【後編】三吉梨香が信じるラジオの力——出会ってつながる、ふくしまのグルーヴ
あなたの声が聞こえてくるという変わらない日常に支えられた
——長らくお仕事されていると、いろんな出来事たくさんあったと思うんですけど、転機というかターニングポイント的なことってあったりされましたか?
東日本大震災は、すごく大きかったと思いますね。あのとき、放送のあり方もものすごく考えましたし、何を喋ったらいいんだろうって、本当悩みながらの放送だったんですけど。
1年経って、2012年に南相馬でイベントをしたときに、海外から浜通りに嫁がれた方、大熊町で結婚されて英語の先生をされてたんですけど、震災で避難しないといけないから住む場所も変わって、職場の学校も避難のため変わって、「何もかも変わったんだけれども、ラジオからあなたの声が聞こえてくるという変わらない日常に支えられた」って。言ってくださったときは、本当に全部が報われるみたいで、その場で号泣しちゃったんですけど。今思い出しても泣きそうになっちゃいます。この仕事していてよかったなって思って。よりこの仕事が好きになったし、もっと頑張ろうっていうふうに思いましたよね。
それと同時にいろんなアーティストさんが福島に来てくださって、フェスもたくさんあったじゃないですか。あのときに感じた音楽の力っていうのが、自分の中で本当に、大きすぎて。あのときライブとか音楽がなかったら、自分はもう前に進めなかったろうなっていうぐらい、やっぱり生きる支えにもなったので。アーティストさんたちの福島への思いとか音楽とか、よりもっともっとラジオで伝えたいなっていうふうに、すごく思いました。
音楽から生まれるあのときの熱量とかパワーってすごかったじゃないですか。より2011年、すごくたくさんライブに行ったんですけど、フェスも……「これをちゃんとラジオで伝えたいな」って思いましたね。転機だったのかも。
——そうですよね。確か三ヶ田(圭三/club SONIC iwaki)さんがインタビューでおっしゃってたんですけど、「そういうときに音楽って必要かどうか問題」みたいなのってあると思うんですけど、そういう観点で言うと絶対にね、必要だなって思いますね。
本当に。有事のとき一番最初に必要かって言われちゃうのが、なんかもうやるせないというか。でもね、自分は「いや、必要です」って何を言われても言おうって思ってますし、あのときすごくラジオでも音楽……もちろんその(発災)直後っていうのは生活情報とかが大事でしたけど、でもちょっと時間が経ったときにやっぱり「音楽聴きたい」とか、「『アンパンマンマーチ』聴きたいって、子どもたちが避難所で」とか、すごく音楽のリクエストも多かったし、よりそれが生の音楽だと、ものすごく大きなエネルギーじゃないですか。だからライブハウスがあってよかったし、フェスがあってよかったし。
福島ってそういう熱い人たちが多いじゃないですか、音楽関連。だからよかったなって……そういう人たちがいてくださって助けられました。
——当時震災のとき、高校1年生だったんですけど。
ああ……! そうか、高校1年生だったんだ。
——震災が起きて、高校からの帰り道、情報を集めようと思ってずっとラジオを聴いていて。そのとき、中村哲郎さん※が確か話されていて。いつもすごく軽快に話されていたのに、そのときはすごくシリアスというか、淡々と情報を伝えられていたのが、今も記憶に残っていて。
そうですか。中村さん、喜ぶと思います。
中村さんは2時46分直後、放送で避難を叫び続けた方。私はその隣で情報の原稿を書いて、中村さんに渡す役割だったんですけど、そのときの中村さんの表情とか声色とか、一生忘れないです。今、長野(FMさくだいら)で頑張っています。
——そうですよね。そういう生活インフラみたいな部分も(ラジオの機能として)あるとは思うんですけど、でもやっぱバラエティ的というか、情報だけじゃない部分でその英語の教師をされていた方は助けになってたってことだと思うので、どっちの面でもラジオってすごく大事だなって、聞いてて思いました。
すごく励みになります。そうですよね。だからその思いを大事に、これからも何があってもちゃんと話し続けていきたいなというふうにはすごく思ってます。
——ありがとうございます。……そしたら、徐々に現在のお話になっていくんですけど。
こういう感じなんですね(笑)なるほどなるほど。
——ここまでで、何か話しこぼしみたいなものがあったら。
なんだろう……小学校6年生のときに、すごくCHAGEさんのラジオを聴きたくて、夜中2時からの生放送だったんですけど、すっごい親に怒られながら隠れて聴いてたっていうのがあります(笑)。
——チャゲアスのお話って、今もよくされますもんね。
そうですよね(笑)しますよねえ。
——やっぱり大きな存在というか。
そうですね。チャゲアスとかミスチルとかスピッツとか、すごく聴いて聴いて聴いて……っていう感じでした。
動かないと何も生まれないし、見に行かないと分からないし
——ここまでお仕事されてきた中で構築された、何かポリシーみたいなものとか、大事にしてることとかは……。
ええ~、ちょっと待ってください、ちゃんと考えておけばよかった。大事にしてること……うーん。
——その都度その都度でたくさんあるとは、もちろん思うんですけど。
そうですね。でも、ちょっとでも「行きたい」「会いたい」「見たい」って思ったら、行くようにはしてます。
やっぱり「出かける」ってすごく、エネルギーも要るじゃないですか。休みの日だと、もうしんどいし寝てたいしって思うんですけど、思ったとしても行くようにしていて。それって、結局やらなきゃよかったとか行かなきゃよかったって思うことって、絶対になくて。むしろ、気分が乗らなくても、行ってみたら「やっぱり来てよかった」とか、「やっぱりあのときやってみてよかった」って思うので。
自分が今「これをちょっとやりたいからお願いしてみよう、聞いてみよう」とか、「このライブがある」「このイベントがある」、「見てみたいな」「行きたいな」って思ったら、多少無理してでも出かけたりとか、聞いてみたり、見に行ったりっていうのは心がけてますかね。
——惜しまずにというか。だって、(SNSを見ていると)毎週どこかしらに行かれてますもんね……?
(笑)それ……思います?
——思います(笑)。
すっごくよく言われるんですよ。そんなことないような気がするんです。でも……出かけられますよね、永井さんも。だから一緒ですよ。
——なんかその投稿を見てるだけのイメージなんですかね。
本当によく言われます(笑)。友達からは「年々動きが加速してるね」って言われるんですけど(笑)。
ライブでもフェスでも、「今行かないとじゃあ、次ってあるかな」とか、「この組み合わせで(再び)観られるかな」とか。あと自分自身も、もしかしたら来年、何か病気になってるかもしれないし、分かんないじゃないですか。災害が起きて、動けない状況になってるかもしれないし。震災が起きて、本当に明日どうなるか分からないって思っているので、じゃあ行きたい、会いたい、見たいって思ったとき、行けるんだったら行こうかなっていうのはポリシーっていうか、常に思ってるかもしれないですね。
私もともとメモを取る癖があるんです、人のいい言葉とか、いい場所とか。でも色々な方、アーティストさんにインタビューをする中で、「メモを取るんだったらその前に行動しろ」っていうふうに言われたことがあって、「確かにそうだよな」って。結局、動かないと何も生まれないし、見に行かないと分からないし、って思うようになりましたね。
——蓄積としてのメモって大事かもしれないですけど、そのまま消えていっちゃうものもありますもんね。
そうなんです。メモもすごく大事で今も取るんですけど、メモを取るよりもやっぱりそうだよなって、行動……頭で考えたりとかっていうよりは、ちゃんと行動しないといけないんだなって、思ったりはします。
——それが刺激になったり、癒しになったりもしますもんね。
そうですね。で、やっぱり出かけた方が、自分が会ったことのない人がいて、こんな活動してるんだとか、やっぱり何かしらありますよね。
——最近特に印象的だったことって何ですか?
えぇ~! ごめんなさい、なんだろうなあ、最近印象的だったこと……どうしよう、ありますけど……まだ言えないですね(笑)。
——(笑)そういうこともいっぱいありますよね。
そうですね、まだオフィシャルになってないけど、こういう形で、こう展開が変わっていくんだ……みたいなのは、出かけるとあったりしますよね。何なんだそれはって話ですけど(笑)どうせ私のことなんで、食いしん坊関連のこと、食べるものとかそういうことなんですけど。
——(笑)そのうち明らかになりますかね?
そうですね(笑)。なんだろう、印象的なこと……ああ、最近印象的な出来事はそうですね、いわきじゃんがら念仏踊りを、磐城じゃんがら遊劇隊の皆さんに誘っていただいて、片平里菜ちゃんの『Redemption』の10周年のツアーファイナル※で一緒に踊らせていただいたっていうのも、磐城じゃんがら遊劇隊の皆さんとの出会いと片平里菜ちゃんとの出会いがあってお声掛けをいただいてっていう、自分の中ですごく大きな出来事だったので。こういうことではなくですか?(笑)ちょっと違いますよね……でも印象が強すぎて。あの日比谷の。
——(日比谷の)野音のステージに立ったってことですよね?
私はステージ下のところで踊らせていただいたんですけど。その日比谷でっていうのもすごく……じゃんがらの踊りって、魂の踊りじゃないですか。不思議で、本当ずっと踊ってたくなるんですよね。ずっとその音楽も聴いていたくなるし、鐘の音も聴いてたくなるし、もっと上手に踊りたいなって思うようになりました。
今まで、里菜ちゃんのライブとか、3.11のアサイラム(『ASYLUM in Fukushima』)で見せていただいたんですけど、観に行かなかったらそのじゃんがらの踊りをこんなに素晴らしいものだって思わせてもらえなかったと思うし、出会えなかったと思いますし。
——演る側と観る側でも全然違いますもんね。
そうですね。で、もっと練習もしてみたいなとかも思うので。
——ご自身的にも新しい経験でしたよね。
すごく新しい、そうですね。宝物みたいな経験でしたね。片平里菜ちゃんと磐城じゃんがら遊劇隊の皆さんに本当に感謝しています。
そのときが最良のときじゃないですか
——そのお話されてた回、レディグル※もちょうど聴いてて、すごいなって。
聞いてくださっていたんですね。ありがとうございます。本当に磐城じゃんがら遊劇隊の隊長の鈴木(崇弘)さんっていう方が……ラジオでも話したんですけど、じゃんがら念仏踊りって歌があるんですよね。伝統的なものなので、ずっと代々受け継がれているものなんですけど、そこにロックだったりとかポップスの歌詞を盛り込まれるんですよ。受け継ぐべき伝統を守りながら、新しいものを取り入れてるってすごいなって。多分どこかの段階で、きっと葛藤とかもあったと思うんですけど、そういうものを柔軟に、伝統的なものに取り入れて、現代のものに昇華させて。そうなると私たちもとても身近になるじゃないですか。だからすごいなって。
——アップデートというか。
この間は片平里菜ちゃんの『ロックバンドがやってきた』と、The Birthdayの『誰かが』が入ってたんですけど。ソウル・フラワー・ユニオンとBRAHMANの『満月の夕』が入るときもあれば、RADIO GROOVEのテーマソングの『Magic Hour』(つじむらゆみこ)を入れて以前歌ってくださったこともあって、すごいなって。素晴らしい方がたくさんいますよね、福島って。
——そうですね。そういう形でもいいから残していく、という選択肢はありだなって思いますね。
ねえ、素敵ですよね。伝統的なもの、その枠の中で絶対その通りに受け継いでいかなきゃいけないっていう考えも素晴らしいですけど、後世にずっと継承していくために、ちょっと柔軟に形を変えながら大切にしていくのって、そういうことって大事なんだなってすごく思いますよね。自分たちの仕事もそうですけど、考え方とかも常にアップデートして、柔軟に「とりあえずやってみよう」みたいな、取り入れてやっていけたらいいなって。
——そうですね。逆に今度、ご自身のお仕事の中で、アップデートされていることとか……。
できてない……! ない! ない! ない!(笑)何もできてない、新人の頃から……(笑)。
——(笑)いやいやいや。
何もできてないです。
——「アップ」かどうかはともかく……って言ったら変なんですけど……(笑)
(笑)気を遣っていただいて。
——かはともかく、姿勢だったり気持ちの面とかでも構わないんですけど、変化してきてるなっていう部分とかあったりしますか?
そうですねえ、なんだろう……(しばらく悩む)……いや~、ダメダメすぎるんで、常に成長しないな、変わらないなっていうことばっかりなんですよね。
——そんなもんなんですか。
そんなもんなんですよね。だから、そうですね……いや〜。変わってないことばっかりだなあ、ダメダメなところが。ずっと変わらないことは、毎回落ち込むことですね(笑)放送が終わったあと。
——ええ~、今もですか。
今も。「ああもう、今日ああすればよかったのに」「あれ言わなかった」「今日かけるのはあの曲だったのにな」とか。「あの喋りのあとはあの曲だったのに」とかっていうのが、新人のときからずっと今も変わらないかもしれないです。いつになったらできるようになるんでしょう。
——満足いく放送って、あんまりないですか。
あんまりないんですよね。本当にこの間もすごく落ち込みましたね。せっかくアーティストさんが来てくださって、その方がゲストならばそのとき話すべき話題があって、リスナーさんからもパスが来てたのに、どうして私はこれをそのときにそのアーティストさんに言わなかったんだろう、その話をしなかったんだろうって。この間って言っても1年前なんですけど、ずっと引きずってます(笑)そういうことが多いかもしれないですね。
——なんか意外です。
意外ですか。いやいや、相当なダメっぷりですよ。後輩見てるとみんなすごいなって思いますもん。それこそ矢野ちゃん(矢野真未アナウンサー)とか茉倫ちゃん(北村茉倫アナウンサー)とか、もうみんなにむしろ支えてもらってますよ。全部「やっときます!」みたいな感じで、「ありがとう~!」って感じですね~……先輩、後輩、仲間たちに助けてもらってやって来れています。どうにかしないとです。
——いやいやいや。
本当に。だからまた次(そのアーティストに)来てもらって、同じようにインタビューさせてもらったときには、絶対にちゃんとこれを言うんだって思ってたりするんですけど、でもなかなか次って……「次がある」って思ってもちろんやるんですけど、やっぱりそのときが最良のときじゃないですか。だからそこでちゃんと自分なりのインタビューをしたりとか、お話をできるようになりたいなって思ってます。ってね、長い間仕事をしてる私が言うことではないんですけど、でも常にそう思ってますね。反省だらけですね。
一対一のメディアだから届けられるものもたくさんある
——そしたら、ちょっと音楽関係の質問もさせていただけたらと。音楽イベントとかもたくさん足を運ばれてると思うんですが……もしかしたらお話重複しちゃう部分もあるかもなんですが、県内の音楽シーンってどんなところが魅力だと思いますか?
みんなすごい熱量だと思うんですよね。
まずライブハウスのそれぞれの店長さんが、みなさん熱いじゃないですか。
——そうですね。
ですよね。で、そこに集まるミュージシャンの方たちも、みんな切磋琢磨しながら、繋がりが深いなって思っていて。だからこそできることとかも多いのかなって思っているので、多分全国的にみてもすごく熱量高いんじゃないかなって、そこって素晴らしいなっていつも思ってるんですけど。
ながいせんせはどんなふうに思いますか?
——でもそれは感じます。ライブハウスのそれぞれの店長さんが思いが強いのももちろんだし、ここが(ライブハウス同士が)繋がって力を合わせたりすることもあるじゃないですか。それって意外と、どこの県でも見られることじゃないかもしれないなっては、思いますね。
そうですよね。だってそれこそライブハウスもそうですし、昨年「音開き」で(zanpanが)出てた猪苗代屋外音楽堂も、アウトライン(福島OutLine)の阿部(綾子)さんがいて、ソニックの三ヶ田さんがいて、猪苗代野外音楽堂の土田(智之)さんとか遠藤(和輝)さんもいて。それぞれ自分のハコがあって、またそういう「もう一つの場所」を一緒に作ってるって、なんかすごいですよね。
——野音もそうですけど、自分以外のライブハウスもみんなお好きなんでしょうね。
ねえ、そうですよね。この間もシャープナイン(郡山CLUB#9・ひとりぼっち秀吉BAND解散ライブ)に阿部さんがいらっしゃってて、打ち上げはPEAK ACTION! そういうことがたくさんあるじゃないですか。その姿を見ているとすごくパワーをもらうし、もっとそれぞれのライブハウスに行って、いろんなアーティストさんのライブも観て、ラジオで伝えたいなって思います。
——音楽とラジオってけっこう切っても切り離せない部分もあると思うんですが、普段放送されててそれを強く感じるときってありますか?
子供の頃もそうだし、大人になってからも、ラジオで音楽を知るっていう感じだったんですよね。新曲もそうだし、出会ったことのないアーティストさんも。今そういう時代ではもちろんないんですけど、サブスクもあって。でも何かしらきっかけになってほしいな、みたいな思いは常に持ちながら曲もかけていて。
たまに、あんまりラジオでは流れないんだけれどもポンってかけて。どうしてこの曲をかけるかっていうのを説明して、かけた後に「初めて聞いたんだけれどもそれ以降ずっと聞いてます」とかっていうメッセージが来ると「やったー!」って思ってます。
たくさんの人じゃなくても、誰か一人でもそういうふうに思ってもらえたらと思ってかけてるので、すごく嬉しいなって思います。そういう曲を随所に入れていきたいなっていうのは、常に思ってます。
——ラジオきっかけで知るって、やっぱありますもんね。自分でもありました。
ね。本当、私が子供の頃とは全然違って、今はいろんなデバイスがあるから、メディアもあるから、その中でラジオをいかに聴いてもらえるかって思ったりもするんですけど。その思いは常に持ち続けて、音楽届けたいなっていうふうに思ってます。
——これからもラジオのお仕事を続けていかれるとは思うんですけど……今はっきりとは言えないかもしれないですけど、「時代じゃないかもしれない、今ラジオっていうメディアが」っていう中で、これからどんなふうにラジオを届けていきたいとか、ラジオっていうメディアとどう向き合っていきたいかって、伺えますか?
ねえ〜。いやもう、それ常に本当に考えていて。
だってどんどんラジオを聴く人って減ってるじゃないですか。あとポッドキャストとか。私たちも次の展開も考えながら、ラジオの放送だけじゃなくもう一つの場所っていうのも、やっぱり考えていかないといけない状況ではあるんですけど。
でもやっぱりラジオだから伝わることとか、生放送で、このふくしまFMの電波だから繋がることがあるっていうのは……忘れたくないというか、あるって信じて放送はしてるんですけど。以前それこそ箭内(道彦)さんが「一周回ってまたラジオがすごく聞かれるときが来る」っていう話を2~3年前にされていて、「そうだよな」って思いながら放送はしてるんですけど。
——『FUKU-SPACE』出させてもらっていたときに、友達が「仕事の移動中にラジオで慎ちゃんの声聞いたよ!」って連絡をくれたことがあって。多分「ラジオが大好きで、夢中で」っていう人は少ないかもしれないけど、生活にめちゃくちゃ染み付いてる人は絶対多いだろうなって、それこそカーラジオとかがそうだなって思いました。
確かにゲストに出ていただいた方、農家さんとかも「この間取材してもらったやつにすごく連絡来たんだよね」とかって言われるとものすごく嬉しくって。連絡をしてないのにいろんな人が聞いてくれてるって聞くと、やっぱりちゃんとまだまだたくさんの人に届いてるんだなっていうのをすごく実感して、もっともっと広がるようにしていきたいなって思います。
——そうなるといいですね。
永井さんの今の話もすごく嬉しいです。『FUKU-SPACE』聴いてて。
——たまたまだと思うんですけどね。たまたま届くこと自体がすごいなって。
そうですよね。本当に不意に聞いてくださってるっていう、一瞬の出会いでハッとなるって、いいですね。
——ラジオならでは、みたいな感じがしますね。
ならではかもしれないですね。
やっぱりラジオも本当、一対一のメディアだから届けられるものもたくさんあると思うので、そこの信念みたいなものは失わずに、ラジオの番組を一生懸命届けたいって思ってます。
一つ一つ大切に、心を込めてやって、繋がっていったらいいな
——それとまたちょっと重なってしまうかもしれないんですけど、今メディアとしての話を伺ったんですが、逆にご自身としてこれからの在り方、どうやっていきたいとか、こんなふうになりたい、こんなことがやりたいとか。
そうですね……やりたいことはすごくたくさんあるんですけど、今やってる番組、『RADIO GROOVE』も『MUSIC GROOVE』も『あぐり家の食卓』も、もっともっとちゃんと届くように育てていきたいっていうのは常にあるんですけど。なんだろう……絶対訊かれると思ってたんですよ(笑)絶対訊かれるよなって思ってたんですけど、今後ですよね……。
そこのロビーあるじゃないですか(ふくしまFM本社1階 第1スタジオ前)。あそこにリスナーさんを招待して、公開生放送とか公開録音っていうのを、コロナ前まではやっていたんです。もうずっとできていなくて、近々ではそれを再開させたいっていうのがあります。でも自分自身がどうなりたいかですよね?(笑)どんと構えられるようになりたいっていうのはあるんですけど。ずっと緊張してるんで、イベントの前とか。
——それもまた意外です。
意外ですか。それって変わらないんですって。多分ここまで来て、毎回ずっとそうなんだったら、もう仕方がないということらしいんですよ。でもどーんと構えられるようになりたいなって。毎回、特番の収録とかのときもビクビクビクビクしてますし、自分で企画したものとかだったらもう眠れないし(笑)「どうしようどうしよう」とかなっちゃうんで。
——「良い緊張」だったらいいですけどね。
良くない緊張なんですよね(笑)そうですね、っていうふうには思ってますけど、そんなまとめじゃダメですよね。もっと三ヶ田さんとかいいこと言ってた、Juni.ちゃんとか、しかちゃんとかもみんないいこと言ってた。
——いっぱい読んでくださってありがとうございます。
みんないいこと言ってた感じがします。
——お察しの通り、締めにかかってはいるんですけど……(笑)。
(笑)締めにかかってるんですよね……そうだ、でもあの話するの忘れちゃってた。
転機というか、自分のこのアナウンサー人生の中で……第69回全国植樹祭っていう、国のイベントの司会をさせていただいたんですよ、南相馬で 2018年に。天皇皇后両陛下がいらしてっていう司会で、リハーサルが3ヶ月ぐらいあって、毎週末南相馬に行くっていう、生放送終わった後。高校生の司会の子も2人いて、私が総合司会っていう形でさせていただいて。震災ですごく被害を受けた地域に植樹をして、また森を作るっていう、全国植樹祭って毎年どこかの県で行われてるんですけど。福島県には48年ぶりで回ってきたっていう、のをさせていただいたのも……そうだ、その話すればよかったですね、するの忘れちゃったな。
——48年に1回のチャンスというか、機会ってことですもんね。
そういうところに出させていただいたのも、ありがたかったなあっていうふうに。ポイントポイントでね、いろんな経験をさせていただいて今に繋がっているので。
私、局の社員なので、会社から「これの司会」とか「この番組」とか、仕事をいわゆる「与えられて」いるんですけど。それを一つ一つ大切に、心を込めてやって、繋がっていったらいいなと思っています。
——与えられるものだからこそ、自分で選んで得た仕事ではないからこそ、思わぬ出会いとか刺激だったりもありますよね。
そうですよね。だからその出会わせてくれる人たちに本当に感謝ですね。今日もこんなふうにインタビューしてくださってありがとうございました。全然いい話できなかった〜〜!(笑)みんなね、いい話なされてますよね。
——いやいやいや……今日もいいお話いっぱい聞けて……(訥々と言う)。
思ってない!(笑)ふふふ。
——いやいやいやいや!(笑)
(笑)ほんとごめんなさい。大丈夫ですか? もう締めたんですか?
——締めちゃったんですけどいいですか?(笑)
(笑)よかったです、ありがとうございました。
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