公共側(担当者)から見たPPP/PFIのデメリット②目立つ
「目立つ」と何がよくないか
前回の「怖い」から続くデメリットです。
コンサルとか国は無責任にPPP/PFIを推してきます。庁内の企画部門もなんだか聞こえのいいことを言って所管部署に押し付けてきたりするんです。国も自治体の担当者の志の低さを知って、優先的検討規定をつくるんやとPPP/PFIを押し付けてきます。
逃げ場を失ったあなたは人事のめぐりあわせもあり、PPP/PFIでなんかをやることになりました。
PPP/PFIはキラキラしてて素敵な事業がいっぱいあるんだよ、ということはご担当者のあなたの耳にも入ってくるはずです。コンサルがイケてる事業を発信するよう国からお金をもらって全力で意識の高い講習会を開いているからです。PFIは目立ちます。
はい。そうすると困ることが出てきますね。議会で質問されるんです。PPP/PFIなんてキラキラしてるくらいしかしらねーよっていう。
ただでさえ箱モノは地元への成果報告のために必死になってる先生方の関心をひきます。皆さん、「キミ、自分の質問していることの意味わかってるんか。」と言いたくなるような議員からの質問を受け止めた経験はあると思います。
議員はPFIのことなんてわからんのに、いっちょかみして頑張ってますアピールをしなければならない(と思ってる)。質問者がじじいだとPFIが何の略かもわからないんじゃないか。
そして、その思いが乗った不思議な介護的質問を受け止めるのは役所の担当者の皆さんです。
不思議な質問への対応は地獄になりかねない
ところで、この文章はもっぱらPPP/PFI事業の経験がない自治体において初めてPFIに取り組む自治体職員の方を想定して書いてます。
初めて取り組むきっかけは何でしたか?首長が「やれや」と決めたからでしょうか。その場合はまだいいんです。最終的に首長の判断をバックに議会で開き直れるから。
一番きついのは、なんか企画部門にやれって言われてふんわり事業が始まった場合です。
そうすると、何が起こるかというと、「首長を納得させる資料とロジックを作らないといけないし、議員からの不思議な質問に角がないように答えなければならない。」というクソミッションが発生します。
はい。もうここまで来たら皆さんは腹をくくるしかありません。「ワイがしっかり答弁という名の介護をするんや。」
泣きつくのがソリューションである。①国
クソな話ばかりしていますが、この介護に対応するためのソリューションは一応あります。
基本は説明できるようになるしかありませんが、ソリューションはおおむね正しい泣きつき方を見つけて賢くなることです。
ソリューションの一つ目が国に頼ること。
内閣府だか国交省の方がPPP/PFIを広めるために「自治体の人、まじでわからんかったら直接聞いてくれ、頼む」とホットラインをつくってます。
泣きついた方がいいです。国交省の人と話したことありますけど、ほんとに泣きついてほしそうでした。
みなさん、全力で泣きつきましょう。ぶっちゃけ国の人はほとんどの自治体がまともに仕事できると思ってません。舐めてます。だから泣きついてくれなきゃ困るくらいのこと思ってます。
あと、国は人員足らなさ過ぎて市町村からも人を受け入れてます。そういう人たちは皆さんの気持ちを分かったうえで相談に乗ってくれます。
泣きつくのがソリューションである。②コンサル
二つ目はコンサルの勉強会です。コンサルでも役所の担当者の目線がわかる人間が作ったパワポを見せてくれるところがあります。
はい。そうした優しいコンサルの見分け方です。
PFIを「民間資金の~」から説明しないパワポをつくる人たちは結構気持ちがわかる人たち多いのではないかなと思ってます。PFIって定義的にはそうなんだけど、ここから説明しだすと役所の人はまず混乱してわからんくなる。
PFIのわからなさ・混乱の源泉は、特別な発注手続きが法定で決まってること
と、性能発注・包括発注(SPCってなんやねん)・長期契約、あとプロポの審査です。
みなさん、仕様発注・分割発注・単年度契約でやってますよね。契約手続きは競争入札で契約担当部署に任せるんやと。僕もそうでした。担当者からすると事業者が契約して業務やるために銀行から金借りてるとか知らんしどうでもいい。
そのどうでもいいところに思いを張り巡らして、さらにわからんことをわかるようにならなければならない、というのをいの一番に持ってこられるとよくわからんくなっちゃうと思うんですよ。
おわりに
泣きつける先をかぎ分けて何とかしのいでいきましょう
②のアイデアはパシフィック・コンサルタンツさんが「民間資金の~」を省いて作ったパワポをみてうまいことやるな、と思って書いてます。私はパシコンの回し者ではないです。
それから、今はPPP/PFI特需でゴミみたいなコンサルが社内で「勉強!チャレンジだ!!」とかいう社長の掛け声をバックに応札して雑な助言をやっている例が多々見受けられます。
事業者はそんなコンサルと喧嘩してもしょうがないのでアルカイックスマイルでサウンディングに応じます。
そういう雑なコンサルのしりぬぐいは最後に担当者がすることになるんで、お金を払って大手のコンサル・シンクタンクに調査業務をぶん投げることをお勧めします。
画像はAIが生成した「よくわからん仕事を企画部門から振られた上に、自分が何を聞いているのか分からない地方議員に詰問されてうろたえる日本の地方公務員」です。
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