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とんだ来客 其ノ二



僕の家にはとんでもないお客がいる。
もはや居候と言ってもイイのかもしれない。


彼女は自分のことを「ユーレイ」だという。
たしかに部屋から部屋へすり抜けていったり
現れたり消えたり自由自在みたいだ。


なぜかわからないけれど数ヶ月前から現れるようになって、そのまま居続けている。
そして毎日僕にいろんなミッションを課す。


今日もお菓子を片手にケタケタ笑いながらお笑い番組をみている彼女を横目に、こっそり出かける準備をしていると
「あ、出かけるの?帰りにポテトチップスとチョコ買ってきて!よろしくねー♪」
とか、すかさずミッションを挟んできた。
(意外におせんべいリクエストも多い)

なぜミッションなのかというと、
「アタシのお願いきかないと、ノロイコ◯シちゃうわよ♪」
なんてオソロシイことを平氣でいうからだ。
(これって脅しだよね?)
僕の選択肢は「イエス」か「はい」か「喜んで!」しかないのだから、ミッションと言わずしてなんと言おう?


当人は
「ユーレイっていいわねー🎵
いくら食べても太らないの!サイコーだね♡」
とか呑気なことを言ってごきげんだ。
ユーレイなのにどうして食べられるんだ?
食べるときは実体化するワザを覚えたようで、こんな光景が当たり前になっている。
僕の安月給ではエンゲル係数が高まるばかりなので、早くなんとかしてほしい…

いつまでもこれじゃ困るし、とっくに成仏していいと思うんだけどなぁ。


以前彼女になぜ成仏しないのかをきいたら
「ん〜…、まだ内緒にしとくー🎵
あ、今日はたこ焼き食べたいから、作ってね〜♡」
と言って誤魔化されてしまった。
(そして僕は にわかたこ焼き職人になり、大量のたこ焼きを作らされたのだった…。「なかなかやるじゃん!」とかいいながら作ったそばから彼女のお腹に消えていくたこ焼き…。あの日は何時間作らされたろう?ユーレイだからかお腹は底なしのようで、違う意味でオソロシイ…)


このときの僕にはまったく予想だにしなかったけれど、のちに意外な形で彼女が居座っていた理由を知ったのだった。





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