【後編】ローカル文化の魅力を信じ続ける、ふっしーの行く先とは?
活動の幅が急激に広がったから、すごい緊張してた
——加入した時って、全然東京とかももうすでに行ってた時だったと思うから、割とすぐ遠征とかだったと思うけど。
うん。それこそまだサポートとして『歩幅/コーヒーに慣れて』のレコーディング、プラス東京でライブだった時があって、その時まだサポートだったから。その帰りの車の中でじゅんじゅわに言われたんだよね、「zanpan正式で叩かない?」と。
活動の幅が急激に広がったから、すごい緊張してた。レコーディングとかもしたことなかったから。
——あ、それが初めてだ。
それが初めて。今思うとなかなかね……(笑)今回出した『zanpan』、フルアルバムの音源と、『歩幅』の音源と聞くとね、多分だいぶガッチガチのドラム叩いてた(笑)全然まだ慣れてない感じが。いやでも、なんかこれが……「これがバンド活動ってやつか」って。
——zanpanに入ってから、まあ月並みだけど印象的な思い出とか、あげろって言われたら?
そうだなあ、でも一つはLEMON SOUR TOURのファイナル。あとこないだやったワンマン。あとは成人式かなあ。
——確かにね。未だにあれよりでかいライブしてないからね(笑)。
(笑)あの規模でライブできたの、結構すごいなって思うんだよね。
——LEMON SOUR TOURも、スパンとか移動距離でいったら一番こう、ツアーっぽさがあったというか。
そうだよね。京都・奈良・大阪行ったし、北の方だと盛岡まで行ったよね。やっぱ今回俺ら一応フルアルバムだったから、今回もできれば回りたかったなとも思ってた。もっといろんなところ、いろんなライブハウスに行きたいよね。
——まあでも、ツアーとして自発的にいっぱい日程作っていくってのはあったけど、今回みたいにこう「(アルバム)作りました」って言って、あちらから「じゃあ来てください」って言ってもらえる展開は、結構新しい喜びだったかもしれない。
そうだね。今回の動き方は動き方で、すごいいいなって思ったけど。でも日数が多かれ少なかれ、ツアーはちょっとやりたかったね。
——逆にこう「きついなー」みたいな……まあでもパッと浮かぶほど辛いことはなかったか。「メンバー減ってどうしよう」みたいなのはあったけど。
レイガンさん(ツバサ・レイガン/zanpan元Gt.)もさ、俺が入って1年ぐらい経った頃だよね。シャープナインでさ、アコースティックライブやったじゃん。めちゃめちゃ土砂降りになった日。ヨコヤマさん(TAKAHIKO)がたまに話してくれるんだけど、あの日ヨコヤマさんお客さんで来てくれたけど、「あの日は忘れもしないよ」って。でも、うん。辛いことはそんななかったかな。
若い子たちに、もっとライブハウスに来てほしいな
——バンドに入ってから、ピークの中での人との関わり合いとかも変化あった?
そうだね。でもまずジョンさんがさ、オープンした時は『レモンサワー』1曲目に(ホールBGM)かけてくれるし。結構zanpanのBGMもかけてくれるから、それを聞いて「このバンド誰ですか?」みたいなこともあったし。結構、地元の人はもちろんだけど、県外のバンドやってる人とかバンド好きなお客さんとか、たまに「zanpanのふっしーさんですよね?」みたいな(声掛けてもらえる)。zanpan入って、より自分をこう、見てもらえる、受け入れてもらえることが増えたかな。明らかに増えたね。
——それこそね、ふっしー経由で決まっていくライブとか、ふっしー経由で入ってくれるお客さんとかもいっぱいいるしね。
やっぱ見てもらいたいよね。俺ら、これだけ頑張ってますよ、やってますよっていう。今回のワンマンもさ、50人の人が遊びに来てくれたけど、ソールドではなかったじゃん。やっぱりハコの人間でもあるし、zanpanのドラムでもあるから、結構パンパンにソールドしたかったなっていう思いは強かったなと思う。
——確かにね。そう、せっかくだからちょっとこう、ハコ側の人としての話も聞いておきたいんだけど。ふっしーが入ってからの歴史に、どうしてもなると思うけど、ここの風景とか、鳴ってる音楽とかで、ここ7年ぐらいどういう風に変化してきたように見えてるか。
鳴ってる音楽自体の変化は多分、コロナ前とかと比べると変化っていう変化はないんじゃないかな。ハードコアのイベントとか、モジュラーだったり、コロナ禍の時でもあったし。
鳴ってる音の変化はなかったけど、やっぱりコロナ禍挟んで、明らかに人は減ったよね。特にやっぱり俺らよりも下の世代の子たちとか、郡山はすごい減ったなって思う。2018年とか19年とか、高校生バンドとかめちゃめちゃいたじゃん。
あ、でも今やっとね、大学生が結構頻繁にライブやってて、それはすごい良いことだなって思う。結構オリジナルバンドやってる大学生いて、すごいいいなって思うんだけど。
——おお〜。それは日大?
日大とか、福大の子たちも。なんかもっと若い子たちが……俺も若いけど、20代前半の若い子たちに、もっとライブハウスに来てほしいなって思うけどね。
——そうね、それだけでだいぶ変わるよね。
うん。郡山で言ったらね、俺らだってまだ全然若手の方だし。他の県とか結構、層広いじゃん。って俺は思うんだけど。
——若い子たちが、もしかしたらこの場所自体を知らないっていうのはあるかもしれない。
あ〜そもそも。そうかもね。
——行けるもんなら行きたいと思ってるかもしれない。
うんうん。でも入ってから今までで、やっぱりここで仲良くなった人たち、それこそよくピークに来てくれる人だったりとか、ライブする人だったりとか、仲良くなった人たちは不思議とコロナ禍が終わってもずっと(変わらずいてくれるし)、なんなら俺がピーク入る前からの付き合いの人たちばっかりだから、そういう人たち強いなって思う。
——そういう人たちが守ってくれてる部分ってのは絶対あるよね。
そうだね。あとやっぱりジョンさんだよ。
——それは違えねえね。
ジョンさんはすげえ、マジで。
ここでできた繋がりを無駄にはしたくないから
——ここまでで触れた部分、重複する部分もあると思うんだけど、今は結構前よりいろんなバンドのサポートしたりもしてるじゃない。やっぱ数は増えた?
数は増えた、すごい増えた。
——声がかかること自体が多くなったのか、それともそういうのに対応できる自分のキャパが増えたからっていう感じ?
ああ……まあ受け口というか、声かけられることが増えたかな。キャパはどうだろう、でも広がったっちゃ広がったかな。
——あ、それ(オファーが増えたこと)を受けて。
うんうん。結構独自で、「その曲に対してこんなドラム合うんじゃないかな」みたいに考えてやってたから。前よりは増えたね、レパートリーっていうか。カホンの方もちょっと、前よりはマシになったっていうか、叩けるようになったし。
——俺、ひとのバンドでベース弾いたことないからさ、ほぼほぼ。そういう部分はちょっと羨ましさもあったりする。
ほんと。もちろん大変だけど、楽しいよ。
——それまでやったことないこともできるだろうしね。あとはやっぱアパレルですよね。そんなにめちゃくちゃ動いてるってわけじゃないと思うけど。
TripDaysのさとうしょうくんが誘ってくれて。俺も服好きだし、興味はあったから、趣味みたいな感じでペースもそこまでカツカツにしないで、「ゆっくりやりましょう」って始めたから。
——おもろいなと、それを初めて聞いたときは結構びっくりした記憶が。だし、さっきの話じゃないけど、それがライブハウスにまだ来たことない人に繋ぐものになるかもしれないし。
ああ、そうだね。見つけてほしい。
——あと、コーヒーの勉強していくっていうのは、これはオープンな話?
まあ、オープンな感じかな。ゆくゆくは、伏見珈琲店を継ぎたいので。
来年度、2024年の4月から。もちろんピークにはいるけど、午前中から夕方くらいまでの時間帯で、伏見珈琲店の方で修行というか、お手伝い? していこうって考えてて。
自分がやりたいことをしながらバンド活動をしている人もいるわけじゃん。そういうスタイルが結構好きで、めちゃめちゃかっこいいなって。自分もそうなれたらなあ、みたいな感じかな。
——喫茶店やってるバンドマンってなかなかいないだろうしね。
うん。あ、でもJr.alcoholのけーきさん、ハンバーガー屋さんやりながら。
——あいつも器用な男だよね。
すごいかっこいいなーって思うんだよね。その街のローカルな文化を作って、なおかつライブハウスのローカルな部分もこう、やってるみたいな。その姿勢がすごいやっぱかっこいいよね。自分もそうなれたらいいなって本当に思うんだけどね。
——うんうん。あとはじゃあ音楽的な部分、バンド活動の部分についてはどうでしょう?
自分がzanpan入りたての時は頻繁に東京に行ったりもして、結構まあ、売れる……なんて言ったらいいんだろう、まあ、売れることを結構前面に考えてたと思うけど。今の活動はどっちかというと、地元でやっていくっていうか、ローカルバンド(のムーブになってきている)。でも逆にそっちの方が俺は好きだから。
今後ももちろんバンドは続けていきたいし……年一でワンマンライブやりたいなって思う。
——そうよね〜。
やっぱワンマンライブってもちろんお客さんは楽しみにしてくれるけど、俺らにとってもzanpanの今の状況を把握できるというか。
——この間それはめちゃくちゃ感じたよね。
うんうん、そうだね。まあでも福島県に残ってバンドはやっていきたいな。20代はずっとライブハウスにしかいなかったし、音楽は続けていたいな。
——続けながら、コーヒーの勉強だったりとか、自分の幅も増やしていくような生き方になるのかな。
そうだね。ここでできた繋がりを無駄にはしたくないから。いろいろな可能性があるからね。
——これからまた新しい何かが見つかっていくかもしれないし。
うんうん。
バンドを作ってるのは、やっぱり人間性なんだなって思う
俺、結構自分の感情というか、今何を思ってるのかを他人に伝えるとか、自分の口から出すみたいな行動というか、そういうのが苦手な方で。今回のこのインタビュー、逆に「自分ってこう思ってたんだな」みたいな、すごいいい機会になった。
知り合い始めてから今、俺変わったと思う?
——うーーーーーん。いや、でもある面では変わったと思うよ。当時からあったのかも分かんないけど、サポート然としてたところから、「メンバーになった感じ」はすごいするかな。自分ごとというか。自分のバンドだし、自分のドラムだし……ってのが、ここ数年かな、特に感じるかな。
ONA FES出たくらいから……多分そこら辺でちょっと意識というか、変わったんだよね、多分。もっと自分らしさ出していいのかな、みたいな。
——「ONA FESに出たこと」がきっかけ?
あー、まあ出たこと、出たことだね。あと、その場で見たこと。
やっぱ見に来てくれるお客さんって、もちろんそのバンドの曲を聴きたいっていうのもあると思うけど、その人たちに会いに行きたいみたいな部分も絶対あると思うんだよね。それこそこのピークアクションでスタッフやりながら、いろんなバンドを見てきて、めちゃめちゃかっこいいバンドとかすげえバンドがいっぱいいて、思い返してみるとそのバンドの人たちの人間性がすごいいい人ばっかだなって思って。
結果そのバンドを作ってるのは、やっぱり人間性なんだなって思う、そのメンバーの。そう、なんかもっといいバンドになりたいって思う。
——そうね。……そんなところかな!
うわこれやばいな、これ記事になって見るの怖いな(笑)。
——うまくやるよ、その辺は……2年やってきてんすから……(笑)。
(笑)確かに確かに。
——そんな感じで、あざした!
ありがとうございました。
記事に頂いたサポートは、全額をその記事の語り手の方へお渡しさせて頂きます。