収納が足りない

──収納が足りない。そう気付いたのはここ数日での話じゃない。もう何年も前から私は我が家の収納が足りないことを嘆いている。

私の自室は本だらけである。壁際のクローゼットと、小学生の頃から使っている勉強机とセットの椅子。既に中のバネが壊れているベッドを除けば、後のスペースは本の為に使っている。綺麗に並んでいる漫画や小説は数えてみる気すら湧かない程度の巻数はある筈。一度読みたいものを手にしたら手放すことのない私の本は、年数を重ねるがごとに着々と増えていく。そうしていると必然的に起きてしまう問題。──収納が足りない。

壁面収納のクローゼット。3列に並ぶそこは本来なら洋服を仕舞う為の場所だというのに私はその内の一つを本の収納に使っている。我が家には広めの押し入れが無い。階段下の小さなスペースは日用品置き場と化している。ちゃんとした住処を与えられず、仕方なしにダンボールに眠らせている本を逃がせる余裕がある筈もなく、行き場のない本たちはベッド下の衣装ケースに追いやられている。

勉強机の隣の本棚。小学、中学、高校、と教科書や辞書に留まらず参考書を置かせてくれたその場所も、今では私のお気に入りの本が並ぶスペースである。しかしやはりそこでも収納が足りない。小説を10冊程並べるだけで一段埋まる。愛読している小説が分厚いせいなのか、スペースが足りないのか。もちろん足りないのは後者だと思いたかった。

──収納が足りない、収納が足りない。

呪いを呟くようにブツブツと吐き続ける内に気付いてしまった。ベッド下の、使用用途の違う衣装ケースがいつの間にか割れている。足りないのは本当に収納スペースなのか、──はたまた。

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