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【おすすめアルバム】OnlyOneOf 『seOul cOllectiOn』(2023)

 今回はOnlyOneOf(以下オンオブ)が久しぶりにリリースしたEPをご紹介します!

OnlyOneOf 『seOul cOllectiOn』(2023)

 オンオブは2019年にデビューした、8Dエンターテインメント所属の6人組ボーイズグループです。本国での完全体カムバックは約1年ぶりですが、その間に彼らは全員によるソロプロジェクト「undergrOund idOl」に取り組んだり、日本では2枚のシングルと1枚のミニアルバムをリリースし、積極的にイベントやライブを行うなど、忙しい日々を送っていました。

 「本能」という名を冠した前作までの『Instinct』シリーズや、ソロプロジェクト「undergrOund idOl」を通して人間の奥深くに宿る感情アイドルの内面を丁寧に描き続けてきたオンオブですが、『seOul cOllectiOn』と名付けられた今作では、進化を続ける煌びやかな韓国の首都・ソウルの中で孤独悲しみを抱えながら生きる人々の姿が描かれています。

 タイトル曲②「seOul drift」は疾走感のあるサウンドに合わせて、懸命に生きる若者の姿が投影されています。彼らの持ち味であるパワフルなダンスが十分に生かされたパフォーマンスも注目です。

 勢いのあるタイトル曲から一転、収録曲はより一層もの悲しさが感じられます。③「mirage」では愛する人との離れていく距離が描かれ、⑥「nabi」はR&BシンガーのDvwnが制作に関わり、お洒落なバーやカフェで流れているようなメロウかつ儚いR&Bナンバーに仕上がっています。バウンスが特徴的な④「candy bOmb」はこれまでの彼らの曲にないジャンルで新鮮です。

 そして今回のアルバムの何よりユニークな点は、日本活動の中でリリースされた楽曲がタイトル、歌詞を変えて韓国語で収録されているところです。①「chrOme hearts」は今年2月に日本でリリースされたミニアルバムのタイトル曲「chrOme arts」の韓国語版です。また⑤「blueblueseOul」は昨年リリースされたシングル「ズルい女」(シャ乱Qのカバー曲)のカップリングとして収録されていた「ヒドい男」の韓国語版で、メンバーのナインが単独で作詞しています。歌詞もかなり変わっているのでぜひ聴き比べてみてください!

 また最後⑥には彼らの世界観を象徴する楽曲である「dOra maar」の英語版が収録されています。かつて英語版歌詞のコンテストが開催され、そこで選ばれた歌詞がついに発表になりました。パブロ・ピカソの5番目の愛人で、『泣く女』のモデルとも言われる画家、写真家のドラ・マールが題材のこの楽曲は、パフォーマンスも含めてまさにオンオブにしかできない世界観ですのでぜひチェックしてください。


 今作は、昨年からの日本活動やソロプロジェクトを改めて振り返りつつ、これからのアメリカでのツアーが楽しみになるような、まさにこれまでとこれからをつなぐようなアルバムであると感じました。特に①「chrOme hearts」や⑤「blueblueseOul」に関しては、ベースに上質な音楽があるからこそ、このように世界観に合わせながら柔軟に言語を変えてリリースしても自然なのだと思いますし、このような柔軟性はオンオブの魅力として評価されるべき点ではないかと思います。

 今回「煌びやかな世界における陽の当たらない存在」をテーマにしたアルバムをリリースするなど、K-POPアイドルの中で一味違う独自路線を貫き続けているオンオブですが、そんな彼らも2019年にデビューした後、パンデミックにより活動を制限されてきました。昨年からは日本で積極的に活動をしてくれましたが、いよいよ今年はアメリカでのツアーを開催するということで、グローバルに人気のある彼らが世界中で今後どんな活動を繰り広げるのか非常に楽しみにしています。最後まで読んでくださりありがとうございました!


 

 


 


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