好きなボカロ曲について語ってみる

おすすめはシビュラという曲。個人的に没入感がある曲が大好きなので、この曲の恍惚感が大好きなんですね。その人の気持ちに入って、その世界を体験しているのが好き。

演劇やってた時期ありましたけど、違う人になるってとても楽しい。ボカロはそういう、活字的な、文章的な側面が強いと思っています。だって、歌手が歌ってたらその人の癖とか歌い方が先に立ってくるでしょ?その歌手が演じたその役を見てるだけになっちゃうでしょ?

ボカロは、まあ元々は人の声なんだけど、そういう癖とか、ある種の「肌理(きめ)」が極端に削られているから、活字のような役割をしていると思う。活字の地の文だって、作者が書いてる文字だけど、作者の視点というよりは主人公の視点だったりするし、他の登場人物の視点の言葉だったりするし、もちろん作者自身の言葉でもあるわけだけど。それをほとんど自分が体感したかのような体験をすることができるわけだ。

じんさんとかもある本でそういうこと言ってるから、そういうところなんだろうな。活字よりも体感することに近いし、ストーリーも言葉で表される。理想的な体験だと思う。カゲプロもそう。まるでその画面に映ったキャラクターが、歌詞の内容が、活字のように捉えることができる。

もちろん歌手が歌ったから完成する世界があることは確かで、自分は没入したくないという人は「歌ってみた」とか聞くのかなと思う。私だって島爺さんのとかよく聞くからね。でも同じシビュラだって全然違う曲に聞こえるからそれはそれでとても面白いよね。

こっちはもうボスだもん。「入り込んじゃいけないって知ってたのに来たんだよね?どういう気持ちで来た?いいよね?いいよねやっちゃっても?ほらしねぇ!」みたいな感じじゃん。これはこれで好き。

原曲のは「やるのは本当に簡単なことよね。あ、どうせ死んじゃうし興味ないけど一つ質問いい?」みたいな狂気を感じる。もうなんか楽しそうなのでいいです。

歌う人だけでこんなに印象変わるの本当に面白い。

せっかくなのでこっちについても語ってみようかな。

ジャックポットサッドガール。

突き刺さるような調声が心地いい一曲。こちらはシビュラよりも断然王道。1番2番で苦しみながらも意思だけは失わない主人公、その情熱が3番で爆発、ラスサビで希望が見えるという展開。砂漠の描写からハチさんの砂の惑星へのアンサーソングという説もあるようですが。まだまだここに熱量のこもった音を作るやつがいるんだぞ、という表明ね。

個人的には、「手の中にあった」というところがすきです。音が上がることによって音楽的に盛り上がりもありますし。

面白いのが、これを歌い手さんが歌うとですよ、まるで歌い手さんが「こう思って活動してきたんだ」という表明にも聞こえるんですよね。いやもちろん、歌い手が歌ったからといってそんな表明にはならないわけなんですけど。

演劇だってドラマだって、演じた役の印象とその人って無意識に結びつけられているんじゃないかなぁ。顔の見えない歌い手さんとか、特にその傾向が強いような、気がする。

そこまで考えて歌いたくなるような曲を作っているとしたら、…きっと、syudouさんって賢い作曲家なんでしょう。まあ、今すごい再生数いってる作曲者の方はそういう方なんでしょうけど。尊敬。

…とまあこんな感じで、好きなもの語りはとても楽しいし思考の整理になるので、気が向いたらまたこんな感じでやるかも。

それでは。

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