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人は恋をする、何があっても #9

返事はすぐきちゃった。

「お誘いありがとうございます。特に嫌いなものはないので大丈夫です。期待しています。金曜日がいいです。よろしくお願いします。」

ええっ、金曜日!?これはデート?!意識してしまうではないか。おぢさんはバブル世代だからこれは張り切るざるを得ない。しかし、寿司やらおっさん臭いものはなあ。居酒屋なんてありえないな。考えあぐねてセレクトしたのは銀座のヴァンピックルである。ここはとても老舗な割にこじゃれていておいしい。初デート(ではないにしろ、こっちから誘っているからデート相当だろうと勝手に妄想している)にこの店を選ぶのはかなりの冒険だ。しかし、やらないで後悔するならやって後悔した方がいい。これでダメならその程度だったということだ、浮つかない自分のやり方でいこう。

「高木様、ご返信ありがとうございます。来週の金曜日に銀座の焼きとん屋さんに行きましょう。安心してください。ここはとてもおいしいお店です。お店の詳細は下記のURLを見てください。NGの場合にはまだ手の内ありますからご安心ください。予約とりますが18:30頃、銀座の先日の場所近くで待ち合せましょう」ダサいおぢさんメールである。

間髪入れず返信は来た。

「矢野様、セレクトありがとうございます。この店は知らなかったのでとても楽しみです。来週の金曜日待ち遠しくなります。お仕事頑張ります♡」

「♡」うおおお。おぢさんは舞い上がらんばかりである。この店はカウンターメインなので横に座って飲食するのである。飲食を共にすることは警戒心を解くことにつながるし、また、対面よりは並び座りか90度横の席に座ることもハードルを下げることにつながるのである。下心見え見えなのに、ときめいているおぢさん。

一方でこれで終わっちまうかもなあ、とか考えているところもある。不安。

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