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【ふらっと対談】塀の中と外の共有財産

「罰を与える」のではない。

「罰を与える」のは刑務所でやること。

少年院でやること。それは、

「矯正教育」だ。

この記事は3月31日まで法務教官だったへいなかさんの今までの人生と将来を見つめて、今後どのように過ごしていくのかをインタビュー形式でガン見してふらっとがまとめたものです。

言葉の研師:法務教官

へいなかさんは、キレのいいツイートで、世の中であたりまえの如く捉えられていることをもう一度考え直すきっかけを与えてくれている。

言葉にはさまざまな意味があり、言葉を発する人の立場、経験、想いのほか、発せられた言葉を受け取る人の立場、経験などによって、心がどのように動くのか変わると感じている。

以前へいなかさんがセンシティブティーチャーズ主催のイベントの中で登壇された時、法務教官のリアルをお聞きしました。

その時の記事がコチラ

そこで、鋭い言葉が出てくるのはなぜだろう?そういえば、「BOOKOFFで本を買って読む」と話をしていたので、もう少し聞いてみることにした。

ーTwitterやnoteなどの文章が鋭くて、けれどもどこかに愛情を感じるのですが、本はどれくらい読みますか?

年間でいうと50冊くらいかな。漫画本とかも結構読むよ。大学の頃からだから、今までで750冊くらいは読んだかな。

どんな漫画を読むんですか?

結構、少年ジャンプとか少年マガジンを読むのだという。へいなかさん曰く、火曜日は谷間の曜日だそうだ。

少年ジャンプは毎週月曜日、少年マガジンは水曜日に発行されるために、火曜日は"今日はジャンプもマガジンもない日なのでやる気が出ません"という挨拶をネタにしていたらしい笑

へいなかさんが過去のイベントに登壇された中で、かなり推していたのは、北方謙三の水滸伝の本だ。

北方謙三 文庫版 水滸伝 完結BOX
全19巻+読本 20冊セット (集英社文庫)

ほかにも、推している本(?)を見つけた。

いずれも中国の歴史を作品にしているものであるが、あえて時代順に並べてみようと思う。

『封神演義』の直接の前身となった作品は、元の至治年間(1321年 - 1323年)以前に成立したとされる歴史小説『武王伐紂平話』とされる。

つまり、1320年頃。

『キングダム』は、古代中国の春秋戦国時代末期における、戦国七雄の戦争を背景とした作品。

春秋戦国時代とは、紀元前770年に周が都を洛邑(成周)へ移してから、紀元前221年に秦が中国を統一するまでの時代のこと。つまり紀元前770〜紀元前230年頃だ。

『項羽と劉邦』は、楚漢戦争期を舞台に、鬼神のごとき武勇で秦を滅ぼした楚の項羽と、余人にない人柄で人々に推戴され漢帝国を興した劉邦を描いた作品。

楚漢戦争とは、中国で紀元前206年から紀元前202年にわたり、秦王朝滅亡後の政権をめぐり、西楚の覇王項羽と漢王劉邦との間で繰り広げられた戦争のことらしい。

『三国志』は、中国の後漢末期から三国時代にかけて群雄割拠していた時代(180年頃 - 280年頃)の興亡史である。

つまり、2〜3世紀頃。

『水滸伝』とは、時代は北宋末期、汚職官吏や不正がはびこる世の中。様々な事情で世間からはじき出された好漢(英雄)百八人が、大小の戦いを経て梁山泊と呼ばれる自然の要塞に集結。彼らはやがて、悪徳官吏を打倒し、国を救うことを目指すようになるストーリーらしい。

北宋時代とは、960年〜1172年のことのようだ。つまり、1100年代半ば以降だろう。

では、並べ替えてみる。

キングダム

項羽と劉邦

三国志

水滸伝

封神演義

並べ替えたところで…というのもあるかもしれないが、これをうまく使いこなしてくれる人がいるかもしれない笑

ちなみに、本を読むことについては、少年たちに話をしていた内容がここに書いてある。マガジンは有料だが、買い切りタイプなので早いうちに買っておくとよいかもしれない。

話を進めていくと、どうやら本だけが子どもたちに語る内容ではないそうだ。よくよく聞いてみると・・・

まだまだあった!

へいなかさんは、本や漫画だけでなく、映画も見るのだそうだ。

というのは、少年たちは休日も少年院で過ごしていく。もちろん、少年院で過ごす以上、なにも授業をしないということはできないらしく、そうとは言っても法務教官が少ないために体育などはできない。そこで、活躍するのが映画とのことだ。

一時期、へいなかさんは1週間に2本も観たことがあるらしく、年間で70本くらいの映画を観るそうだ。

数多くの中でも、小学五年生の頃から何度も見ている映画。それが、大脱走だそうだ。

優れた作品はたくさんあったけれど、どうしても伝えられなかった作品だそうだ。実は、5月5日にBSプレミアムで放映されるらしい。

俺のために用意してくれたんだろうなぁ。という少年が気が付けるようになってくるのだそうだ。

3%の人に刺さるように、メッセージを込めて、届けていくのだという。

大きなセミナーであっても同じ。たとえ、100人のセミナーであっても、コイツとこいつと此奴に向けてセミナーをやるぞ!という気持ちで臨むと、その3人に伝わり、3人から伝播していくのだという。

『地殻変動』を起こす

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BOOKOFFの本を少年院の中で読んでいたというへいなかさん。「先生、なんでBOOKOFFなんかの本読むんすか?」という生徒に対し、こう答えたのだという。「中古でいいのかって?いいよ俺は別に.逆に何が悪いんだ?一文字も変わらないのに.」そんな具体的なエピソードを数多くもつへいなかさんに、とっておきのエピソードを聞いてみた。

ー今までの非行少年とのやりとりの中で、印象に残っているエピソードを教えてください

すると、とある少年の思い出を話してくれた。

その少年は、少年院に入った頃から、ぶっちぎりの【バカ】だったそうだ。その少年は、へいなかさんの教え子ではなかったが、指導している時にこのように話してくれたのだという。

おれはどうしようもなくバカだけど、
バカだとわかる、バカになれた。

へいなかさんから見て、その少年はぶっちぎりだったそうだ。周りからも認められるほどのおバカだった少年は、自分自身をしっかりと理解し、その言葉が出てきたんだろう。と感動したのだという。

少年院には、第一種少年院から第四種少年院まで4種類あると先日記事にした。
運営方法が、少年院によって異なるらしく、男子の多い少年院や女子の多い少年院、さまざまな級の子が混同している少年院と同じ級同士にまとめる少年院があるそうだ。

『級』とは、出院までに全ての少年がどの段階であるのかを示すためのものであって、全ての級で進級する必要がある。

3級からはじまり、2級前期、2級後期、1級と4段階となっており、進級しなければ期間が伸びていくそうだ。

へいなかさんのいたところでは、この全ての層が混同しているようだ。その中で1級と3級がバディーを組み、教えながら成長していくのだという。

だから、1級の少年たちは、3級の少年が「へいなか何言ってんだよ」というような表情を見せたのを見つけた時、話が終わった後に「さっきの先生の話どうだった?」「えっ、へいなか先生の話、大事だぜ?」「それ、カッコいいと思ってんの?」というように、へいなかさんのサポートをするのだそうだ。少年たちも当事者であったからこそ、へいなかさんの心の中には「お前らも入ったころにはそんな感じだったぜ笑」と思ったのだそうだ。アフターフォローができると信じているからこそ、突っ込んだ話をすることができるのだという。

さて、ここまでは非行少年が誕生してしまった時のお話。そもそも、非行少年が非行しないようにすれば、いい話なのだ。

そこで、聞いてみた。

ー非行少年をうまないために私たちにできることってありますか?

親以外の人も子どもに関わるということだよね

親以外の関わりがあったからこそ、問題にならないこともあるはず。優れた人が一人いたところで育たない。関わる人が多様であれば、多様であるほど非行には進まないと思う。

「世間の大人が少年たちに言っていないことは何だろう?」

多様性というのは、場に宿るものではない。本人の中に内包されていくものである。例えば、偏差値が30の人が偏差値30の人と関わると、偏差値30の人しか知らない。一方で、偏差値70の人ともコミュニケーション取れると、2つの層を知っている。回転ずしを10店知っていようが、高級寿司を10店知っていようが、それぞれ一つの層しか知らない。100円回転ずし、回転ずし、握りずし、高級寿司などを一つずつ知っていれば、10層知っていることになる。

地域で区分けされて、幼稚園や保育園、小学校などは多様性があると思うのだそうだ。

ー少年院を出る子達はへいなかさんのnoteで掲載されていますが、少年院を出た後って、どのように過ごしているのでしょうか?

少年院を出ると、保護観察がつく。二週間に一回とかのペースで保護司さんのところに行って、面談をするんだよ。ときどき来ねえやつがいるんだけどな。

どうやら、保護観察中に保護司のところに行くことは義務なのだが、行かないやつがいるようだ。

保護司とは?……多くは、民間のボランティアだそうだ。

ところで保護司の仕事内容については、この記事も見てほしい。

適任者を確保するために少しずつ変わるかもしれない。

ー「非行少年とそれを雇用する中小企業に伴走する事業を起てます!」とのことですが、具体的な時期とか規模は決まっていますか?

遅くとも4月30日には出してくる。と話をしていたのですが、すでにへいなかさんは5月1日時点で代表理事になっていました。

経営者の中には、雇いたいという層がいる。けれども、・・・。

少年院を出た子の中には、「元法務教官が伴走するよ」ということで安心感をもてる人もいるだろうな。

そこをつなぐことができるのは、俺以上の適任はいないだろうなぁ。と思っている。とのこと。

そして、いずれは力をつけたら、へいなかさんみたいになれるのかというロールモデルをつくりたいのだという。「法務教官っぽい生き方」をするために必要な土台をつくっていくことがミッションなのだという。

ー法務教官を務めていく中で「辞めたいな」って思うことはありましたか?

たくさんあったよ。幹部のやり方がなんかね。

たとえば、新人がやってきて一生懸命やっている。それでも失敗してしまうことがある。もちろん、責任を取らなくてはならないのは、上司である。そんな上司が「責任を取るのは俺なんだよ!」と放ったのだそうだ。

そんなことがあったら、やめたくなるはずですよね。たとえ思っていても、絶対に口に出してはいけなかったと思います。

他には、ここでは控えます笑

ー最近、関心をもっていることはどんなことですか?その理由はなぜですか?

うーん、NFTかな。

非行少年の作品で、NFTをしていきたいのだそうだ。さらに、クラウドファンディングは、非行少年にこそ最適だと思うのだそうだ。例えば、クラウドファンディングのコミュニティも並行して用いていくことが必要なんじゃないか?と感じているそうだ。

この話は、またの機会に一緒にイベント開けたら面白そうだなぁ。

後日談

完成したら、連絡させていただきますね!!

そして翌日、ここまでハードルが上げられていた。

少年院や法務教官とは別の,極めて個人的なところを掘り下げてくれたりもしたから…

果たしてどんな記事になることやら。
ふらっと君からみたへいなか…

とても楽しみです。

と言われちゃあ、本気でやるしかない。

元々本気でしたがそれ以上に。

240%で書こうじゃないか!

という気持ちで記事を書いていきました。

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