畜産バイオガスプラントについて

現在情勢による原油高と円安の影響、もっと言えばその影響はこれからで、これからウクライナ情勢の影響が出てくるのだと思います。
このエネルギーの問題は、どこかで話さなければならないことだと思います。
エネルギーに関わる皆さま、ここから何ができるかを考えましょう。

さて、今回は我々が運営に携わる、北海道十勝清水町にあります”清水町美蔓バイオガスプラント”をはじめとした畜産バイオガスプラントを紹介したいと思います。

この施設は9軒の酪農家と十勝清水町農業協同組合により2019年設立された十勝清水バイオマスエネルギー株式会社が運営しております。

このバイオガスプラントでは搾乳牛のふん尿1日約160tをメタン発酵処理を行い、メタンガスで1日約12,500kWhの電力を発電し排熱を場内の各槽の加温に利用します。さらに発酵した残さ物であるバイオ液肥と再生敷料は農場や農地へ還元され、肥料や敷料として還元されます。
メタン発酵バイオガスプラントは廃棄物からエネルギーや肥料を循環することができる、廃棄物を出さない理想の廃棄物処理施設だと思っております。

十勝清水町は146,670t/年間の生乳を出荷し十勝地域で最も生乳出荷量の多い酪農地域です。
※令和2年十勝畜産統計より

皆さんが飲んでいる牛乳や食べている乳製品の多くはこうした酪農地域で育てられる乳牛によって支えられています。

しかし意外と知られていないことに、牛乳1㍑を搾る為、約2㎏のふん尿が発生しています。家畜ふん尿は、産業廃棄物であり適正に処理することが義務付けられています。

家畜ふん尿は、各牧場で何度か空気と混ぜて好気性発酵を行うことで、完熟堆肥として肥料として利用されます。
しかし、農家の大規模化や効率的な飼い方の変更により、ふん尿が水分の多いスラリー状になり、各牧場での堆肥化が難しくなっております。

現在北海道の酪農地域ではそれらの問題から未発酵のふん尿による悪臭や雑草による作物への影響等が発生していました。

そんなふん尿処理の問題を解決する手段として、嫌気性でメタン発酵させ、適正なふん尿処理を行うバイオガスプラントは、道東を中心に多く普及しております。

廃棄物を出さず、廃棄物から安定的なエネルギーと資源を生み出すバイオガスプラントは、これまでの廃棄物処理施設との位置づけから、特に地方のエネルギー施設として現在のエネルギー情勢も含め、今後の脱炭素、循環型なまちづくりの主力として期待されております。
ドイツでは太陽光や風力の不安定電源の調整電源として、重要な役割を担っております。

全国の牛乳、乳製品、農産品、水産品を供給している北海道は豊かな自然と広大な大地を活かし、なりあいとするこうした生産者の下で成り立っています。

食料や畜産は計画を簡単には制御できないことを考えながら、今後のエネルギーを考えたいと思います。


放牧風景



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