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M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO がやってきた (1)

2023年2月24日  

OMデジタルソリューションズ(OMDS)は、マイクロフォーサーズ規格の新しいマクロレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO」 の販売を開始しました。その名が示す通り焦点距離90mm(35mm換算180mm)の望遠マクロレンズです。

このレンズの開発が正式発表されたのは2022年9月のことですから、その後の5か月間は、待っている人にとってはとても長い時間だったコトでしょう。さらに言うと、OMDS の前身であるオリンパスの映像事業部門が「新しいマクロレンズの開発」を匂わせたのは2020年7月のことでした。同月に発表されたロードマップを見ると、中央あたりに「Macro Lens」の文字が刻まれていることがわかります。

2020年7月2日にオリンパスが公開したレンズロードマップ。
画像の中央付近、M.ZUIKO PRO 欄の最下段に「Macro Lens」の文字がある。

なので、その登場を心待ちにしていた数多く人々は、デラーズ・フリートのアナベル・ガトーよろしく、口をそろえて

  我々は3年待ったのだ!

と言ったとか言わなかったとか……。

閑話休題だっせんしちゃいました

ここで「マクロレンズ」とは何ぞや、について簡単に解説させていただきますと、ひと言でいえば「小さな被写体を大きく写せるレンズ」のことです。もちろん、表記された焦点距離をもった通常のレンズとしても使えます。
では、いったいどのくらい大きく写せるんじゃいと問われると  画面いっぱいに写った10円玉の画像を想像していただくと理解わかりやすいでしょうか。

フルサイズのセンサーをもつカメラによる「等倍マクロ」
Canon EOS R6 + Canon EF100mm F2.8L MACRO IS USM
1/250 F5 ISO-400

10円玉の直径は 23.5mm、対してフルサイズカメラのセンサーは 36mm x 24mm です。ですので、フルサイズのカメラを使ったときに10円玉を画面いっぱいに写せる性能  言いかえると、被写体におけるセンサーサイズと同寸の範囲を画面いっぱいの大きさで切りとることができる性能を「等倍マクロ」と言い、等倍マクロが可能なレンズを総称して「マクロレンズ」と言っています。自社の信念に基づいてニコンだけは「マイクロレンズ」と呼んでいますが、両者に文字数以上の違いはありません。

同じレンズをマイクロフォーサーズ規格のカメラに取りつけたときは、センサーサイズが 17.3mm x 13mm しかありませんので、10円玉は縦方向には約半分の範囲しか入らない計算になります。

マイクロフォーサーズのセンサーをもつカメラによる「等倍マクロ」
OM SYSTEM OM-1 + Canon EF100mm F2.8L MACRO IS USM
1/250 F5 ISO-400

画像を同じサイズにそろえると被写体が倍の大きさに拡大されることから「35mm換算2倍マクロ」なんてな言い方をすることもありますが、センサーサイズを基準にすれば、こちらもまごうことなく「等倍マクロ」です。最短撮影距離がどうたらとか最大撮影倍率がなんたらとかいうお話は面倒……オホン、難しくなるのでここでは割愛します。

さて、今回 OMDS から発売された M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO は、この等倍マクロをはるかにしのぐ「2倍マクロ」の性能を持っています。35mm換算でいえば「4倍マクロ」です。さらにオリンパスから発売されている「MC-20」というテレコンバーターをくっつけると「4倍マクロ」(35mm換算で「8倍マクロ」)になります。ここまでくるともはや顕微鏡の世界です。マクロレンズ好きの私としては心穏やかにはいられません。

もっともワタクシめは「LAOWA 100mm F2.8 2x Ultra Macro APO」という同じく2倍マクロの性能をもつレンズをすでに持っていますので、この新レンズを実際に購入するかどうかは微妙でした。

OM SYSTEM OM-1 + LAOWA 100mm F2.8 2x Ultra Macro APO

だって、同じ性能を持つレンズなら2本もいらないと考えるのは至極まっとうなコトでしょう?
やがて発表された「税込231,000円」という価格を見たときには、ベクトルは買わない方向に大きく舵を切っていました。いくらマクロレンズ大好き人間の私でも、20万円超えのレンズなんてとてもじゃないけど買えませんもの。

ところが、です。ところが、なのです。

何日かたって、いつも利用しているカメラ店のサイトを何の気なしに覗いてみると、そこにあった数字は「税込166,320円」。目をこらしてもう一度見てみても「税込166,320円」。

思わず「やすっ!」という声が出ていました。

これが世にいうアンカリング効果です。

【アンカリング効果】Anchoring Effect

最初に目にした情報に心理的なアンカーを下ろしてしまい、「そこからどれくらい離れているのか」という点を重視して歪んだ判断をしてしまう認知バイアスのこと。

つまり、最初に「税込231,000円」という数値を見ていたがために、「税込166,320円」を「安い」と感じてしまったのです。「税込166,320円」という数値だけを冷静に見つめれば、それがどちゃくそ高いレンズであることには変わりがないにもかかわらず……。

かくして2月24日の発売当日。わが家に M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO がやってきます。もはや頭のネジが数本ぶっ飛んでいるとしか思えません。えへへ。(えへへ、じゃない!)

2月14日に OMDS が発表したアナウンスによると「大変多くのお客さまにご予約をいただいておりますため、一部のお客さまには発売後、製品のお届けまでお時間をいただく場合」があるそうなので、発売日に到着したことはある意味ラッキーと言わざるをえません。
OMDS のオンラインショップでは事実、2月24日現在で「3ヶ月待ち」になっていますから、なんて幸運なことでしょう。あの日そそくさとポチっておいてよかったわよん。(だから買わないんじゃなかったんかい!)


ではさっそく箱を開けてみましょう。
外箱はいままでのレンズに比べて簡素になっています。これも、SDGs 時代のサスティナブル梱包のひとつなのでしょうか。個人的には全然アリだと思います。

自然色豊かな外箱に手をのばす私。心はウキウキ、気分はワクワク。

うひひ、うひひひひ……ぐへへへへ……


to be continuedおはなしはつづきます……(ここで終わるんかい)

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