みみ哲#6「7つ道具de哲学対話」開催レポート
以下の日程で、5回目と6回目となる「みみ哲」を開催しました。
4月24日(日)#5
5月21日(土)#6
今回は6回目の様子をレポートします。
開催の経緯
哲学対話に参加していると、「自分の言いたいことが伝わっていない」「この人の言いたいことがあまりつかめない」と感じることがよくあります。このような「伝わらなさ」「つかめなさ」はどこからくるのだろう?どうすれば私たちは、お互いの意見や考えをもっとわかりあうことができるのだろう?という悩みから始まったのがこの企画です。
伝わらない1つの原因として考えられるのは、人それぞれ考える過程がまったく異なるということ。その人にしかわからない世界のことを、その人にしかわからない順番で説明されても、他の人はイメージができません。お互いの考えを理解するには、考える道筋と思い浮かべているイメージを共有することが重要になってきます。
そこでみみ哲では、考えることを助ける7つの道具(方法)を使いながら、共に考えるということを試みています。タイトルの「みみ哲」には、「よく聞く」ということと、「音声だけ」で行うという2つの意味が込められています。
当日の流れ
進行役は哲学探偵さん。参加者は全部で3名でした。
みみ哲は、ワークショップと哲学対話がまざったような形で進んでいきます。
簡単なイントロダクションのあと、まずはウォーミングアップとしての「わからないこと探し」。今回のテーマの「ワガママ」に関して、思い浮かんだエピソードや考えを共有し、その後、お互いにわからないことを質問していきます。
休憩をはさんで、後半は7つ道具のうち、次の2つを使いながらさらに掘り下げていきました。
・対偶証明法
・仮説と推論
こんな風に書くと難しそうに見えるかもしれませんが、やっていることはとてもシンプルです。
誰かの意見の逆や裏、待遇を考えてみると何が見えてくるのか?
誰かを「ワガママ」と感じるとき、そこにはどんな仕組みが働いているのか?
ということに絞って対話をしていきます。
観点を絞ることで話のやり取りのズレが少なくなり、テーマからそれることなく一緒に考えていくことができます。わからないことを確認しながら進めるので、丁寧に相手の話を聴くことができ、深い理解につながります。
そのように、考える道具を用いながら丁寧に対話を重ねていくことで、最初に思ってはいなかった深いところまで、一緒に辿り着くことになりました。
ふりかえってみて
今回のようなみみ哲でも、毎月定例で行っている哲学対話の場でも、私たちが行っていることは、複雑なようでいて意外とシンプルなのかもしれません。
テーマに関してその人が発する言葉のなかに、どんな情景や意味が込められているか。それを風呂敷を開くようにして開いて、そこにいるみんなで覗いてみる。お互いにそのようにして覗き合いっこをするうちに、自分の世界にはこれまで存在しなかった新たな何かを見つけることができる。
なんだか、ぽわーんとした喩えになりましたが、哲学対話は、そういった「お宝発見」のような時間でもあるのかもしれません。
次回開催の予定
★次回のみみ哲#7は、6月18日(土)14:00~17:00開催予定です。
★毎月開催のオンライン哲学対話
5月28日(土)10:00~12:00、テーマは「役に立つ」
あなたにとって「役に立つ」とはどんなことでしょうか? 「役に立っ」ているとき、そこでは何が起こっているのでしょうか? 「役に立っ」ているかどうかを誰が決めているのでしょうか? 私たちは「役に立た」なければいけないのでしょうか? それぞれの「役に立つ」に対する問いを持ち寄って、みんなで一緒にゆっくりじっくり考えてみませんか。
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