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人は恋をする、何があっても #39

お風呂をでた。浴衣で夕涼みをしながら、氷を落としたワインをちびちび。饒舌でもなく、寡黙でもなく、普段みたいになんとはない会話が続く。非日常でくつろぐなんてハマるね。お金持ちがやりたがるわけだ。自分はお金持ちではないけれど。

「チカちゃん、そろそろ休まない?」

「礼ちゃん、ホントに休まないでしょ?」

「わかってるくせに。愚問ね」

「愚問でも聞くさ。ルビコンを超えるからね」

「この旅行に出た時にルビコンは超えたのよ。アハハ」

「アハハ、そうだ。キミの方が正しいね。休もう」

布団は並べて敷いてあった。二人して布団の間の空間は詰めた。布団かぶってはみたが、すぐに彼女はピタッと張り付いてきた。

「長かったわ。抱いて。愛して。」

「愛しているよ。いっぱい愛してあげるよ」

いきなり、はない。浴衣の上からお互いに撫で合う。気持ちいい。大事なところはまだこれから。

お互いに抱きしめたり、キスをしたりして。場所を変えていけば自然と浴衣ははだけていく。すぐに下着だけになってしまう。

「愛しているよ」

「愛しているわ」

確認するように耳元で囁く。下着はそのまま、上半身を愛撫する。敏感なところは触れるか触れない程度にそっと触っていく。よその場所と行き来を繰り返しながらやさしくタッチする。

「......」

声にならない息が彼女の口から漏れてきた。

そのまま徐々に下半身へ移動していく。下半身も敏感なところは避けて全体をやさしく撫でてていく。下着の中には手は入れない。上からそっと撫でていく。

「ねぇ、もっと激しく愛して」

「お楽しみはこれからだよ。ゆっくり楽しもうよ」

「いじわる。気が狂いそう。エロジジィ。エロイ手つきで撫でまわして」

「エロジジイだよ。まだ余裕かな」

若いころならガッツいていたと思う。もう五十路にもなれば余裕もある。じらす?自分なりの愛し方があるものだ。

思ったより彼女は飢えている。そう思った。


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