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小劇場の文学 前編

物好きな友人がある写真を送りつけてきました。

多分、熱海かどこかの寂れた温泉地
(後からの情報によると大阪西成でした)

まぁその一角に佇む昭和感漂うピンク映画館。
いわゆる日活浪漫ポルノのような、
古き良き昭和の生ける遺物である。

映画館の看板は、あぁそういえば昔そうだったなぁと思わせるペンキで描かれた絵看板。 

例えば今年43歳の私の記憶にあるのはドラゴンボールやドラエモンなどのキャラクターが手描きで描かれてたなぁ、と。

あぁ、あと全然似てないジャッキーチェンとかね! 酔拳2!

話を戻しまして、
その絵看板にあるのは肌を露出した女性が自らの指を咥え、こちらを誘うように艶やかな視線をこちらに投げかけている。

またその絵の独特のタッチにはなんとも味わい深いものがあるものだ。
何か引き込まれるような妖艶さ。
なんというか、「おじいちゃんが描いた絵感」に感じる温もりも感じる。

いや、そんなことはどうでも良い。

私が真に着目したのはその横にある上映タイトルの文言である。
同じくペンキで書かれたその手書きの文字列、
その内容がまたなんとも味わい深いのである。

上映タイトルは3本

「痴漢と覗き すけべな占い師」

「淫乱旅行 美乳姉妹 イキ」

「揺れる電車の中で 女子大生は診察台の上で」

以上となっている。

ここに文学を感じた私は各タイトルの意味を深掘りし考察していきたいと思う。

百聞は一見にしかず、
是非本編を鑑賞してから書き上げたいものだが、
それはただの感想文だ。 
中身が明らかになってないからこそ考察できるというものではないか。

そして執筆していて思いのほか文字数が多くなってしまったので
前編、中編、後編と三編にわたってこの文章を書こうと思う。

ではまず一本目 前編

「痴漢と覗き すけべな占い師」

ほう、、占い師ときたか。
なかなかに香ばしい所を題材に選んだものだ。
その構図とは。

まず諸殿方のターゲットになるのは「すけべな占い師」であるのか。

それは「すけべな男性占い師」が女性を恥ずかしめる側に立つのか、
それとも「すけべな女性占い師」が痴漢をされ、さらに各々その状況を覗かれるのか

う〜ん、例えばすけべな女性占い師がただ痴漢をされれるという受動的な行動にでるだろうか?不自然ではないか?

だってその女性はすけべなのだ。
すけべな奴が痴漢される意味はあるのか?
その女性占い師の持つ「すけべな」という特性が全く生かされていない。

すけべな女性なら痴女的に振る舞い、逆に占い客を誘惑するほうがまだ自然だ。

仮にもし誰かに痴漢をされていて、占い小屋とかで? 

それをまた覗く覗かれるというシチュエーションもどうかと思う。
そそられるか?

「すけべな女性占い師」ならば己のすけべさで相手を蹂躙すべきだ。 
すけべなのにされるがままは違和感しかない。
女王様が奴隷に縛られて鞭を打たれるようなものだ。
役割りってものがあるだろう。

「痴漢と痴女は相反する存在」

わざわざ鉤括弧を使ってまで言うことではないのですがね。

やはり「女性占い師」の線は考えにくいだろう。

ここで、「覗く」という行為をしている人物がいることに着目しよう。
「女性占い師」の線は消えた。残るはやはり「男性占い師」であろう。

そしてその登場人物とは他に覗きをしている「覗き魔」がいるのだ。
無論「すけべな」属性を兼ね備えている。

実際、見てはいけないものを隠れてみる、その背徳感は何かしらの興奮を誘う。
観客に「覗き魔」という登場人物へ感情移入させるさせるところが巧妙な手口である。臨場感というべきものか。

そう、今まさに作品を鑑賞している紳士たちの目線にその「覗き魔」の視界を魅せているわけだ。

ただすけべなシーンを傍観して興奮を覚えるのみに飽き足らず、
さらに「覗き」というシュチュエーションを加えることにより、
背徳感とラッキースケベの要素を重てくるとは。 
監督の狙いに脱帽する。 

ゆえに、「すけべな男性占い師」
であろうが、「すけべな女性占い師」
であろうが「覗き魔」の視界を通してその世界を覗かせるコンセプトであることは明らかではないか。 いやそうであってほしい。
「覗き魔」が主役だ!
いや「すけべな覗き魔」が主人公だ!

そう考えると、
やはり「すけべな男性占い師」が
自らのテリトリーで女性にいかがわしい行為をする。
そしてそれを覗き見る人物(主人公)がいる。 
観客も主人公と一体となって興奮を覚える。

この構図が一番しっくりくるのではないかと結論づけられる。

ん?痴漢、、、?まぁ痴漢行為でいいのか。
昭和の感性で言えばそうか、まぁそうか。
占い行為から痴漢行為に持っていくまでのシフトも気になるところだがそれはまた次に考察しよう。

覗き、、、誰が覗いている? 占い師の弟子あたりが妥当か、、、

「すけべな占い師のすけべな弟子」

彼もまた将来立派な「すけべな占い師」になる時が来るだろう。
そしてすけべ占い小屋でまた…

………

いやまてよ!?

占い師の弟子が女性だったらば?!

師匠が占い小屋で女性に痴漢行為をする、それを影から覗き見してるその弟子も欲情し、その行為を盗み見ながら陰部に手を伸ばす…!

あわよくば、そこにいるのは誰だ!

なんてバレてそのまま複数でのプレイに及ぶような展開も、、、?

それだ!それで行こう!!

取り乱しました。妄想は尽きない。

ここまできたら名探偵もお手上げである。 
迷宮入りとはならなかったとは思うが、かなりいい線まで深掘りできたのではないかと思う。

次回、中編

「淫乱旅行 美乳姉妹 イキ」



上映されている作品はフィクションです。
痴漢も覗きも犯罪です。
そのような行為を行えば刑法により罰せられます。

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