「事実」より「仮説」
圧倒的なデータを有していることが、大企業や歴史の長い企業の強みである。
そのデータをどう扱うか、ということをテーマに「データサイエンティスト」が引く手数多の状態である。
実際に私が所属する企業でも圧倒的なデータ量が強みであり、それをどう活用するかという点に関心が集まっている。
社内プロジェクトにおいて、
「組織内でのナレッジを共有する文化が定着しているが、どういう情報を学ぶか?」という点についてはしばしば課題になる。
脱属人化は、組織としてのテーマであるが、
個人としてのテーマとしては属人化が時に重要である。
なぜなら市場価値の向上のためだ。
誰でもできる仕事を、今この組織でずっと続けるのあれば、その人は組織では現状必要であるが、他の組織では必要のない人材だ。
その人だからこその専門知やスキルが、
個人のキャリアとしてはある方が良い。
そういった力学を、私が在籍している組織では把握した上で、
個人にプロジェクトを任せていると感じる。
主導で行うプロジェクトの中で
20名ほどの営業担当のナレッジ強化を依頼したいというものがあった。
ここで、目的や背景を聞いた上で、プロジェクト実施するが、
一つ疑問に思うことがあった。
それは、一つ一つの知識を、各担当者の脳にインプットすることの賞味期限はどのくらいなのか?ということだ。
恐らく、3年後には、その情報は、視認性が良い状態で、一覧化され、リアルタイムで、商談をしながら、情報にアクセスできる状態になるのではないかと考えている。
そこで上長に問う。
その会話で面白いなと感じたことが、
「恐らく、事実を暗記するということの価値は、確かに減ると思う。しかしながら、今回は、事実を収集した上で、仮説を立ててほしい。むしろそこが重要。」という点だった。
例えば、
ある求職者がある企業とマッチングが成立したとい一つの事例を、
ただ記憶をして、他者事例としてのストックを作るのではなく、
その求職者がそのタイミングでその企業に進んだ理由を考える。
また、企業はなぜ、その候補者を採用する意思決定をしたのか?を考える。
このプロセスを繰り返すことで、
人は抽象的に、事実から繋がりを見出すことができる。
「恐らく、こういう理由で意思決定をしたのだろう。」
という仮説ストックが、目の前の企業に対して、提案を作る材料になる。
これは、事実をただ眺めるだけで、
その場で導き出せる考えではないし、すぐに培える能力ではない。
ある意味で属人化することで、
組織(採用コンサル)としての価値が高まり、
個人としてのスキルや専門知も高まる。
これからは「事実」を知っているかではなく、筋のいい「仮説」をどのくらい出せるか。それを実感した瞬間だった。
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