にネタが大ぶりでおいしいというのは、ポイントが高い。

人前で研修やワークショップをしてエネルギーを烈しく放出した日などは、気を静めるために、そしてがんばったご褒美にと、そのお寿司屋さんに寄ることが多くなった。

旦那さんは旦那さんで、1人でたまに行っていたようで、初めて家族揃っていったときは、「あ、そうなの?」という感じで、驚かれた。


私はいつも頼むものが決まっている。

「生ビールと、貝の盛り合わせをつまみで」

貝の食感が好きなのだ。コリコリとした歯触り。口の中に広がる磯の香り。
ちょっとした苦み。お寿司屋さんのネタが貝類だけになったとしても、困らない。あ、いや、それは嘘。他のも食べたい。

1杯目の生ビールを飲み終わると、もう1回生ビールかレモンサワーをお代わりする。そのときに、

「トロたく巻きと、えびください」

と追加の注文をする。トロたく巻きは定番。にぎりは、えび以外のものを頼むこともある。そして、だいたいいつも、それでおしまい。夜はそんなに炭水化物を食べないから。

いつも貝の盛り合わせをつまみで頼んでいたら、そのうち席に座るだけで「貝の盛り合わせですか」と言ってくれるようになって、より行きやすくなった。

高校生の長男を連れていくこともあった。ラグビー部の彼は、当時回転ずしに行っても40皿くらい食べる大食漢。普通のお寿司屋さんで、そのノリで食べられてしまうとヤバいので、いつも

「海鮮丼のご飯大盛りとマグロ丼のご飯大盛りください」

と大盛りどんぶりを2杯頼んで、それをものの数分で平らげる。その後に、「今日はいくらまで食べていい?(イクラではなくて金額のこと)」と私に確認をし、その金額に応じてにぎりを追加で注文するというのが定番コースだった。その食べっぷりに、職人さんはいつも目を丸くしながら、笑っていた。

そんな風にしてそのお寿司屋さんは、いつの間にかソロや家族で、10年近く通っているお店になっていた。先日、久しぶりに家族で訪れ、そんなこれまでのいろいろを思い出した。


同じ市内で引っ越しをし、今の家に住んで2年半くらい。駅から遠くなったので、前ほどには外食をしなくなった。それでも、コロナ禍の前は、最低でも月に2~3回は家族でどこかしらに食べに(飲みに)行っていた。

これから先、家族揃って、何かを話しながら一緒に飲んで食べるという日は、もしかしたら本当に数えるほどしかないかもしれない(コロナ以外の何が起こるか、わからないし)。

子どもたちも、それぞれが社会に出て、それぞれの関係ができていって、住むところもバラバラになって、家族というのはたまに必要があって連絡をとるだけの関係になるかもしれない(まあ、今もそれぞれが個々人で過ごす、シェアハウスみたいな状態だけれど)。

それでも、ここまでの21年くらいのわが家の歴史の中で、焼肉屋さんや、居酒屋さん、お寿司屋さんなど、外のお店で一緒に過ごした時間は、相当なものになっている。家族で一番一緒に出かけたところ、といえるだろう。

子どもたちの記憶の中に、それは確実に残るだろうし、彼らに家族ができたとき、きっと必ず思い出す光景となるはずだ。家でみんなで食卓を囲んだという映像よりも、おそらく鮮明に。そして、父親も母親も、それにしてもよく酒を飲んだよなあということも、一緒に思い出すだろう(笑)

それが良かったとか、良くなかったとかそういうことではなく、いずれにしても一つの「家族像」なんだなあということを、今日これを書きながら思っている。その「家族像」には、間違いなく自分が小さいときの「家族としての経験」も影響している。それについてはまた今度書いてみたいと思う。

ああ、こんなことを書いていたらまた、お寿司の口になってきてしまった。明日の銀行の用事のついでに、ランチ営業に行ってみようか。
行く。

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