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ロバの耳のまま愛された王子さま

「王子さまの耳はロバの耳」という昔話がありますね。
私が覚えているのは、ポルトガルの昔話です。
「子どもに聞かせる世界の民話」
(実業之日本社)

妖精の気まぐれな言葉でロバの耳がはえてきた
王子さま。
床屋がその秘密を知り、穴を掘ってその秘密を
叫びます。するとそこに葦が生え、
羊飼いがその葦で笛を作り、
その葦笛が秘密を歌い、国中に知れ渡る。
最後に王子が、床屋の命を守るために、
「もう隠している必要はありません。ロバの耳を
持っていても、
私はきっと立派な王になってみせます。
さあ、みなさん、よくごらんなさい」と
帽子をとったら、ロバの耳はなくなっている。

というお話。

けれど、写真の絵本
「王子さまの耳はロバの耳」
(岡田 敦 文
はた こうしろう 絵
フェリシモ出版)は、少し違います。

作者の岡田敦さんの言葉が帯にのっています。
「ぼくは、王子さまは、ロバの耳のまま
愛されるのがいいと思います。
それで、このお話を書きました」

元々の昔話も、そしてこの絵本も、
両方に共通しているのは、王子さまが、
「のろまでがんこでまぬけな」ロバの耳を
持っている自分自身を、受け入れ、
そして、「もうかくすのはやめよう」と
決意して生きることです。

昔話の方は、その決意によって、
妖精の魔法が解けます。

しかし、絵本の方は、
ロバの耳を持ったまま、
「うわべではなく、心の真実を見る目」を
持った娘に会い、結ばれるというお話です。

どちらにしても、非常に気持ちのよいラストが
心に響きます。

絵本の方で、王子の優しさや賢さを見抜ける
娘が、とても素敵に描かれています。
自然体で飾らない髪型や白い衣装、その
表情から、
彼女の内面の美しさ、芯のある凜々しさが、
にじみ出ています。
画家のはたこうしろうさんのセンスの良い絵が
岡田敦さんのお話を引き立てています。

自分にとっての「ロバの耳」は
誰にでもあるのではと思います。
もちろん、私にもたくさんあります。
外見的なことだけではなく、今までの人生
まるごとの中に、たくさんあります。

けれど、まずは自分自身が「ロバの耳」を
受け入れ、認め、自分が自分の一番の味方に
なることで、

「はじめて」ご縁ある人が、認めてくれる。
愛してくれるのだと思います。
またそういう人が現われるのだと思います。
最初は「自分」なんですよね。

このお話には、もうひとつ興味深いことが
あります。
それは、秘密を知った床屋が、穴を掘って、
「王子さまの耳はロバの耳」と
何度も叫んだところに、
「葦」が育ったということ。
そしてその「葦」で作った「葦笛」を吹くと、
「王子さまの耳はロバの耳」と
ひとりでに歌うということ。

少し前にnoteの他の方の記事で「葦」のことを、
「地上世界の素性を明潔に表す、生粋の植物」と
書かれていた方がいましたが、このお話にも
通じるものがあるように思いました。

「土」が人のあらゆる情報を吸収するのではという
長年の疑問も、noteのご縁で知った前回ご紹介した本
「月の癒し」によって、納得の答えをもらい、
「葦」という植物についても、より深い理解に
つながっています。

自分の中でなんとなく気になっていたことが、
クリアになっていくことが、
とても気持ちよくて、そして感謝です。

終わりかけのアジュガと野の花ハルジオン?

最後まで読んでくださってありがとうございます。

良い日になりますように♡


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