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【読書】それでも食べて生きてゆく 東京の台所

 著者:大平一枝(おおだいら かずえ)さんの書籍。市井生活者を独自目線で描く「台所から人生の愛しさを描く感動ノンフェクション!」に惹かれて読んでみた。

22人の再生の物語。東京の台所からの取材で22人の人生が描かれていた。台所からという視点が新鮮だった。言葉はどれも優しい。好きな言葉はメモした。

人の台所って確かに興味がある。最近、おしゃれなミニマリストの動画も多い。収納やルームツアーの動画も見るが、無機質を感じることも多い。

でもこの書籍に出てくる台所は、実際に使い込まれた道具や調味料の数々がある。生活感のある台所に安心する。

書籍の帯にもあるが、何度か出てくる言葉「何も失ってない人などいない。みな何かを喪失し、それでも立ち上がり、今日もごはんを作っている」が印象的だった。

私もつらい出来事があると、食欲がすぐになくなる。「時間薬」という言葉があるように、しばらくすると何とか食べれるようになる。

当たり前だが、人間食べなければ、生きていけないようにできている。22人の人生のストーリーのうち一人の女性は、自分の経験と似たところに共感を覚えた。人それぞれ、つらいことや悲しいことはあるよなあと思った。
筆者は、取材の中で

「台所は人が思っている以上に雄弁であるという実感だ。おそらく台所の持ち主も気づいていないだろう」とあった。

家の中で一番生活感のある台所を通して22人のそれぞれの人生を垣間見たように思った。

人って不思議だよね。どんなに悲しくて立ち直れそうになくても、台所に立って手を動かしてるとちょっと落ち着くんだよね。で、食欲がなくても作ったからには食べたくなる


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