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ビルボード総合チャートとロックバンドについて個人的に思うこと

近年ビルボードの総合チャートが音楽のヒットチャートを語る上での主流となっている。
かつてはCDだけのランキングが主流だったが,2000年代後半の着うたなどのダウンロード市場の拡大や2010年代の一部アイドルなどによる露骨な拡大商法によりCDだけのランキングでは楽曲の人気を図ることは不可能になってしまった。

しかし,CDだけではなく,動画再生やダウンロード数などを盛り込んだビルボード総合チャートが台頭してきた事により,楽曲の人気が2010年代のCDだけのランキングよりも可視化され,より実感のあるヒット曲を見る事が容易になってきている。

CDセールスでは上位でも他の要素では下位やランク外により総合チャートで思うように伸びないということであったり,逆にCDセールスでは下位やリリースがない場合でも他の要素で上位の場合に総合チャートで10位以内に入る事も往々にして起きている。
2020年の年間1位のYOASOBIの「夜に駆ける」は2020年時点ではCDリリースが一切なかった。

ビルボードのチャートを見ているとロングヒットが多いのと,そのロングヒットについては特定のジャンルが強いという事がない。
2020年2月現在でチャート上位に長期滞在しているアーティストでいくと優里,Ado,YOASOBI,BTS,LiSA,Eve辺りが上位に長期滞在している。

裏を返すとこれまでCDセールスに特化してきているジャンルが長期間総合チャートの上位に入るという事が難しくなっている,1週間だけ上位だったとしても長期目線では名前が残っていないというケースも少なくない。

音楽関係のブログを長期に渡り継続されていて,いつも拝見しているカーシーさんの更新で,CDセールスを伸ばすタイプの一つにロックも挙げられていた。
(https://kerseemusic.com/archives/409)

その時に思ったのが「確かにそうだな」という事だ。
好きなバンドがCDシングルがリリースされた,買って聴いた,1週間経ってビルボードの総合チャートを見る,「あれ?入ってなくない?」という事が多くなっている。
もちろんある程度バンド自体の知名度があり,CDセールスでは上位に入っているバンドで起こっている事態である。

CDセールスを伸ばすタイプでロックの他にアイドルやアニメも挙げられており,これらのジャンルではコアな根強いファンが多く付き,ファン文化が根付いていたり,関連イベントやフェスの開催も多く出来ており,流行に左右されづらい部分もある。

しかし,それ以上の拡がりに繋がりづらい事も多く,そのジャンルの中でのパイの奪い合いになっていってしまう事や新陳代謝がされていきづらいという欠点もある。

利点を生かしつつ,その欠点を克服するためにジャンルの外の状況にも目を向けてそこにも対応をするという部分,なおかつそこで工夫をする部分も持った方が良いなと思う。
特にストリーミングに関してはロックバンドでは未開拓,もしくは解禁をしていても多くの再生数やファン以外の拡がりができていないケースというものも少なくない。
個人的には「もっと多くの人たちに届くはずなのに」と非常にもどかしく感じてしまう事がある。

現在のチャートを見るとCDのセールス以外では動画の再生回数やストリーミングでの再生回数が上位に来ている曲が上位になりやすく,長期間での広がりも起こりやすくなっている。
CDの最大瞬間風速と違い,ストリーミングや動画再生は長い目で見て築いていくものである。

とりわけストリーミングに関しては現状では定着しながらもより広がっている聴き方になっており,ストリーミングのチャートで上位に入ると,総合チャートでのロングヒットに至るケースが非常に多い。先にあげた総合チャート上位に長期滞在している曲は全てストリーミングチャートでも上位にランクインしている。

また,近年では大ヒットの基準が「ストリーミング再生1億回」という感覚が強く,ストリーミング再生1億回を複数曲達成しているバンドでいくとOfficial髭男dism(「Pretender」,「I LOVE…」など),King Gnu(「白日」,「飛行艇」など),Mrs.GREEN APPLE(「インフェルノ」,「青と夏」など),、back number(「クリスマスソング」,「ハッピーエンド」など)が挙げられる。
バンドのサウンド自体はそれぞれのバンドで異なってはいるが,いずれのバンドも大きな広がりをライブや音楽の展開などで実感できる。

正直ここに続くバンドがそろそろ出てきてほしい,しかも複数と思っている。
先に挙げた4組の他に1億回達成曲を持つバンドとしてはONE OK ROCK(「Wherever you are」),Novelbright(「Walking with you」)もいるが,ここに多くのバンドが名を連ねて欲しいなと思っている。

2020年の2月以降ツアーが思ったような形で開催できず,フェスやイベントの開催もオンラインになり,外への広がりがより狭くなってしまっている現状であるからこそ,普段バンド系を聴かない人たちにもより広く届けることを意識する事が必要だと思う。
また仕事や家庭などの関係で好きなバンドのライブに足を運べない,運びづらくなったという事も少なくない。
そのためにはCDセールスだけに特化せず,ストリーミングや動画再生に対しても広く意識して展開していく事が必要だと思う。

それを行うことによって,またライブやフェスが今までに近い形で徐々に開催されるようになった時により多くのオーディエンスと集まること,その時間が続いていくことにつながっていく。

今出来ることを広げていく事も,またロックバンドに出来る事の1つだと思う。

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