セピア
下に拡がってゆく未来を見下ろして
溜め息をつく。
全てを知る事など
無理な話だとわかっていた。
小さな頃は
未来が上へ上へと拡がって行き
高いところから
世界を見下ろすものだと思っていた。
だけど現実は違って
少しずつ下る道しか用意されていないようだ。
下るにつれて少しずつ暗くなって行く視界が
僕から色を奪った。
下りて行く先に何が待っているのだろうか?
このまま地獄に直通か?
下りの末に上りがあるのか?
ふと、下ばかり見ていた事に気がついて
見上げた空は
美しい青空だった。
誰も全てを知らない。
誰も全てを知らないのだ。
サポートしてくれたらとても嬉しいです。