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体験は人それぞれ、というUXのはなし

前回に続いて、ゲームとUXについていろいろと書く前に、UXの基本についてちょっと書いてみます。
UX(User Experience)とは、
"製品やサービス"を利用した人(ユーザー)頭の中にある、
"製品やサービス"についての経験(エクスペリエンス)
のこと。
ゲームに限らず、UXというものを考える際にはいくつかポイントがあるので、今回はそのあたりを書いてみます。

UXは人それぞれに存在する

いきなり主題ですが、UXは主観的なものです。ある製品を複数のユーザーが利用すれば、ユーザーそれぞれのUXが存在します。
これは、二人の人間が同じ製品・サービスを利用したとき、Aさんにとっては良い経験だったとしても、それがBさんにとって良い経験とは限らない、という当たり前の話です。


同じゲームに対してある男性は良い体験を得ている一方、
別の男性は悪い体験を得ているイラストです

人間にもいろいろな人がいるので、全ユーザーに対して良いUXを提供することはめちゃくちゃ難しいです。これは、育ってきた環境が違うから好き嫌いはイナメナイ、という趣味嗜好の話…だけではありません。
「足の形は人それぞれなので、万人にフィットする靴を作ることが難しい」というような身体的特徴の違い、「”正解”を意味する記号は、日本ではマルだけど、海外ではチェックマークが一般的」というような文化の違いなど、同じホモサピエンスでも、そのプロパティ(特性、属性、性質)にはかなり個体差があります。

この「人ごとの特性の差」を踏まえて、ユーザーに良い体験を与えるUXデザインとしてとれる手法としては「ターゲットになるユーザー」をキチンと定めること。つまり万人狙いは難しいので、特定のプロパティを持つ人を狙い撃ちにするようなやり方が重要になります。

広告などで「働く女性を応援します」みたいなコピーをよく目にすることがあると思いますが、あれは「忙しく働く女性」をターゲットに、その人たちが良いUXを得られるように考えられた製品・サービスですよ、ということ。
世間では評判が良かった製品・サービスなのに自分が利用してみたらイマイチだった…という体験をしたことがある人も多いと思いますが、そういう時は「自分はこの製品・サービスのターゲットユーザーではなかった」と思いましょう。UXとは主観的なものなのです。

おまけ:UIとUXは似て非なるモノ

余談ですが、よくUI(ユーザーインタフェース)とUXの違いがごちゃごちゃになっている記事をたまに目にします。UIは「製品・サービス側の要素」であるのに対して、UXは「ユーザー側の要素」なので、全然違う概念です。

製品Aのプロパティ
 ┣ 製品名
 ┣ 価格
 ┣ 仕様
  ┣ 大きさ
  ┣ … 
  ┣ UI(ユーザーインタフェース)
  ┣ …
山田太郎のプロパティ
 ┣ 氏名
 ┣ 年齢
 ┣ …
 ┣ さまざまな体験
   ┣ 製品Aにまつわる体験(UX)
   ┣ 製品Bにまつわる体験(UX)
   ┣ …

もちろん良いUIを提供することは良いUXに繋がるし、悪いUIは悪いUXに繋がるので無関係ではないけれど。

今回は以上です。ありがとうございました!

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